FIAフォーミュラ1世界選手権(F1)に参戦するマネーグラム・ハースF1チームが、2024年シーズンに投入する新型マシン「VF-24」の外観を発表した。新車のシェイクダウンはニコ・ヒュルケンベルグの手により、2月11日にイギリスのシルバーストンで行われる予定となっている。
2023年のハースはケビン・マグヌッセンとヒュルケンベルグという経験豊富なコンビでシーズンを戦った。同年型マシン「VF-23」は予選一発の速さはあるものの、レースにおいてはライバルの後塵を拝し、ドライバーズランキングではヒュルケンベルグが16位、マグヌッセンは19位に終わり、チームもコンストラクターズランキングで最下位となる10位に甘んじた。
しかし、ハースは2023年シーズン第19戦アメリカGPにおいてマシンを大幅にアップデート。これは2024年シーズンを見据えて開発されたものであり、同GPでのパッケージを作るために2カ月にわたり2024年型マシンの開発がストップしたというが、このたび公開されたVF-24の開発に際して集中すべきエリアを確認することができたという。
ハースはまた、2024年シーズンに向けてチーム体制を刷新した。
F1参戦から一貫してチームを率いたギュンター・シュタイナーがチーム代表を退任し、2023年はエンジニアリングディレクターを務めた小松礼雄氏が同職に就いた。加えて、チーフデザイナーだったアンドレア・デ・ゾルドがテクニカル・ディレクターに、ビークル・パフォーマンス・グループの責任者だったダミアン・ブレイショーがパフォーマンス・ディレクターに就任。新体制で浮上を図る。
レギュラードライバーは昨季から引き続き、ヒュルケンベルグとマグヌッセンが務める。リザーブドライバーとして、チーム加入6年目のピエトロ・フィッティパルディと、フェラーリの育成ドライバーであるオリバー・ベアマンが控える。
開幕戦で速くなくてもスタッフの質のせいではない
ハースの小松チーム代表は新車発表に際し「VF-24への期待は現実的なものですが、F1シーズンにおいてマシンを披露するのはエキサイティングな瞬間です」とコメント。
「VF-24のパフォーマンスを向上させるために、私たちの前には多くの仕事が待ち受けていますが、ここにいる全員が高いモチベーションを持ち、VF-24でコースに出ることを熱望しています。バーレーンでの時間を最大限に活用するために、さまざまな課題に取り組んでいくつもりです。シーズンをスタートさせるのが待ちきれません」
また、VF-24への期待感については、次のように述べている。
「バーレーンの開幕戦では最後尾とまではいかなくても、グリッドの後方あたりになるだろうと思っています。チーム代表に就任して以来、私はイギリスとイタリアの両方のマネージャーと話すのに多くの時間を費やしてきました。これが浮上するチャンスであり、改善すべき点があらゆるところにあるとわかっているので、彼らは喜んでいました。バーレーンでの開幕戦でマシンに速さがなくても、それはスタッフの質のせいではありません。昨年のアメリカGPに向けたアップデートで、2024年に向けた開発がストップしたからです。たしかに、時間はロスしてしまいましたが、風洞ではいい結果を得られていますので、それはポジティブなことですし、特性という点でも正しい方向に向かっています」
「いまの焦点は、バーレーンでのテストプログラムを充実させ、チームが分析し、クルマを開発する方向性を理解するための質の高いデータを得ること。つまり、VF-24の長所と短所を正確に理解し、首尾一貫した計画を立ててマシンのアップデートを行うことです。そしてそれは我々ができていなかったことなのです」
「ドライバーの役割も強くなるでしょう。昨年は、ドライバーからの主観的なフィードバックという点では、彼らのクルマの弱点に対する理解は明確でしたが、それをクルマの開発プログラムに反映させることはできなかった。今回のチーム改革では、この問題を解決するため、ドライバーと開発陣のループをより密にして、何も失われないようにすることを目指しています。エンジニアたちはセンサーからデータを得られますが、クルマを運転して何が起こっているかを感じることはできない。だから、ドライバーのフィードバックをよりよく理解し、反応できるようにならなければなりません」
なお、F1のプレシーズンテストは2月21日~23日、バーレーンで実施。そして、2024年シーズン開幕戦となるバーレーンGPは2月29日~3月2日、同地での開催予定となっている。