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■2代目エクリプスに限定販売のオープンモデルを追加
1996(平成8)年5月23日、三菱自動車から2代目「エクリプス」をベースにしたオープンモデル「エクリプス・スパイダー」がデビュー。エクリプスは、三菱が設計し、当時提携関係にあったクライスラー社と共同開発したコンパクトクーペで、米国で生産して日本で輸入販売したモデルである。
●クライスラーとの提携で生まれたコンパクトクーペ
三菱自動車は、重工から独立した1970年にクライスラーと資本提携を締結し、三菱車の一部をクライスラーブランドで販売していた。エクリプスは、三菱で設計し、1985年に設立されたクライスラーとの合弁会社「ダイヤモンドスターモーターズ(DSM)」で共同開発し、新設の米国イリノイ工場で生産。1988年からまず米国で、1990年からは日本へ輸入して販売された。
スタイリッシュな3ドアハッチバックのコンパクトクーペで、グリルレスのリトラクタブルヘッドライト、バンパー一体型のフロントスポイラー、大きく張り出したテールスポイラーなどにより、スポーティさを演出。エンジンは、最高出力140psの2.0L直4 DOHCのNA(無過給)および200psのターボの2機種で、駆動方式はFFに加えて、4WDも用意された。
エクリプスは、スタイリッシュなデザインと高性能な走りで北米では人気を獲得したが、日本では輸入車だったため価格が327万円と高額となり、さらに左ハンドルということもあり販売は限定的だった。
●ランエボと同じ名機4G63型エンジンを搭載した2代目
1994年、エクリプスは2代目へとモデルチェンジ。スタイリングは一新され、リトラクタブルヘッドライトをやめて横長のヘッドライトに変更し、初代よりも曲面を多用したダイナミックなフォルムに変貌した。
パワートレインは、ランエボ(ランサーエボリューション)にも搭載されていた最高出力220psを発揮する2.0L直4 DOHCインタークーラー付ターボと、5速MTおよび4速ATの組み合わせで、FFながらパワフルな走りが実現されたが、販売面では苦しんだ。
当時は、トヨタ「セリカ」、日産自動車「シルビア」、マツダ「RX-7」など人気のスポーツモデルが多かったこと、さらにMT車が236万円、AT車が247万円と割高感があったことが、厳しい販売を強いられた要因だった。
●200台限定販売でオープンモデルのスパイダーを追加
2代目エクリプスデビューの2年後1996年に、限定販売でオープンモデルのスパイダーが加わった。
クーペスタイルのルーフを電動トップにしたオープンボディに、クーペと同じ高性能の220psを発生する2.0L直4 DOHCインタークーラー付ターボエンジンを搭載し、ミッションは4ATのみ。電動開閉式のソフトトップは10秒で開閉でき、運転席&助手席エアバックとABSが標準装備された。
当時は、バブル景気が崩壊しスポーツモデル冬の時代に突入した最悪のタイミング。ベースのクーペの販売は伸びなかったが、個性的なスパイダーは価格288万円/200台限定で販売され、すぐに完売となった。ちなみに、当時の大卒初任給は19.4万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算で現在の価値では約340万円に相当する。
なお、エクリプスはこの2代目を最後に日本への投入は中止され、2004年に新型となったスパイダーのみ日本で販売された。
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エクリプスの名前を受け継いだ「エクリプスクロス」が2018年にコンパクトSUVとなって復活。さらに2020年には「エクリプスクロスPHEV」へと進化した。高性能スポーツモデルの時代が終わり、世界的なSUV時代と電動車時代の到来に合わせ、エクリプスも進化したのだ。
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