愛嬌あるフェイスと柔和な雰囲気で魅了する「ダイハツ・ムーヴ キャンバス」【最新軽自動車 車種別解説 DAIHATSU MOVE CANBUS】

トールサイズの軽自動車ではなくても良い、でも両サイドスライドドアがいい、という層にあえて全高160mmのサイズを用意したのが「ダイハツ・ムーヴ キャンバス」だ。丸みを帯びたソフトで柔和さを感じるエクステリアは細かな造形のバランスが良く、長く飽きない上質さを備えている。アクティブな印象の「ストライプス」と落ち着いた色使いの「セオリー」とユーザーの好みに合わせてセレクトできる。
REPORT:渡辺陽一郎(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:大須賀あみ

内外装の印象が大きく異なる二種類のシリーズから選択可能

2022年には新車として売られたクルマの39%が軽自動車で、特にスライドドアを装着した車種が人気だ。今の比較的若いユーザーは、90年代の中盤から普及が進んだミニバンに親しんで育ったため、スライドドアを備える背の高い車種がクルマの基本形になっている。そこで軽自動車も背の高い車種を選ぶ。

エクステリア

丸みを帯びたフォルムに、ルーフとウェストラインの下部、前後に白いアクセントが配された「ストライプス」は、その名のとおり、ストライプをイメージ。「ストライプス」はツートーンカラーのみになる。最小回転半径は4.4m。

ダイハツではタントが最多販売車種になったが、ユーザーによっては「全高が1700㎜を超えるボディはいらない」と考える。そこでムーヴキャンバスが開発され、22年7月には2代目へフルモデルチェンジした。ムーヴキャンバスの全高は1655㎜(FF)だから、タントよりも100㎜低いが、後席側のドアはスライド式だ。

そして一番の特徴は、丸みのあるデザインで愛敬もあるフロントマスク。ボディサイドは水平基調でシンプルに仕上げた。リヤゲートには少し傾斜が付けられ、外観は柔和な雰囲気だ。ただし過剰なかわいらしさはなく、適度な抑制も利かせた。ボンネットとルーフの寸法比率、背の高さ、前後のピラー(柱)とウインドウの角度など、さまざまな造形のバランスが良く、見飽きない上質な外観としている。

乗降性

「ストライプス」の外装も注目される。ツートーンカラーだが、ルーフ、ボンネット、ボディの下まわりがホワイトパールで、ボディの中央部分は別の色に塗り分けている。一方、モノトーンには、「セオリー」というシリーズ名を与えた。「ストライプス」には装着されないボディ側面の細いピンストライプ、メッキリヤバンパーモールなどが備わる。内装も異なり、「ストライプス」のインパネはホワイトだが、「セオリー」はブラウンだ。ステアリングホイールは、ストライプスはウレタンだが、「セオリー」の「G」と「Gターボ」は本革巻きになる。つまり「セオリー」は、落ち着いた上質感を重視している。

インストルメントパネル

水平基調のすっきりた造形で、白をベースにインパネ上辺やセンター操作部に黒を配色する。プッシュ式オートエアコンは標準で、9インチスマホ連携オーディオはオプション。

全高はタントよりも低いが、車内は十分に広い。身長170㎝の大人4名が乗車して、後席に座る乗員膝先には、握りコブシ三つ少々の余裕がある。シートの座り心地は、前席は背もたれが腰を包む印象で快適だ。後席は柔軟性が少し乏しいが、不満はない。

居住性

ムーヴキャンバスならではの機能として、「G」と「Gターボ」に備わる「置きラクボックス」がある。後席の下に引き出し式の収納ボックスが備わり、引き出した状態で、ついたてを立ち上げるとバスケット状になる。バスケットの内側に買い物袋を収めると、走行中に倒れて袋の中身が車内に散乱するのを防げる。車両重量はタントに比べて約40㎏軽く、動力性能に若干の余裕がある。自然吸気も実用回転域の駆動力が比較的高く、運転しやすいが、パワー不足を感じたときは「Gターボ」も検討したい。

うれしい装備

インパネスイッチで予約しておくと、車両に近づくだけでリヤドアが自動で開くウェルカムオープン機能をパワースライドドアの「G」系に設定。
月間販売台数    4917台(22年7月〜12月平均値)
現行型発表      22年7月
WLTCモード燃費   22.9km/l ※自然吸気のFF車 

ラゲッジルーム

乗り心地は、背の高い軽自動車では快適な部類だ。全高が1700㎜以下で、重心も低めだから、足まわりを適度な硬さに設定できた。乗り心地が良いから、大人4名で乗車する機会の多いユーザーにはピッタリだろう。「Gターボ」であれば、高速道路や峠道を走るユーザーにも適している。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。

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