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BMWグループは、テクノロジー・イノベーターであるTrailer Dynamics(トレーラー・ダイナミクス)社との協力により、同社の電動セミトレーラーを用いたテストに満足の行く結果を得たと報告した。このテストは実際の運送業務に基づいたシナリオに則って行なわれたものだという。
このテストでは、ディーゼル車を使用した場合、短・中距離では平均46%以上、長距離では48%以上の燃料節減が達成された。また、電動車との組み合わせでは、充電なしで600km以上の航続距離が達成されたという。
ディンゴルフィングのBMWグループ拠点周辺の短・中距離コースでは4日間、ニーダー・バイエルン州のマミングとライプツィヒのBMWグループ工場間の長距離コースでは3日間の実証試験が行なわれ、トレーラー・ダイナミクス社のe-トレーラーの性能は、BMWグループにとって最適なアプリケーション・シナリオを確立するものと評価された。
電気駆動軸を備えたセミ・トレーラー
トレーラー・ダイナミクス社のe-トレーラーは従来のセミトレーラーとは異なり、独自のバッテリーと電気駆動車軸を備えている。この電動車軸がトレーラーを牽引するトラクター(あるいはトラック)のエンジン出力を補助するわけだ。トラクターとトレーラーの間をつなぐキングピンにはセンサーが内蔵されており、最適な負荷比率を調整し、最高の燃費を実現する。また、e-トレーラーの電動車軸は、トラクターのエネルギー消費を抑制するだけでなく、始動時や上り坂での動力サポートも行なう。
中距離のテストは、BMWグループの拠点であるディンゴルフィング周辺の実際のロジスティクス・ルートで、連続4日間にわたって行なわれた。過酷な地形のルートを往復する輸送は、ロジスティクス・サービス・プロバイダーのガール・インターナショナルの協力を得て実施された。高速道路と幹線道路を1日あたり最大250km走行したが、その結果、ディーゼル車を使用した場合の燃料消費量は平均46.59%削減された。
長距離テストは実際の物流ルートでも行なわれ、ライプツィヒ~マミング間で16トンを超える貨物が実際に運搬された。BMWの電動ユニットを装備したトラクターは、主に高速道路を使用して450kmの距離を走行した。これは従来のトレーラーを使用した場合と比較すると、平均で48%以上のディーゼル燃料を節約したのに等しいという。
また、e-トレーラーのバッテリーは、100%グリーンエネルギーを使ってカーボンニュートラルに充電された。これは1台のe-トレーラーで年間約120トンのCO₂削減が可能になることを示唆している。
グリーン電力により、eトラックで100%のCO₂削減
e-トレーラーと電動車(電動トラクター)、そして100%グリーン電力を組み合わせることで、長距離輸送を可能にすると同時にCO₂を100%削減することができる。
このシナリオは、ディンゴルフィング地区での中距離テストの最終日に、ボルボの電動トラック–eトラック–を使用してテストされた。一般的な積載量であれば、充電なしで600km以上の走行が可能になるという。これは、特に長距離輸送においてe-トレーラーの使用は、大幅な脱炭素化を促進すると同時にコスト削減にもつながることを意味する。