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Rally1 どんな規定?
WRCのトップカテゴリーは、グループB時代(1982ー1986年)、グループA時代(1987ー2001年)を経て、1997年からスタートした「WRカー(ワールド・ラリーカー)」の時代が長く続いた。2022年シーズンから、トップカテゴリーは「Rally1規定」となる。
主なRally1規定は次の通りだ
・エンジンは1.6ℓ直4直噴ターボ(GRE規定=グローバル・レースエンジン)
・新たにエネルギー回生システム(ERS)が導入されてハイブリッド化
・燃料は、100%持続可能な非化石燃料(合成燃料とバイオ燃料を混合したもの)
・シャシーはパイプフレームを導入
・トランスミッションは5速 パドルシフトの使用が禁止
・アクティブセンターデフは禁止
まずは、見た目から新旧比較してみよう。
旧:2021年モデル TOYOTA YARIS WRC
新:2022年モデル TOYOTA GR YARIS Rally1
である。
パワートレーン
注目はハイブリッドシステムだ。その前にエンジンについて。
WRカーから継続してGREを使用する。排気量は1.6ℓで直列4気筒DOHC直噴ターボである。
トヨタGR YARIS Rally1の場合は
型式:GI4B型直4直噴ターボ+ハイブリッド
排気量:1600cc
ボア×ストローク:83.8mm×72.5mm
エア・リストリクター:φ36mm(FIA規定による)
となっている。最高出力と最大トルクは、2022年モデルは未発表だが、2021年のWRカー(GI4A型 エンジンは基本的に同じ)の場合は
最高出力:380s以上
最大トルク:425Nm以上
となっている。
燃料は、合成燃料とバイオ燃料を混合したもので、P1レーシング・フューエルズ(P1 Racing Fuels)社が供給する。P1レーシング・フューエルズ社は、2014年にアイルランドで設立された会社だ。
ちなみにRally1マシンのエンジンのBMEPは、33.4barである。
エネルギー回生システム(ERS)は、3.9kWhのバッテリーとモータージェネレーターユニット(MGU)から構成されている。バッテリーは、サービスパーク等で外部電源と接続して充電が可能だ。約20分間で20%から80%まで充電できる。サプライヤーは、ドイツのシュタルンベルクに拠点を置くコンパクト・ダイナミクス社(Compact Dynamics)だ。コンパクト・ダイナミクス社はメガサプライヤーであるシェフラーの子会社である。
ERSは共通だから、トヨタ、ヒュンダイ、M-スポーツ・フォードも同じユニットを使う。
ヒュンダイによれば、スペックは
バッテリーエレクトリックシステム
最大ブースト出力:100kW(136ps)
最大トルク:180Nm
最大回生入力:30kW
重量:95kg
冷却:水冷&空冷
となっている。MGUは最高12000rpm、最高750Vで駆動する。結果、エンジン+ハイブリッドシステムのシステム全体では
最高出力:500ps以上
最大トルク:500Nm以上
となっている。
Rally1のハイブリッドシステムは、次の3つのモードがある。
・フルエレクトリックモード
Rally1カーは、WLTCモードで最大20kmのEV走行ができる。バッテリー保護のため出力は50%に制限される。フルエレクトリックモードは、チームが選択することですべての道路区間で使用できる。また、サービスパーク周辺やその他市街地など、フルエレクトリックモードの使用が義務づけられる区間がある。
・ステージスタートモード
→SSのスタート時に1000kJのエネルギー量を最初の10秒間かドライバーがアクセルを離すかブレーキを踏むまでモーターがアシストする。
・ステージモード
→SSでは、チームとドライバーは最大3つのパーソナライズされた「マップ」を作成し、100kWのハイブリッドパワーをどのように配備するかを決められる。マップは、ドライバーの入力(スロットル・ペダルとブレーキ)のみに基づいて作成される。スロットルを踏むたびに放出されるパワーの量は、ステージの長さとバッテリーの充電状態(SOC)によって決まる。例えば、ステージが短く、バッテリーが満タンであれば、スロットルを操作するたびに電力をより長く供給することができます。ステージが長いと、スロットルを操作するたびに利用できるエネルギーが少なくなる。
ブレーキによる回生は、ドライバーがどんなに強くブレーキを踏んでも30kWに制限されている。
トランスミッションは、コストを下げるために簡素化され、シンプルな機械式シフトの5速ギヤボックスを使う。ステアリングホイールを保持しながらシフト操作ができるパドルは禁止された。
また、4WDシステムはアクティブセンターデフは禁止。前後機械式デフによる四輪駆動となる。またサスペンションのストローク量は270mmとなった。
タイヤはコントロールタイヤでピレリが供給する。グラベル用が15インチ、ターマック用は18インチだ。ブレーキは、グラベル用が300mm、ターマック用が370mmのローター径のものを使う。キャリパーは4ピストンだ。
ステアリングは、油圧式ラック&ピニオンで、信頼性の高い油圧システムを使う。
ボディ&シャシー
ハイブリッドシステムと並んでRally1で大きく変わったのは、シャシー&ボディだ。
2022年のRally1車両はスペースフレーム構造でクルーの安全性を大幅に向上させている。WRカーを含む現在のラリー競技のほとんどのカテゴリーでは、市販モデルのスチール製プレスボディ(モノコックボディ)が競技車両の骨格を形成している。Rally1は、このボディシェルを、FIAが規定する高性能鋼管を用いた専用設計のチューブラー構造に置き換えた。必要に応じて、ベースとなる市販車のボディを拡大・縮小することが可能だ。
ちなみに、市販車のGRヤリスは
全長×全幅×全高:3995mm×1805mm×1455mm
ホイールベース:2560mm
Rally1
全長×全幅×全高:4225mm(空力パーツ込み)×1875mm×調整可能
ホイールベース:2630mm
となっている。
FIAのホモロゲーション衝突試験で、Rally1カーは現行の WRカーと比較して、すべての事故シナリオのシミュレーションで安全性が大幅に向上していることが確認されている。
2022年Rally1マシン ライバルは?
2022年シーズン、Rally1マシンで参戦するのは、
TOYOTA:TOYOTA GR YARIS Rally1
HYUNDAI:Hyundai i20 N Rally1
M-SPORT:M-Sport Ford Puma Hybrid Rally1
の3チームだ。
TOYOTA GR YARIS Rally1
TOYOTA GR YARIS Rally1
■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4225mm(空力パーツ込み)×1875mm×調整可能
トレッド:調整可能
ホイールベース:2630mm
最低重量:1260kg
■エンジン
型式:GI4B型直4直噴ターボ+ハイブリッド
排気量:1600cc
ボア×ストローク:83.8mm×72.5mm
最高出力:500ps以上
最大トルク:500Nm以上
エア・リストリクター:36mm(FIA規定による)
■トランスミッション
ギヤボックス:機械式5速シフト
駆動方式:4WD
差動装置:機械式デファレンシャル×2
クラッチ:焼結ツインプレート・クラッチ
■シャシー/サスペンション
フロント/リヤ:マクファーソン・ストラット式
サスペンションストローク量:270mm
ステアリング:油圧式ラック&ピニオン
ブレーキシステム:グラベル用300mm/ターマック用370mm
■性能
最高速度:201km/h(理論値)
HYUNDAI:Hyundai i20 N Rally1
Hyundai i20 N Rally1
■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4100mm(空力パーツ込み)×1875mm×調整可能
トレッド:F1665mm/R1665mm
ホイールベース:2630mm
最低重量:1260kg
■エンジン
形式:直4直噴ターボ+ハイブリッド
排気量:1600cc
ボア×ストローク:83.0mm×73.8mm
最高出力:380ps以上
最大トルク:420Nm以上
燃料タンク:60ℓ
エア・リストリクター:36mm(FIA規定による)
■バッテリーエレクトリックシステム
最大ブースト出力:100kW(136ps)
最大トルク:180Nm
最大回生入力:30kW
最大ブースト時間:3秒
最大ブーストエネルギー/加速:250kJ
重量:95kg
冷却:水冷&空冷
システム最高出力:500hp以下
システム最大トルク:500Nm以下
■トランスミッション
ギヤボックス:機械式5速シフト
駆動方式:4WD(50:50)
差動装置:機械式デファレンシャル×2
スプールセンターデフ
クラッチ:焼結ツインプレート・クラッチ
■シャシー/サスペンション
フロント/リヤ:マクファーソン・ストラット式
サスペンションストローク量:270mm
ステアリング:油圧式ラック&ピニオン
ブレーキシステム:グラベル用300mm/ターマック用370mm
4ピストンキャリパー
■性能
0-100km/h加速:3.2秒
M-Sport Ford Puma Hybrid Rally1
■ボディサイズ
全長×全幅×全高:-mm(空力パーツ込み)×-mm×調整可能
トレッド:調整可能
ホイールベース:2600mm
最低重量:1260kg
■エンジン
形式:直4直噴ターボ+ハイブリッド
排気量:1600cc
ボア×ストローク:-mm×-mm
最高出力:380hp以上
最大トルク:420Nm以上
エア・リストリクター:36mm(FIA規定による)
■バッテリーエレクトリックシステム
最大ブースト出力:100kW(136ps)
最大回生入力:30kW
最大ブーストエネルギー/加速:250kJ
重量:95kg
冷却:水冷&空冷
システム最高出力:500hp以下
システム最大トルク:500Nm以下
■トランスミッション
ギヤボックス:機械式5速シフト
駆動方式:4WD(50:50)
差動装置:機械式デファレンシャル×2
スプールセンターデフ
クラッチ:焼結ツインプレート・クラッチ
■シャシー/サスペンション
フロント/リヤ:マクファーソン・ストラット式
サスペンションストローク量:270mm
ステアリング:油圧式ラック&ピニオン
ブレーキシステム:グラベル用300mm/ターマック用370mm
4ピストンキャリパー
■性能
0-100km/h加速:3.2秒