高回転域の絶頂フィーリングはロータリーエンジンならでは!【ニューイヤークラシックカーミーティング】
マツダ・サバンナRX-7の2代目、FC3Sは1985年に発売されて92年のフルモデルチェンジまでの7年間、生産され続けたスポーツカー。初代SA22Cも同じ期間で次世代のFD3Sはさらに長い期間作り続けられたから、モデルチェンジする回数が極端に少なく、それだけライバル不在の特徴的なモデルだったといえる。
熱心なファンが多い理由の一つがエンジン。ピストンが上下する一般的なレシプロ方式ではないロータリー方式を採用していたのだ。振動が少なく高回転までスムーズに回り「夢のエンジン」とさえ呼ばれたロータリーだが、耐久性がレシプロほど高くないことでも有名。10万kmも走ればいいとさえ評する人もいて、圧縮が抜けることでパワーダウンしてしまうことが多い。
ところが17万5000km以上走ってもパワーダウンを感じないからと、オーバーホールせずに乗り続けられている人もいる。埼玉県羽生市で開催された「ニューイヤークラシックカーミーティング」の会場に展示されていた真っ赤のFC3Sがそれで、オーナーは53歳になる向佐 創さん。一度はロータリーエンジンのモデルに乗ってみたいと考え、2005年にマツダディーラーから現車を中古車として購入している。
2005年といえば、次世代のFD3Sも生産が終了して自然吸気方式の13B型を採用するRX-8が販売されていた頃。FD3Sの人気は高くてもFC3Sはちょうど買いやすい時期だった。なんと車両価格が30万円未満だったというから、今では考えられない。
それだけに手間がかかったりトラブルが多発したのかと思うが、まったくそんなことはないという。大きなトラブルを起こしたことは一度もなく、純正部品がなくなってしまったマフラーを社外品にしただけとか。それなのに17万km以上もオーバーホールしないで乗り続けられているのは奇跡的といっていいかもしれない。
ロータリーエンジンを長持ちさせる秘訣でもあるのかと聞いてみたが、特別なことはなく普通に乗られているだけとのこと。だが、向佐さんにとって普通のことでも一般的なことではないのかもしれない。というのも、このFC3Sは外装だけでなく内装に目を向けても驚くほど痛みやヤレが感じられないのだ。
おそらく常日頃から丁寧な扱いと乗り方を心がけられているのだろう。17万kmも走ればシートはヤレてきて破れていたりするのが普通だし、高速道路を飛ばせば飛び石の傷がつくのも当たり前。ところが現車にはそうした痕跡が見事なほどに見受けられないのだ。
始めはコンパクトなFRのクルマが欲しくて手に入れたFC3Sだが、ロータリーの特徴でエンジン自体がコンパクトだからハンドリングに優れ、また高回転域のフィーリングが最高とのこと。そのため今ではRX-7カブリオレまで入手されたとか。
部品が廃盤になってしまったマフラーだけフジツボに変更しているが、カブリオレともどもいい状態を保って走り続けていただきたいと思わずにはいられないクルマとの出会いであった。