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クラシカル意匠のLCを追加 運転しやすく座り心地も好感
ラパンはスズキのベーシックモデルである先代アルトがベースだが、丸目のヘッドライトを採用した親しみやすい外観と温かみのあるオシャレなインテリアを採用することで、若い女性に人気を集めている。ラパンの語源はフランス語でウサギを意味するため、エンブレムやリヤランプ、メーターなど、クルマの随所にウサギのアイコンが散りばめられているのも特徴。メーター内の液晶モニターには日々ウサギが表れ、誕生日や正月を祝ってくれるなど、遊び心も豊富だ。
エクステリア
スタイリングはスクエアなシルエットをベースとしながらも、カドのない丸みを帯びたデザインに仕上げられており、キュートな雰囲気を醸し出している。このシンプルで飽きのこないデザインが高く評価され、間もなく発売から9年を迎えるロングセラーモデルとなっている。とはいえ徐々に新鮮味が薄れてきているのも事実。そこで、一昨年には外観の印象が異なる新シリーズのLCを追加した。
乗降性
LCの外観は1960〜70年代に人気のあったフロンテがモチーフとなっており、フロンテに似た専用デザインのフロントグリルやリヤのめっきガーニッシュを採用することで、クラシカルなイメージを演出。インテリアも落ち着きのあるブラウン基調となり、シート表皮にもチェック柄の生地と合成皮革を組み合わせて、昭和テイストのクルマをつくり上げた。少しフロントマスクのとぼけた感じが強いが、LCなら男性が乗ってもサマになる。
インストルメントパネル
ラパンの魅力は運転のしやすさだ。前席シートはソファのようにクッションが厚く、小柄な人でも前方が見やすい。カーブでのシートのホールド性は良くないが、包み込んでくれるようなクッション素材なので座り心地は良好だ。フロントガラスが立っているため、運転席からはピラーの死角が少なく、ボンネットもよく見えるので狭い道や駐車場でも取り回しがしやすい。最小回転半径も4.4mと軽トップレベルに小さいため車庫入れも楽にできる。後席にスライド機構はないが、足元には十分な広さがあり、頭上空間にも余裕があるから大人でも快適に過ごせる。
居住性
エンジンは自然吸気のみだが車両重量が軽く、全高もハイトワゴンのように高くはないのでスムーズに走ってくれる。ラパンの車両重量なら、ひと足先にフルモデルチェンジされたアルトに設定されたハイブリッドの必要性は感じられないし、燃費性能も大きな差はないだろう。自然吸気なので登坂路では高回転になりがちだが、巡航中は回転が抑えられているから車内は静かだ。フットワークは乗り心地を重視した柔らかいサスペンションを採用しているため、快適性は高い。だが、カーブでは操舵に対する遅れが感じられ、低い全高の割にはロールも大きいので、シャープなコーナリング性能を期待してはいけない。山道や高速道路では外観に見合った、ほのぼのとしたドライブを楽しみたい。
うれしい装備
月間販売台数 2131台(23年7月~12月平均値) 現行型発表 15年6月(一部仕様変更 23年11月) WLTCモード燃費 26.2 ㎞/ℓ※FF車
ラゲッジルーム
ロングセラーモデルだが安全装備などはアップグレードされているから心配はいらない。とにかく運転がしやすいクルマなので、免許取りたての女性には最適の軽自動車だ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.157「2024 軽自動車のすべて」の再構成です。