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フィット、ヤリス、ノート。売れているのはどれ?
日本のコンパクトカークラスは、トヨタ・ヤリス、日産ノート、そしてホンダ・フィットを中心に回っている。現行モデルのデビューは
トヨタ・ヤリス 2020年2月10日発売
ホンダ・フィット 2020年2月14日発売
日産ノート 2020年12月23日発売
だ。その前年(2019年)の3モデルの販売台数はこうだった。
2019年
トヨタ・ヴィッツ 81,554台
ホンダ・フィット 74,410台
日産ノート 118,472台
2020年以降の販売台数の推移を下のグラフにまとめてみた。
2020H1 | 2020H2 | 2021H1 | 2021H2 | 2022H1 | 2022H2 | 2023H1 | |
ホンダ・フィット | 50,029 | 48,181 | 29,686 | 29,094 | 29,617 | 30,654 | 29,962 |
トヨタ・ヤリス | 48,129 | 103,637 | 119,112 | 93,815 | 81,580 | 86,977 | 97,241 |
日産ノート | 41,707 | 30,588 | 46,879 | 43,298 | 56,948 | 53,165 | 58,095 |
もちろん、ヤリスにはヤリスクロスとGRヤリスが含まれているし、ノートにはノートオーラが含まれている。だからフィットは不利なのはわかる。が、それにしても、ヤリス、ノートに差を付けられてしまっている。コロナ禍と半導体不足が重なったのは、同条件。フィット、いいクルマなのに……。ヤリス、ノート追撃のために2022年10月にマイナーチェンジ。そこでラインアップに加わったのが「RS」である。スポーティなイメージを醸すグレードがいまひとつはっきりしなかったフィットにRSは明確に「スポーツ」のフレーバーを振りかけた。
でも、RSは「レーシングスペシャル」でも「レンシュポルト」でもなく「ロードセーリング」なのだ。だから、エクステリアが少しスポーティ、男っぽくはなっているが、乗り味がガチガチというわけではない。家族には、「このRSは、ロードセーリングって意味だからな」と伝え、自分の気持ちとしては、「これはただのフィットじゃない。だってRSだもん」という気持ちになれる。お兄さん・お父さんがフィットを選びやすくなるのは間違いない。
RSの狙いは?
RSは専用のフロントグリル、フロントバンパー、サイドシルガーニッシュ、リヤバンパー、リヤスポイラー、アルミホイールが装着され、スポーティーさが強調されている。
こうして並べて見ると、RS、引き締まって見える。やはりグリルって重要なんだろうか。
フィットRSは、コンベのエンジンとハイブリッドのe:HEVが選べる。駆動方式はFFのみで4WDの設定はない。試乗車はe:HEV。ボディカラーはRSとクロスターに専用設定された新色スレートグレー・パールだ。この色がいい。
さて、フィットe:HEVだ。ご存知のとおり、基本はエンジンが発電、モーターで駆動だ。高速走行ではエンジン直結。もちろん運転領域によってはモーターがアシストに入る。
モーター駆動の気持ち良さがフィットe:HEVの魅力のひとつ。モーター駆動なのに良いエンジンで走っているようなフィーリングなのがホンダe:HEVだ。エンジンがかかったときのガッカリ感がないのが、e:HEVの良さ。RSだとそれがいいのかもしれないけれど、もしかしたらエンジンの存在をひたすら隠すほうがコンパクトカーユーザーの心には響くのかもしれない。たとえ、エンジンがかかってしまったときに、少しガッカリしたとしても。
高速走行はe:HEVの得意分野だ。エンジン直結だから出来の良いエンジン車の走りだ。アクセルから足を離せばエンジンブレーキとともに回生してバッテリーレベルが上がる。その電気エネルギーは次の加速で使われるわけだ。
フィットe:HEV RSのモード燃費は
WLTCモード燃費:27.2km/ℓ
市街地モード25.6km/ℓ
郊外モード29.0km/ℓ
高速道路モード26.8km/ℓ
だ。実際、東京~栃木往復の高速走行300kmほどの燃費は26.0km/Lだった。しかも大人3名乗車での燃費だ。1名乗車なら高速道路モード燃費の26.8km/Lは楽々クリアしていただろう。ただし、高速での速度上限は120km/hではなく(東北自動車道は120km/h区間がある)、90-100km/hに設定したおいた。e:HEVもe-POWERもトヨタ・シリーズパラレルHEVも120km/hだと燃費が悪化する。そのなかでもe:HEVは高速での燃費の悪化が少ないのがいい。
560km走って燃費はどうだった?
久しぶりにフィットe:HEVに少し長く乗って、その素性の良さを実感した。トータルで563km走って24.6km/Lだった。モード燃費の90.4%の達成率だった。全行程の6割は3名乗車、2割は2名乗車だったから、1名乗車ならほぼモード燃費が達成できるだろう。
燃費もいいし、走りもいい。なのにノートやヤリスに販売台数に敵わない。個人的に言えば、エクステリアデザインならノート、燃費はヤリス、走りはフィットだと思う。デザインに関しては好みは人それぞれ。フィットの「柴犬っぽい」デザインも悪くない。ただし、斜め後ろから見るとややずんぐりむっくりだ。その代わり後席の居住性もいい(全行程の25%は後席に座っていたが、スペースも乗り心地も良かった)。運転席からの視界もいい。RS専用のサスペンションも、硬くも緩くもなくて走りやすい。1台でファミリーカーに必要な要素を高い次元で詰め込んだフィットは、じつは平均点が高いクルマだ。コンパクトカーをお探しなら、フィットもショッピングリストに載せて検討する価値は大だ。
ホンダ・フィット e:HEV RS 全長×全幅×全高:4080mm×1695mm×1540mm ホイールベース:2530mm 車重:1210kg サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rトーションビーム式 駆動方式:FF エンジン形式:直列4気筒DOHC+e:HEV エンジン型式:LEB-H5 排気量:1496cc ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm 圧縮比:13.5 最高出力:106ps(78kW)/6000-6400rpm 最大トルク:127Nm/4500-5000rpm 過給機:× 燃料供給:PFI 使用燃料:レギュラー フロントモーター:H5型交流同期モーター 最高出力:123ps(90kW)/3500-8000rpm 最大トルク:253Nm/0-3000rpm バッテリー:リチウムイオン電池 燃料タンク容量:40ℓ WLTCモード燃費:27.2km/ℓ 市街地モード25,6km/ℓ 郊外モード29.0km/ℓ 高速道路モード26.8km/ℓ 車両価格:234万6300円 メーカーオプションHonda Connectディスプレイ+ETC2.0車載器19万8000円 広報車の価格は263万8900円