「Offroad」モードを新たに追加。「トランスペアレントボンネット」機能により、車両のフロント部分下方の路面の映像を仮想的に映し出すことで、進路上にある大きな石などの障害をいち早く確認できる
新型GLCクーペは、メルセデスのデザイン基本思想である「SensualPurity(センシュアル ピュリティ=官能的純粋)」というデザインの基本思想を継承し、ひと目でメルセデス・ベンツSUVファミリーの一員であることが分かるとともに、他のモデル同様、Intelligence(知性)とEmotion(感情)を感じさせるモデルとなった。その美しいスタイリングは、メルセデス・ベンツ独自の現代的ラグジュアリーを生み出すものだ。
フロントデザインは、標準仕様ではフロントグリル周囲を縁取るクロームトリムとアンダーガード調のワイドなクロームトリムによって、フロントマスクを上質かつスタイリッシュに引き締めている。また、スターパターングリルを採用することで、立体的に配されたスリーポインテッドスターが先進的な表情を生み出し、大胆な開口部を備えたアグレッシブなフロントバンパーとともに、精悍なフロントマスクを形成。フロントグリルと連続したスリムなヘッドライトや、より精悍さを増した最新デザインのフロントバンパーはワイド感を強調し、圧倒的な存在感を放ち、 GLCクーペの独特なプロポーションを強調している。なお、ボディの全幅は先代モデルと同じ1890mmだ。
サイドデザインはラインやエッジを大幅に削減し、曲線を描く彫刻的な面により陰影を生み出している。これによりプロポーションが強調されるとともに、逞しいホイールアーチにアクセントが与えられている。ヘッドライト/リヤコンビネーションランプからそれぞれ伸びる前後のホイールアーチ上のライン、前後ドアパネル下部を貫くライン、これら 3本のラインが伸びやかなサイドの曲面に絶妙なエッジを加えることで、力強く表情豊かなボディデザインとなっている。また、AMGラインパッケージ仕様ではボディ同色のワイドホイールアーチが装着され、より都会的で洗練されたエクステリアを演出する。なお、先代モデルと比ベホイールベースを15mm拡大することで、さらに伸びやかでスポーティかつスタイリッシュなシルエットとなった。
リヤビューは、力強く張り出したフェンダーと水平基調のバンパー、2ピース構造で内部に立体感があるスリムな新型コンビネーションランプによって、よりワイドでシャープに見せるデザインとなった。リヤバンパーにもクロームのアンダーガード風のデザインを採用するとともに、クロームトリムが左右のエグゾーストエンド(機能は無くダミーとなる)と一体化した力強い造形とすることで、リヤエンドに個性を与えている。
ボディの空気抵抗係数(Cd値)は従来の0.30から0.27に向上。高水準のエアロダイナミクスを実現し、スタイリングの美しさだけでなく省燃費性能も追求された。
インテリアでは上下2分割されたダッシュボードが目をひく。上部は翼のような形状に、航空機エンジンのナセルを想わせる丸みをつけたやや横長の新デザインの角型エアアウトレットが配置されており、スポーティさを演出。そして下部には大きなインテリアトリムが広がり、標準仕様でもオプション選択時でもリアルウッドインテリアトリムを採用し、質感の高い室内空間を創出している。このインテリアトリムはセンターコンソールからダッシュボードへと途切れなく続く。
ダッシュボードと縦型の11.9インチのメディアディスプレイは、ドライバー側に6度傾けた新しいデザインで、ドライバーの視認性を向上させている。運転席に備わる12.3インチの大型コックピットディスプレイは自立型で、ダッシュボード上部と大きなインテリアトリムの手前に浮かんでいるように見える。コックピットディスプレイとメディアディスプレイは 3つのスタイル(ジェントル、スポーティ、クラシック)と4つのモード(ナビゲーション、アシスタンス、サービス、オフロード)の中から選択することでカスタマイズ可能だ。
最新世代のステアリングホイールの採用もニュースだ。ナビゲーションやインストルメントクラスター内の各種設定や安全運転支援システムの設定をすべて手元で完結できる機能性も有している。さらに、従来はタッチコントロールボタンへの接触やステアリングホイールにかかるトルクで判定していた、ディスタンスアシスト・ディストロニック使用時のハンズオフ検知機能のために、リムに静電容量式センサーを備えたパッドを採用。これにより、ステアリングホイールにかかるトルクがなくとも、ドライバーがステアリングホイールを握っていることが認識され、ディスタンスアシスト・ディストロニックの使い勝手を向上している。 AMGラインパッケージを選択すると、左右、中央のそれぞれのスポークがツインスポークとなるスポーティなデザインとなる。
インフォテイメントシステムは、熟成を深めた対話型の「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)に加えて、MBUX ARナビゲーションを標準装備。車両の前面に広がる現実の景色がナビゲーション画面の一部に映し出され、その進むべき道路に矢印が表示される AR(Augmented Reality =拡張現実)ナビゲーションだ。従来、目的地を設定して行先案内をする場合、地図上に進むべき道路がハイライトされるが、ARナビゲーションにより、直感的にどの道路に進むべきかを判断することができるようになった。
このたび発売された「GLC 220 d 4MATICクーペ」には、197ps/440Nmを発する2.0ℓ直列4気筒ディーゼルターボエンジン「OM654M」を搭載。9速AT、そしてエンジンとトランスミッションの間に配置されるマイルドハイブリッドシステムの「ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)」によって、最大で23ps/205Nmの短時間のブーストが可能で、高トルク、省燃費が売りのクリーンディーゼルエンジンに、電気による緻密なサポートが組み合わさることで、さらにスムーズな加速感と、燃費の低減に寄与する。
ドライビングモード「DYNAMIC SELECT」には「Offroad」モードが加わった。このモードでは、トランスミッションがオフロードモードに切り替わり、雪道や悪路での走破性を高める。また「DSR(ダウンヒル・スピード・レギュレーション)」も備えており、急な下り坂での安定した走行をサポートする。この「Offroad」モードではまた、360°カメラシステムを使った「トランスペアレントボンネット」機能が使用できる。メディアディスプレイに車両のフロント部分下方の路面の映像(フロントタイヤとその操舵方向を含む)を仮想的に映し出す機能で、進路上にある大きな石や深い窪みなどの障害をいち早く確認することができる。
新開発のオフロードスクリーンは、コックピットディスプレイおよびメディアディスプレイに情報や操作スイッチ類、さまざまな機能を分かりやすく配置する機能。コックピットディスプレイには、車両の傾き、路面の勾配、標高、経度緯度、コンパスのほか、車速、エンジン回転数が表示される。加えて、メディアディスプレイには、周辺地形における GLCクーペの現在の姿勢やフロントホイールの操舵角などが表示される。これにより、オフロード走行に関連するすべての運転機能をひとつの画面で簡単に操作することができる。
オプション装備として後輪駆動システム「リヤ・アクスルステリアングが設定された点も新しい。車速約60km/h以下では、後輪を前輪とは逆方向に最大4.5°傾ける。これにより日常の走行シーンや、駐車する際には最小回転半径が5.1mと小さくなるため、クルマが扱いやすくなる。一方約60km/hを超えると、後輪を前輪と同じ方向に最大4.5°操舵することで、走行安定性を大きく高める。従来のメルセデス・ベンツの美徳である小まわり性能を犠牲にしないだけではなく、中高速域での安定性や、優れたハンドリングも並立させる。
フラッグシップサルーンのSクラスに搭載されるメルセデス・ベンツ最新の安全運転支援システムが採用されたのも、新型GLCクーペの魅力度を高めている。新型で新たに採用された機能は以下のとおり。
●アクティブステアリングアシスト:ステレオマルチパーパスカメラだけでなく、360°カメラシステムも車線認識に使用することで、多くのカーブに対応が可能で、高速道路上で今まで以上に精密に車線中央を維持することができる。
●アクティブエマージェンシーストップアシスト:ドライバーが周囲の道路状況に反応しなくなってからかなりの時間が経過していると判断した場合に警告を発したり、徐々に減速して最終的に車両を停止させる。
●アクティブブレーキアシスト:交差点や曲がり角での右左折の際に、対向、飛び出し、巻き込みなどにより、車両、自転車及び歩行者と衝突する危険がある場合、ドライバーに警告したりブレーキを作動させる。
●緊急回避補助システム:車両前方にいる車道横断中の歩行者などとの衝突の危険を検知すると、システムが正確なステアリングトルクを計算して、ドライバーのステアリング操作をアシスト。また、自車と同じ方向や反対方向に進む歩行者や自転車を含む車両も検知する。
●アクティブレーンキーピングアシスト:走行している車線を意図せず逸脱しそうな場合に警告、および進路を修正する。
●アクティブブラインドスポットアシスト:車両の斜め後ろのミラーでは見にくい死角エリアに車両や自転車がいることを警告し、車速30km/h以上で走行中に側面衝突の危険がある時に危険回避をサポート。また、停車時にドアを開けようとした際、後方から障害物が迫っている場合の警告機能も作動する。
このほか、新型GLCクーペはドライバーの指紋、声のいずれかの生体認証もしくは PINコードによる認証が可能。どちらかの認証により、シート、ステアリングホイール、サイドミラーのポジションやコックピットディスプレイの表示スタイル、ペアリングした携帯情報端末、ナビゲーションのお気に入り設定などを統合して読み込むことができる(認証せず個別に手動で設定することも可能)。