元祖スポーツハッチの矜持「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI」【最新スポーツカー 車種別解説 VOLKSWAGEN GOLF GTI】

1974年の誕生で「ホットハッチ」という新たなジャンルを開拓した「フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI」。現行5代目はフェイス部分の赤の差し色やチェック柄のシートなど初代のトレードマークを踏襲している。 あえて他のスポーツハッチ競合車よりもスペック的には抑えているのは、ジェントルで大人っぽい落ち着いた乗り味を選択した結果。どんな時でもエンジントルクを正しく推進力とする素直さは熟成された大人好みのクルマと言える。
REPORT:佐野弘宗(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:平野 陽

1974年に登場の初代から連綿と熟成された味わい

ゴルフGTIはいわゆる「ホットハッチ」の元祖とされる。1974年に初代ゴルフに用意されたGTIのコンセプトを各社が模倣したことで、ホットハッチはひとつのジャンルとして確立した。以来、ゴルフには必ずGTIがあるが、最新GTIにつながる基本スペックを確立したのは2005年に国内発売された5代目だ。この世代から2.0ℓターボとなり、変速機にDCTが用意されるようになった。またフェイス部分の赤い差し色やチェック柄シート表皮など、初代GTI由来のお約束を復刻させたのも、この5代目だ。

エクステリア

GTI専用のLEDテールランプ、リヤスポイラー、クローム仕上げの2本出しテールパイプなどを装備。フロントにはハニカム形状のグリルや赤いストライプ、X字に並ぶ特徴的なフォグランプなどが備わり、標準モデルとの明確な違いを演出する。
電子制御ダンパーとのセットオプションであるDCCパッケージを装着すると、写真の19インチアルミホイールが備わる。タイヤはブリヂストンのポテンザS005で、サイズは235/35R19。

最新のゴルフGTIが搭載する2.0ℓ直噴ターボのピーク性能は245㎰/370Nm。日本やフランスの競合車より控えめな数値なのは、今の最速ゴルフと位置づけられるのは4WDの「R」であり、GTIの動力性能があえて寸止めされているからだろう。変速機もお馴染みのDCT。先代まではMTも販売されたが、現行型にMTの用意はない。

インテリア

10インチのデジタルメーターは3つの円形メーターを組み合わせたGTI専用グラフィックを選択可能。センタータッチスクリーンには通信モジュール(eSIM)が内蔵され、各種オンライン機能に対応する。ステアリングもGTIエンブレムが備わる専用装備。
トランスミッションは7速DCTを搭載。電子制御式シフトセレクターとして小さなスイッチが備わり、もちろんステアリングにマニュアル変速用のパドルスイッチも装備。
ペダルはGTI専用のアルミ調が採用されている。

その走りは最新競合車と比較すると、とても大人っぽく、快適で高級感もあるものだ。アクセルを少しばかり乱暴に扱っても、前輪が暴れるような兆候はみじんもなく、エンジントルクはきっちり推進力に変換される。最新GTIの技術的トピックのひとつとして、電子制御LSDが標準装備(先代では一部限定車専用だった)されたことがあるが、この卓越したトラクション性能にはその電制LSD効果も大きいと思われる。

Country       Germany
Debut        2021年12月
車両本体価格      514万4000円

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.151「2023-2024 スポーツカーのすべて」の再構成です。

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