伝統のOHV V8 6.2Lエンジン搭載が泣かせる! アメリカンマッスルクーペの雄「シボレー・カマロ」【最新スポーツカー 車種別解説 CHEVROLET CAMARO】

この二世代では扱いやすいサイズ感にイメージチェンジを図ってきた「シボレー・カマロ」。ダウンサイジングされたとはいえ、アメリカの伝統的なFRマッスルクーペであることは変わりない。大陸的な乗り心地や吠えるエンジン音に確信的な演出を施しながら、ハンドリングは正確で、エンジンは高回転まで使い切るなど緻密さも併せ持つ。大味なアメリカンクーペというイメージを変える一台だ。
REPORT:佐野弘宗(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:平野 陽

フォード・マスタングやダッジチャージャーが正規で輸入されなくなった現在、カマロは日本で正規に手に入る貴重な伝統のFRアメリカンマッスルクーペである。現行カマロは2017年に日本上陸した通算六代目で、二度の小変更を受けて現在のフェイスデザインとなっている。キャデラックのセダン系と共有するアルファアーキテクチャーに、コルベットと基本的に共通の6.2l V8自然吸気か、現代的な2.0l 直4直噴ターボを積む。

エクステリア

典型的なワイド&ローと言えるスタイルで、精悍さが際立つ。「SS」と「コンバーチブル」には、ウイング形状のリヤスポイラーを用意。さらに「SS」は、ドーム型フードを備える。
6.2l V8 OHVエンジンを積む「SS」は、アメリカンスポーツに相応しい453ps/617Nmという圧倒的な動力性能を誇る。「LT RS」と 「コンバーチブル」は、2.0l 直4ターボに8速ATの組み合わせ。

アメリカンクーペと聞いて、やけに大きくて大味なクルマと錯覚してしまうだろうが、最近二世代のダウンサイジングされたカマロは大きいクルマではない。4785mmという全長は日産スカイラインより短く、1900mmの全幅はレクサスESより35mm広いだけだ。それでいて、2810mmという長めのホイールベースもあって、後席は日本人が広々と感じられるくらいなのがいい。

インテリア

ボリューム感があり、直立したインパネにより前方の見切りのしやすさは期待できない。フラットボトム型のステアリングホイール、大型の8インチメーターディスプレイが目を惹く。8インチタッチスクリーンは、直感的な操作が可能で、「Apple CarPlay」、「Android Auto」に対応する。
「SS」は、自社製のパドルシフト付き10速ATを搭載する。
「カスタムローンチコントロール」により、サーキットなどでロケットスタートも可能。設定は左ハンドルのみゆえペダルのオフセットもなく、オルガン式アクセルは微細な操作がしやすい。

表面的には上下動を許容する大陸的な乗り心地や、いかにもマッスルに吠えるエンジン音のチューニングが施されるが、それは確信犯的な演出である。実際のハンドリングは接出である。実際のハンドリングは接地感豊かで正確だし、V8もターボも中低速からパンチがあり、高回転まで緻密に回り切る。これで4気筒なら600〜700万円台、V8でも800万円台半ばという価格なのだから、クルマの実力では拮抗するジャーマンスリーのDセグメントと比較すると割安というほかない。

Country          United States of America
Debut           2018年11月(商品改良:20年12月)
車両本体価格        630万円〜810万円

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.143「2022-2023 スポーツカーのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/143/

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