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柔和な印象に仕立てた内外装 収納充実なうえ居住性も抜群
今は後席側のドアをスライド式にした軽自動車が人気で、その大半は全高を1700㎜以上に設定する。その中でワゴンRスマイルは、全高を1695㎜に抑え、同じスズキのスペーシアよりも90㎜低い。一方、ライバル車のダイハツ・ムーヴキャンバスと比べると40㎜高い。このようにワゴンRスマイルは、スライドドアを装備しないワゴンRと、スペーシアの中間的な存在だ。
エクステリア
ワゴンRスマイルのフロントマスクには楕円形のヘッドランプが備わり、外観は柔和な印象だが存在感も強い。水平基調だから、ボンネットが少し視野に入り、ボディの先端位置や車幅もわかりやすい。サイドウインドウの下端が低めに抑えられ、視界が前後左右ともに優れている。最小回転半径も4.4mに収まり、縦列駐車や車庫入れもしやすい。内装では、外観と同じくインパネを丸みのあるデザインに仕上げた。助手席の前側にはボックスティッシュが収まる大きなトレーが備わり、ポケット類も多い。助手席の下にも大きな収納ボックスがあり、取っ手が付いているから車外に持ち出せる。居住性も快適で、身長170㎝の大人4名が乗車したとき、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ3つ半に達する。頭上にも十分な余裕があり、座り心地は柔軟で馴染みやすい。
乗降性
シートアレンジも充実している。後席の背もたれを前側に倒すと、座面も連動して下がり、ほぼフラットな広い荷室に拡大できる。後席には前後スライド機能も備わり、前側に寄せると、4名で乗車しても十分な量の荷物を積める。しかもこれらのシートアレンジはすべて左右独立式。全高は1700㎜を下回るが、シートアレンジはスペーシアと共通で実用性もスーパーハイトワゴンに匹敵する。
インストルメントパネル
エンジンは自然吸気のみ。それでも車両重量がFFであれば800㎏を下回り、スライドドアを備えた軽自動車としては軽い。平坦な街なかを走るならパワー不足を感じない。エンジンは4000rpmを超えたときの吹け上がりも活発だ。エンジンノイズの粗さを改善すると、運転感覚が一層向上するだろう。売れ筋グレードにはマイルドハイブリッドも搭載され、WLTCWモード燃費は25.1㎞/ℓと優れている。
居住性
ステアリング操作に対する車両の動きは、背の高い軽自動車らしく穏やかだ。峠道では少し曲がりにくいが、初心者ドライバーを含めて、誰でも運転しやすい。乗り心地は、時速40㎞を下回る低速域では少し硬く、上下に揺すられやすい。タイヤが転がり抵抗を抑えたタイプで、指定空気圧も240kPaと高いためだ。燃費は優れているが、乗り心地には注意したい。短時間の試乗でも確認できるから、販売店の試乗車で確認しておきたい。
うれしい装備
月間販売台数 5704台ワゴンR/ワゴンRスティングレー/ワゴンRカスタムZを含む(23年7月~12月平均値) 現行型発表 21年8月(一部仕様変更 23年7月) WLTCモード燃費 25.1 ㎞/ℓ ※「ハイブリッド」系のFF車
ラゲッジルーム
ワゴンRスマイルは、スライドドアも含めて、各部の機能が実用的だからファミリーカーとして使いやすい。その上で外観を柔和な雰囲気に仕上げた。横開きドアを装着して価格を抑えたワゴンR、背が高く装備の充実するスペーシア、SUV風のハスラーと相まって、背の高い軽自動車の選択肢を広げている。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.157「2024 軽自動車のすべて」の再構成です。