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新エンジン&ボディの採用 性能向上とネガ要素を克服
2012年にデビューした初代BRZおよび兄弟車のトヨタ は、トヨタが企画・デザイン、スバルが開発・生産を担っていた。その頃のトヨタには独自でスポーツカーを開発するリソースがなかったからだが、こういった企画がなければ、4WD派のスバルからFRスポーツは発売されなかっただろう。低重心な水平対向エンジンというのはダイナミクス性能に好都合。 86/BRZは協業だからこそ類い希なスポーツカーとして生まれてきたのだ。
エクステリア
その成功をもとに21年には二代目へとフルモデルチェンジ。FRらしいドライビングを楽しむスポーツカーというコンセプトはそのままに、エンジンは2.0lから2.4lへとスープアップ。最高出力は207psから235psへと上がり、車両重量は20kgほど増えたものの、パワーウエイトレシオは5.85kg/psから5.40kg/psへ。パフォーマンス向上もさることながら、シフトアップ直後にトルクの谷間に入ってしまうことなどを抑制する狙いも大きいようだ。
インテリア
シャシーはSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)での知見を活かしてインナーフレーム構造とし、構造用接着剤なども積極的に採用。フロント曲げ剛性約60%アップ、捩り剛性約50%アップとボディ剛性を大幅に向上させている。6速AT車ではアイサイトが搭載されることになり、デイリースポーツカーとして進化したのも特徴だ。
大排気量の恩恵が好印象 スポーティなATも絶品
水平対向エンジンはフラットトルクで回転上昇とともにリニアにパワーが盛り上がっていく特性がある。新型の2.4lは低回転域から過不足ないトルクがありつつ、7500rpmまで突き抜けるように回っていくのが気持ちいい。アップダウンの多いワインディングロードを走らせても、トルクが足りなくてもどかしい思いをすることがなく、大排気量化の恩恵が感じられる。GR86はアクセルに対する反応がかなり敏感、いわゆるスロットル早開きを強めに行なっていてレスポンス重視の特性だが、BRZはリニア重視。コーナーを攻めているときに早開きがうれしいこともあるが、普段乗りではせわしなく、BRZの方が落ち着いて乗れる印象だ。
うれしい装備
6速MTは正確性が高く、従来よりもフィーリングも改善された。それよりも驚きはATで、Dレンジのままでもスポーティに走れる。ペースを上げ始めると低いギヤを使うようになるのだ。ハンドリングは低重心な水平対向エンジンのFRスポーツらしい高度に抑えられているが、過度に突っ張るようなことがなく素直。
GR86はよく曲がることを強調しているが、BRZはリニアで正確性の高いハンドリングがもち味となっている。先代よりも差別化が大きく図られ、BRZはグランドツアラーとしての資質が高く、安定志向の特性が与えられているのだ。
Country Japan Debut 2021年7月(一部改良:22年5月) 車両本体価格 308万円~343万2000円
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.143「2022-2023 スポーツカーのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/143/