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2列目シート&後部家具を選んで自分好みの1台に|フロットモビール・シュピーレン
もう12年も、大きなモデルチェンジを行なっていないロングセラーモデルがある。フロットモビールの「シュピーレン」だ。トヨタ・タウンエースをベースに2011年にデビューしたバンコンで、現在ではNV200ベースもラインナップされる。
シュピーレンが多くのユーザーから支持される理由は、シンプルな使いやすさにある。車内にはベッドになるシート、左側後部の家具、そして105Ahサブバッテリー+走行充電システムの電装系がインストールされる。家具にはミニシンクと排水タンク5Lが装備され、オプションで冷蔵庫や電子レンジをインストールすることも可能だ。
シュピーレンは基本的に、自分で作り上げるキャンピングカーだ。まず2列目のシートを選ぶことから、それは始まる。2列目シートはバタフライ2人掛けシートと、1人掛けバタフライシート+横向き2人掛けシートの2タイプが用意されている。前者は4人乗り、後者は5人乗りとなるが、使用想定シーンは前者がファミリー、後者は1〜2人向けだ。
ダイネットにした時は、どちらもコの字形のシートレイアウトにできるのだが、1人掛けシートの方が活用できる空間が広くなる。1〜2人で旅する場合は、座るスペースがそんなにあっても無駄になるので、1人掛けの方が何かと使いやすい。MTBなどのレジャーアイテムを積載したりするのも容易だ。ただ、2人掛けであっても、横幅が1人分広くなるだけなので、犠牲になる空間は少ない。
就寝スペースは、どちらのシートでも1ベッドとフルベッドのバリエ−ションが可能だ。1ベッドは2050×500〜650mm、フルベッドは2050×1200〜1300mmの広さを確保。1ベッドの場合は寝食分離スタイル、もしくは荷物を車内に載せたまま寝たい場合などに重宝する。
標準装備としては、集中電源、脱着式テーブル、ハンガーパイプ、ラック、インテリアトリム、断熱加工などが挙げられる。ファンやFFヒーター、カーテンなどはオプションで選ぶことになる。最初から全て付いているキャンパーも使いやすいのだが、使う装備はライフスタイルによってかなり異なる。シュピーレンの場合も、購入者によってインストールする装備がかなり違うと聞く。そういう点では、“加えて作る”キャンパーの方が親切とも言える。
シュピーレンの魅力は、車内の雰囲気の良さと使いやすさだと思う。インテリアトリムは、自分の好みのものを設定の中からチョイスすることができるが、いくつかのパターンを見ても、すべてに“明るさと温かみ”が感じられる。加えて車内での移動がしやすく、好きな所でくつろぐことができる。テーブルは決して大きくないが、食事やちょっとした作業をするには十分だ。収納スペースも、可能なかぎり各部に設置されている他、シート下を物置きとして活用できるように配慮されている。
派手さはないが、オーソドックスな使いやすさがあるからこそ、ロングセラーなのだろう。また、ユーザーに併せて様々なカスタムを行ってくれる、フロットモビールの小回りの良さもまた、ユーザーを魅了しているのかもしれない。手頃な大きさのキャンパーが欲しいなと思ったら、まずシュピーレンをチェックして欲しい。きっとハートに刺さるモノがあるはずだ。
フロットモビール・シュピーレン(2人掛けバタフライシート仕様)
■車両本体価格:337万7000円(2WD)・360万8000円(4WD)/展示車価格:441万1000円(2WD)・464万2000円(4WD)
■ベース車両:トヨタ・タウンエースバン
■乗車定員/就寝定員:4人/2人
■主要装備:リヤヒーター/外部電源/断熱材
■オプション設定:FFヒーター
■展示車のオプション装備:16L薄型冷蔵庫家具 16万5000円/ナビゲーション・リヤスピーカー 23万2100円/12V電子レンジ(参考) 5万2800円/1500Wインバーター 12万1000円/換気扇・網戸 8万8000円/サイドバイザー・フロアマット 2万9700円/遮光プリーツカーテン・LED 8万4700円/前席シートカバー 5万9400円/後部吊棚・リヤモニター 9万3500円/アルミホイール・ストライプ 10万7800円