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競合車より広い後席居住空間 EV感覚のアクセル操作
日産キックスはコンパクトSUVといえどもグローバルカーなので、全幅は1760㎜の3ナンバーサイズ。これはトヨタのヤリスクロスとほぼ同じ幅だが、キックスの方が全長は110㎜、ホイールベースは60㎜長い。その差は主に後席足元空間に現れており、後席に大人が座る頻度が高いなら、キックスの方が快適だ。後席を倒した際の床面長もライバルより長く、平均的日本人成人男性の身長(172㎝)なら、横になることができるほど。
エクステリア
キックスはもともと、中南米やアジアの新興国向けに企画されたモデルで、タイ生産車にハイブリッドシステム〝e-POWER〞を搭載したのを機に日本仕様を設定。タイ工場で生産され、日本に輸出している。e-POWERとは、一般的に言うとシリーズ式ハイブリッド。エンジンで発電機を回し、その電力をモーターに送って走行する。発電電力の余剰でバッテリーを充電し、満充電になったらエンジンを止め、バッテリーからの電力で走行。エンジン稼働時もエンジン出力(60kW )だけでは足りないような急加速時にはバッテリーからの電力も上乗せし、136ps/280 のモーターをフルに使用して走る。
乗降性
エンジンは発電専用なので、走行中に稼働したり止まったりするし、稼働している最中も、加減速とは関係なく一定回転で回っていることがほとんど。音も「遠くにプロペラ飛行機が飛んでいる」という程度なので、乗っているうちにエンジンの存在自体が気にならなくなる。
インストルメントパネル
それでいて加速応答はモーターならではの鋭さがあるし、ECOまたはSPORTモードを選択すると、アクセルオフだけで最大0.15G(Dレンジ)の減速度が出せる〝e-Pedal Step〞が使えるから、ブレーキペダルに踏み換える頻度が激減。運転感覚はほとんどEVと変わらない。ライバルに対して弱点があるとすれば、高速走行の燃費があまり伸びないこと。エンジンが効率良く使用できるときでも、電気に変換して使用するため、そのぶんだけロスが出てしまうからだ。
居住性
駆動方式はFFだけでなく4WDも用意。後輪を独立した電気モーターで駆動する電動4WDだ。リヤモーターの出力は あり、ドライの舗装路でも駆動力配分を行なうそうだが、常識的な速度で走っている範囲では、あまり恩恵は感じられない。余談になるが、この後輪駆動ユニットを軽自動車用に仕立て直したのが、サクラの電気駆動ユニットだ。次期モデルはすでに、今年3月日に北米市場で発表されており、夏以降に市場導入されることが発表されている。北米仕様は2.0ℓ直列4気筒ガソリンエンジンを搭載し、スリーサイズは全長4366mm×全幅1800mm×全高1630mmというスペック。ホイールベースは2665mmと、現行モデルより薄皮一枚大きくなっている。
うれしい装備
月間販売台数 1488台(23年11月~24年4月平均値)
現行型発表 20年6月(仕様向上 24年5月)
WLTCモード燃費 23.0km/l ※FF車
ラゲッジルーム
日本向けがいつになるかは定かではないが、パワーユニットはシリーズ式ハイブリッドのe-POWERになる可能性が高い。現行型のものをキャリーオーバーするか、セレナと同じ1.4ℓユニットに換装されるか、興味のもたれるところだ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.159「2024-2025 コンパクトカーのすべて」の再構成です。