走行性能は?肝心な燃費は? 日産セレナとトヨタ ヴォクシー、普段使いで“活きる”ハイブリッド4WDミニバンはどっちだ

これまで、Mクラスミニバンのハイブリッドモデルに4WDの設定がある車種はトヨタ ノア/ヴォクシーのみだったが、2024年11月に日産 セレナへe-4ORCEが追加されたことで状況が一変した。「セレナ ハイウェイスター e-4ORCE」と「ヴォクシー E-Four」のスペックを比較してみよう。

NISSAN SERENA
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TOYOTA VOXY

居住空間に優れるセレナ、使い勝手で勝るヴォクシー

セレナ ハイウェイスターはボディサイズがヴォクシーよりも大きくなっているが、それは専用エアロパーツの張り出しによるものであり、ボディ自体は5ナンバーの標準セレナと共通だ。それにも関わらず、全車3ナンバーとなったヴォクシーよりセレナのほうがほんの少しだけ室内空間が広い。

しかし、荷室を広く使えるのはヴォクシーのほうだ。セレナは左右の壁面に格納される3列目シートの張り出しがヴォクシーより大きく張り出している。そのほか、ヴォクシーにはフリーストップバックドアやオットマンシートなど、クルマが使いやすくなる新機能が多数盛り込まれている。

居住空間の広さで優れるのはセレナ、全体の使い勝手で勝るのはヴォクシーと言えるだろう。

日産 セレナ  e-4ORCE ハイウェイスターV
ボディサイズ:全長4765mm×全幅1715mm×全高1885mm
ホイールベース:2870mm
車両重量:1930kg
タイヤサイズ:205/65R16(前後)

トヨタ ヴォクシー ハイブリッド S-Z E-Four
ボディサイズ:全長4695mm×全幅1730mm×全高1895mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:1710kg
タイヤサイズ:205/60R16(前後)

燃費性能ではe-4ORCEよりもE-Four

高応答性を備え、高トルクを発揮できるモーター式の4WDは、トラクション性能や車両安定性の向上に加え、制御次第では乗り心地の改善にも効果的だ。

トヨタのE-Fourも十分に優れた性能だが、強力な前後モーターとブレーキを協調制御させる日産のe-4ORCEは、さらに幅広い状況でより高い性能を発揮する。

駆動力を適切にコントロールしてくれるe-4ORCEなら、滑りやすい凍結路も凸凹に荒れた雪道でも車内は平穏に保たれる。その効果は、乾燥路面でも車内の揺れや乗り心地の違いとしてはっきりと体感できるほどだ。

ただし、e-4ORCEは後輪を積極的に使うぶん消費電力が増えるためか、E-Fourよりも燃費の落ち込みが大きい。WLTCモード平均燃費はヴォクシーの22.0km/Lに対し、セレナは16.1km/Lと大きな差がつく。

日産 セレナ  e-4ORCE ハイウェイスターV
エンジン形式:直列3気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:1433cc
最高出力:98ps/5600rpm
最大トルク:123Nm/5600rpm
トランスミッション:単速
駆動方式:4WD

トヨタ ヴォクシー ハイブリッド S-Z E-Four
エンジン形式:直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:1797cc
最高出力:98ps/5200rpm
最大トルク:142Nm/3600rpm
トランスミッション:電気式CVT
駆動方式:4WD

ミニバンにベストなe-4ORCE!しかし欠点も見逃せない

モデル全体の価格はセレナのほうがわずかに安いが、e-4ORCEモデルはE-Fourモデルと同等の値段になる。セレナ  e-4ORCE ハイウェイスターに至っては、ヴォクシーの最上級グレードS-Z E-Fourよりも12万円ほど高額だ。

高い価格もe-4ORCEの高い性能を加味すれば妥当と言えるだろう。降雪地域だけでなく非降雪地域でも活躍するe-4ORCEは、家族を乗せて走行する機会が多いミニバンにベストマッチする4WDシステムだ。

ただしe-4ORCEモデルのデメリットとして、燃費の悪化以外に乗車定員が7人に限定される点も挙がる。両車ともに優秀なミニバンであることは間違いないが、車両価格や燃費性能を含めてコストパフォーマンスに優れるのはヴォクシーだ。4WDに関しては用途や予算を考慮して慎重に選びたい。

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