モータースポーツ純粋培養カー!「トヨタGR ヤリス」【最新スポーツカー車種別解説 TOYOTA GR YARIS】

高いパフォーマンスを実現するために特化されたモデルが「GRヤリス」。1.5lのベーシックラインも用意されているが、明確な個性が出ているのは高出力のターボエンジンのライン。ラリー直系というストーリーも魅力的だ。
REPORT:河村康彦(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:平野 陽

迫力のエクステリアと圧倒の動力性能を誇る

「ヤリス・ファミリーの一員」という態を装うが、事実上はキャラクターも内容も独立したモデルと受け取れるのが『GRヤリス』。一部デザインに〝ヤリスの血統〞としての特徴が表現されているものの、空力性能向上のため後方でルーフラインが落ち込んだ3ドア・デザインのボディや、四つの車輪がグンと外側へと張り出したプロポーションなどは、オリジナルのヤリスとは別ものだ。

エクステリア

空力を考えた3ドアハッチバックボディは完全専用設計。フロントフードやリヤゲート、ドアパネルをアルミ製とすることで軽量化を図る。競技ベースのRCに用意されるライトパッケージでは塗装も省かれるほど。
ヤリス系のプラットフォームで、最高のパフォーマンスを実現するために生まれた「G16E-GTS」エンジンを搭載。回したときのビート感も楽しいもので3気筒という響きから想像するネガはほとんどない。空冷インタークーラーを冷却する水スプレー機能も備える。
開発陣のこだわりは徹底しており、タイヤ銘柄は四輪で揃えるよう明記されている。指定エア圧はフロント220kPa 、リヤ200kPaとなっているが、前後重量配分は59対41と合わせて考えると納得だ。
重量配分を適正化するため補機バッテリーはラゲッジ床下に配される。ラゲッジスペースは実測で奥行き600mm、幅890mmとさほど大きくはない。使い勝手を考慮して、後席は6対4の分割可倒式となる。

全体の佇まいは獰猛そのもの。まずはエクステリア面でもなりふり構わぬ手段で、走りのパフォーマンス向上に特化されているのだ。圧倒的な動力性能を与えるのが、新開発された1.6lエンジンと、電子制御式多板クラッチを用いたアクティブトルクスプリット4WDシステムという固有のパワートレイン。

インテリア

握っている場所が直感的にわかる専用ステアリングを採用。サイド式パーキングブレーキはドライビングに活用する前提だ。スマートフォンと連携する8インチディスプレイオーディオも装備される。
メーター中央の4.2インチ液晶には前後トルク配分などマニアックなデータを表示できる。
変速時にエンジン回転を自動調整する「iMT」は積極的に活用したい機能だ。
フットレストは狭いが、クラッチは軽めで容易に操作できる。

前者は、「排気干渉がより低い」という特徴をもつ3気筒デザインを敢えて採用。浅底ウォータージャケット化を図ったアルミダイカスト製のシリンダーブロックや高強度のアルミ製シリンダーヘッドなどに加え、セラミックボールベアリングを用いたターボチャージャー軸受を採用するなど随所に凝った設計を採り入れ、最高272psの出力と最大370Nmというトルクを発生。

また、「トヨタ・スポーツ4WDのDNAを受け継ぐ」と紹介される後者は、前後輪へのエンジントルク配分を〝ノーマル〞〝スポーツ〞〝トラック〞という三つの異なるモードで選択可能な設定が行われている。

世界的にも希少な武闘派 クラスの常識を超える加速力

ベーシックな1.5l自然吸気エンジンを搭載するモデルも用意はされているものの、〝GRヤリスの本来の姿〞はもちろん、先に紹介をした高出力のターボ付きエンジンを搭載するRZ系。1300rpm付近をクリアすれば、そこから何とか速度を回復できる程度のフレキシブルさは備えているものの、やはりその心臓が本領を発揮するのは3500rpmあたりから上。

小気味良いシフトフィールを味わえるMTを駆使してそうしたゾーンをキープすれば、奇をてらうことのないデザインで視認性に優れたタコメーター上に引かれた7000rpmレッドラインまではまさにアッという間で、このクラスの常識を遥かに超えた強烈な加速力を味わわせてくれることになる。

うれしい装備

カーボンルーフ(フィルム)がスポーティな印象を際立てる。 
4WDモードセレクトスイッチによりノーマル(前60対後40)、スポーツ(前30対後70 )、トラック(前50対後50) の3パターンから前後トルク配分を選べる。 
インタークーラー冷却用の水タンクや補機バッテリーがラゲッジ床下に確認できる。 
ミリ波レーダーとカメラを併用するACCが備わる。

前輪側にバイアスが掛かった〝ノーマル〞、後輪側にバイアスの掛かった〝スポーツ〞、そして前後輪に均等の配分が行なわれる〝トラック〞という4WDモードの切り替えによるハンドリング感覚の違いをドライ舗装の公道上で顕著に体感することはなかなか難しいが、それでも、スポーツモードでの走りでは、コーナーでの積極的なパワーオンで後輪側が外側へとはらみ出そうというテイストを実感。戦うために生まれて来た圧倒的な走りの能力のもち主であるGRヤリスは特に今の時代、日本のみならず世界でも稀で貴重な存在と断言できる存在だ。

Country          Japan
Debut           2020年9月(RC“Light Package”追加:22年6月)
車両本体価格        265万円〜456万円

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.143「2022-2023 スポーツカーのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/143/

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