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インテリアは最新世代のBMWらしい仕立てに一新
BMWでも特にドライバーズカーとしての資質が高いMモデルにあって、最も身近でコンパクトな末弟がM2だ。近年のMモデルはパフォーマンスアップが著しく、M3やM4などでもストリートで楽しむにはややトゥーマッチなところがある。そう思う向きに強く支持されているのもM2の特徴だろう。
エクステリア
トルクを発揮する。
初代は2016年に登場。M3よりむしろ02ターボやE30型M3の直系に感じると話題になり、初のモデルチェンジで2代目となった新型にも大いに期待が掛けられていた。ボディサイズはひと回り大きくなり、全長は114㎜長く、全幅は30㎜広がった。ブリスターフェンダーの迫力は凄まじく、ベースの2シリーズクーペと比べると60㎜も広い。車両重量は150㎏ほど重くなったが、エンジンの最高出力は先代の370㎰から460㎰へと大幅にアップされているのでパフォーマンスに不満があろうはずがない。
インテリア
M4とほぼ同様のエンジンをコンパクトなボディにぶち込んでいるのだ。トランスミッションはお馴染みの8速ATだけではなく、6速MTを用意しているのがM2ならではだ。インテリアの仕立ては他のMモデルに準じたもの。最新世代のBMWらしくカーブドディスプレイなどが奢られ、先代のプリミティブな雰囲気とは一線を画している。MレーストラックパッケージをチョイスするとMカーボン・バケットシーなど、よりレーシーな装いとなる。
とてつもない剛性感で460PSを受け止める
FRで460㎰ものエンジンを搭載しているだけあって加速はさすがに鋭く、右足を踏み抜くには覚悟がいる。8速ATならばイージーに、6速MTではあっという間に吹き上がるエンジン回転に合わせて忙しい思いをしながらハイスピード領域へ。最初は緊張しながらドライビングしていたが、気付けば信頼のおけるシャシーのおかげで安心感に包まれていた。とてつもない剛性感があってハイパワーに負けていないのだ。ボディがしっかりしており、路面の凹凸による入力もどっしりと受け止める。サスペンションは引き締まってはいるものの、短いストロークのなかにしなやかさがあって乗り心地は決して粗くはない。前19インチ/後20インチのタイヤを履くが、大きく重いという感覚がないことも、シャシー性能の余裕をうかがわせる。
うれしい装備
操作できる。
ハンドリングは従来よりも底上げされた印象。フロントまわりの剛性感がひと際高く、トレッドも広がったことで、ステアリングを切り込んでいったときの反応は正確かつシャープで気持ち良く旋回していくが、スタビリティも高くて安心してアクセルを踏み込んでいける。サスだけではなくMスポーツ・ディファレンシャルの効果も高いのだろう。先代に比べると大幅にパフォーマンスアップされた分、手の内に収まる感覚は薄れたかもしれないが、トゥーマッチではないぎりぎりの範囲。相変わらずストリートでのベストBMW Mだと言えるだろう。
Country Germany Debut 2023年2月 車両本体価格 958万円
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.151「2023-2024 スポーツカーのすべて」の再構成です。