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14年ぶりに登場した新型が重視したのは”操る楽しさ”
2022年夏に発売となった新型フェアレディZ。6代目は08年デビューなので14年ぶりに新型の登場となったが、プラットフォームはキャリーオーバーされ、型式もZ34からRZ34と数字が変わらないため、厳密にはビッグマイナーチェンジだと言われる。
エクステリア
しかし、フルモデルチェンジでもプラットフォームを引き継ぐ例はいくらでもあるし、80%の部品は新しいそうなので、Z35にはならなかったが、7代目と呼んでいいのだろう。むしろ型式を新しくすることに伴う認証のやり直し等のコストが抑えられたことを歓迎するべきだ。そんな新型フェアレディZのコンセプトは〝ダンスパートナー〞。同社のGT-Rは同じハイパフォーマンスカーでもサーキットのラップタイムを重視したレーシーなイメージであるのに対して、操る楽しさに力点を置いているということだ。
インテリア
エンジンは従来のV6 3.7 ℓNAからV6 3.0ℓツインターボへ換装。基本的にはスカイライン400Rと同様で、ターボ回転センサーを用いて限界まで回転を引き上げることで405㎰を達成した。フェアレディZでは、最大トルクの発生回転数もより高回転まで引き上げられている。トランスミッションは6速MTを残してくれたことがうれしいが、新開発の9速ATも目新しい。グレードはベースモデルに、スポーツ志向のバージョンS、ツアラー志向のバージョンT、最上級のバージョンSTとNISMOの5つとなる。
懐の深いサスペンションと官能的なターボエンジン
ワインディングロードで感心するるのが、サスペンションがしなやかなことだ。FRとしては限界に近いパワーを得ていて、なおかつショートホイールベース、さらに新型はフロントのトレッドおよびタイヤ幅を拡げて俊敏性を高めているのだから、さぞかしロールやピッチングを抑えた硬い足まわりなのかと思いきや、逆なのだ。これはストロークを活かしてタイヤを路面に押しつけていく特性にしようという意志の表れ。意外なほどボディは動くが、ストロークしていくほどに粘りが増していくので安心感がある。硬い足まわりだとグリップの限界を超えたときの動きが早くなるが、フェアレディZはコントローラブルなのだ。ダンスパートナーと呼ぶ意味が即座に理解できた。
うれしい装備
400Rでもパワーとレスポンスが感動的だったエンジンはさらに洗練されている。特に高回転が伸びやか、かつアクティブ・サウンド・コントロールの効果も手伝って官能的なサウンドが味わえる。パワーも相当なもので、トラクションコントロールを解除してアクセルを踏みつければ容易にホイールスピンが発生するほどだ。それでも懐の深いサスペンションのおかげで、リヤタイヤの限界と相談しながら走らせるのが楽しい。6速MTにプリミティブな楽しさがあるのはもちろんだが、9速ATはダイレクト感があって、クロスレシオでテンポ良くシフトしていくのが気持ちいい。トランスミッションのチョイスが悩ましいモデルなのだ。
Country Japan Debut 2022年1月(24年モデル発表:23年8月) 車両本体価格 539万8800円~920万400円
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.151「2023-2024 スポーツカーのすべて」の再構成です。