両側スライドドア採用でファミリーカーに最適「スズキ ワゴンR スマイル」【最新軽自動車 車種別解説 SUZUKI WAGON R SMILE】

丸いヘッドライトにやわらかいフロントフェイスがキュートな印象の「スズキ・ワゴンR スマイル」。内装も車幅や先端も視認しやすい配置がされ、収納にも優しい配慮が行き届いている。両側スライドドアでシートアレンジも柔軟に対応。街中の買い物など、価格も含めてデイリーユースのファミリーカーとして抜群の良車といえる。
REPORT:渡辺陽一郎(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:中野幸次 MODEL:平岡明純

柔和な印象に仕立てた内外装 収納充実なうえ居住性も抜群

今は後席側のドアをスライド式にした軽自動車が人気で、その大半は全高を1700㎜以上に設定する。その中でワゴンRスマイルは、全高を1695㎜に抑え、同じスズキのスペーシアよりも90㎜低い。一方、ライバル車のダイハツ・ムーヴキャンバスと比べると40㎜高い。このようにワゴンRスマイルは、スライドドアを装備しないワゴンRと、スペーシアの中間的な存在だ。

エクステリア

撮影車両は特別仕様車のため、フロントグリルやホイールキャップが専用タイプとなっている。ベースの「ハイブリッドS」はハロゲンヘッドライトだが、LEDヘッドランプとなるのも特別装備のひとつ。最小回転半径は4.4m。

ワゴンRスマイルのフロントマスクには楕円形のヘッドランプが備わり、外観は柔和な印象だが存在感も強い。水平基調だから、ボンネットが少し視野に入り、ボディの先端位置や車幅もわかりやすい。サイドウインドウの下端が低めに抑えられ、視界が前後左右ともに優れている。最小回転半径も4.4mに収まり、縦列駐車や車庫入れもしやすい。内装では、外観と同じくインパネを丸みのあるデザインに仕上げた。助手席の前側にはボックスティッシュが収まる大きなトレーが備わり、ポケット類も多い。助手席の下にも大きな収納ボックスがあり、取っ手が付いているから車外に持ち出せる。居住性も快適で、身長170㎝の大人4名が乗車したとき、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ3つ半に達する。頭上にも十分な余裕があり、座り心地は柔軟で馴染みやすい。

乗降性

シートアレンジも充実している。後席の背もたれを前側に倒すと、座面も連動して下がり、ほぼフラットな広い荷室に拡大できる。後席には前後スライド機能も備わり、前側に寄せると、4名で乗車しても十分な量の荷物を積める。しかもこれらのシートアレンジはすべて左右独立式。全高は1700㎜を下回るが、シートアレンジはスペーシアと共通で実用性もスーパーハイトワゴンに匹敵する。

インストルメントパネル

助手席加飾パネルは特別仕様車専用のチタニウムグレー。カタログモデルはアイボリーパールなどの3色を用意する。シンプルなメーター内に4.2インチディスプレイを備える。

エンジンは自然吸気のみ。それでも車両重量がFFであれば800㎏を下回り、スライドドアを備えた軽自動車としては軽い。平坦な街なかを走るならパワー不足を感じない。エンジンは4000rpmを超えたときの吹け上がりも活発だ。エンジンノイズの粗さを改善すると、運転感覚が一層向上するだろう。売れ筋グレードにはマイルドハイブリッドも搭載され、WLTCWモード燃費は25.1㎞/ℓと優れている。

居住性

ステアリング操作に対する車両の動きは、背の高い軽自動車らしく穏やかだ。峠道では少し曲がりにくいが、初心者ドライバーを含めて、誰でも運転しやすい。乗り心地は、時速40㎞を下回る低速域では少し硬く、上下に揺すられやすい。タイヤが転がり抵抗を抑えたタイプで、指定空気圧も240kPaと高いためだ。燃費は優れているが、乗り心地には注意したい。短時間の試乗でも確認できるから、販売店の試乗車で確認しておきたい。

うれしい装備

初代ワゴンRからの伝統であるダブルフォールディングリヤシートは、背もたれに連動して座面が沈む。ショルダーのレバーで格納する。
月間販売台数     5704台ワゴンR/ワゴンRスティングレー/ワゴンRカスタムZを含む(23年7月~12月平均値)
現行型発表      21年8月(一部仕様変更 23年7月)
WLTCモード燃費    25.1 ㎞/ℓ ※「ハイブリッド」系のFF車

ラゲッジルーム

ワゴンRスマイルは、スライドドアも含めて、各部の機能が実用的だからファミリーカーとして使いやすい。その上で外観を柔和な雰囲気に仕上げた。横開きドアを装着して価格を抑えたワゴンR、背が高く装備の充実するスペーシア、SUV風のハスラーと相まって、背の高い軽自動車の選択肢を広げている。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.157「2024 軽自動車のすべて」の再構成です。

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