ホンダ2代目「「ライフ」が90万~デビュー! 23年ぶりの復活がなぜ1年半の短命で終わったのか?【今日は何の日?4月27日】

2代目ライフ
2代目ライフ
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日4月27日は、ホンダの名車「N360」を源流とする「ライフ」が、23年ぶりに復活した日だ。2代目となるライフは、発売の翌1998年の軽自動車規格変更に対応するため、僅か1年半の短命に終わった、ショートリリーフ的なモデルだった。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)

新規格対応のため僅か1年半で3代目へバトンタッチ

1997年(平成9)年4月27日、ホンダから2代目「ライフ」が発売(発表は4月18日)。1971年に誕生した初代ライフは、好評を得ながらも1974年に生産を終了。その後、23年の時を経て待望の復活を果たした2代目ライフだったが、軽の新規格に対応するため僅か1年半の短命で3代目にバトンを渡した。

2代目ライフ
1997年に23年ぶりの復活を果たした2代目「ライフ」

名車N360を源流とする初代ライフ(SA型)デビュー

初代ライフは、2024年の今から53年前の1971年に誕生。1967年にデビューし大ヒットした名車「N360」を源流とする「NIII360」の後継モデルである。

N360
1967年に誕生して大ヒットした「N360」

当時の軽規格サイズぎりぎりの四角張った斬新なスタイリングで、エンジンは当時、排ガス規制が厳しくなったため、それまでの空冷から水冷2気筒エンジンに換装。爆発的に売れ軽自動車の歴史を変えたN360、使いやすい庶民の足を目指したNIII360、それらを引き継いだライフは、居住性を高めたファミリーカーとして人気を集めた。

初代ライフ
1971年に誕生した初代ライフ。「N360」、「NIII360」の後継モデル

ところが、1974年に3年余りで生産を終了。1972年にデビューした小型車「シビック」が世界的に大ヒットし、ホンダは小型車へリソースを集中することを選択したのだ。世界展開を考えるホンダにとっては、収益が高く、世界に通用する小型車へのリソースの集中は、ごく自然な成り行きだった。

2代目ライフ(JA4型)は、RV風ハイトワゴン

小型車で成功してリソースに余裕ができたホンダは、1985年に「トゥデイ」で軽事業の復活を果たし、ライフも23年ぶりに2代目が1997年のこの日復活したのだ。

2代目「ライフ」
2代目「ライフ」のリアビュー。広い室内と荷室空間を確保

開発コンセプトは、“セダンとワゴン両方の魅力を合わせ持つクルマ”。高い位置に配備された大型のヘッドライトと、大型のバンパーグリルを装備した、当時ブームとなっていたハイトワゴンとRVを融合したスタイリングだった。
パワートレインは、最高出力48psを発生する660ccの直3 SOHCエンジンと5速MTおよび3ATの組み合わせ、駆動方式はFFが採用された。

2代目ライフ
2代目ライフ

優れた走行性能や扱いやすさ、広い室内空間などRV風の雰囲気を持ったハイトワゴンは、車両価格90万~116万円で販売され一定の評価を受けたが、僅か1年半で3代目(JB1型)へと切り替わった。ちなみに、当時の大卒初任給は19.5万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で106万~137万円に相相当する。
短命となったのは、1年半後の1998年10月に軽自動車の規格変更(ボディサイズ拡大)が実施されることが分かっていたため、購入が敬遠され販売が伸びなかったためである。

5代目(JC1型)を最後にN-WGNへバトンタッチ

1998年に登場した3代目(JB1型)ライフは、“運転しやすく、使いやすく、走りやすく”をコンセプトに楽しさを追求。2003年には“ハートフル・テクノロジー”のコンセプトで使いやすい4代目(JB5型)が続き、そして2008年に登場した5代目が最後のライフとなった。

5代目ライフ
2008年に登場した最後の5代目ライフ

5代目ライフは、“デイリー・スマイル・テクノロジー”をコンセプトに掲げ、ユーザーの誰もが毎日笑顔で過ごせるパートナーを目指し、視界の良さ、快適さ、運転しやすさ、安全性を重視し、特に女性にやさしい装備が採用されたのが特徴。
5代目も堅調な販売を続けたが、2014年にデビューした「N-WGN」にバトンを渡して生産を終了した。
そのNシリーズは、スーパーハイトワゴン「N-BOX(2011年~)」、セダン「N-ONE(2012年~)」、ハイトワゴン「N-WGN(2014~)」、商用車「N-VAN(2018年~)」と続き、2024年現在も圧倒的な人気を獲得している。

短命に終わった2代目ライフはヒットとはいかなかったものの、その後のライフシリーズが一貫して追求した広い室内空間、優れた走行性能、運転しやすさ、安全性などは、その後登場して今も圧倒的な人気のNシリーズにつながり、花開いたと言える。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…