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マツダCX-60は、エンジン縦置きの新しいプラットフォームである「ラージ・プラットフォーム」を採用した第一弾モデルだ。マツダが上級カテゴリーに挑むためにプラットフォームもエンジンもトランスミッションも新開発した、真の意味で意欲作と言える。
全長が4700mmだから、エクストレイルやフォレスター、CX-5よりもひとつサイズが上のクラスに属するが、マツダが戦略的な価格設定をしてきたので、新型エクストレイルとも競合する。
マツダCX-60 vs 新型エクストレイル 価格比較
まずは、新型エクストレイルの価格から。
新型エクストレイル
S(2WD):3198800円
S(e-4ORCE):347万9300円
X(2WD):349万9100円
X(e-4ORCE):379万9400円
X(e-4ORCE 7名乗り):393万0300円
G(2WD):429万8800円
G(e-4ORCE):449万9000円
つまり、約320万円~約450万円がエクストレイルの価格帯である。
対するマツダCX-60は2.5ℓ直4ガソリン(299万2000円)~2.5ℓPHEVモデル(626万4500円)という幅広い価格帯だ。ここに入るのは
マツダCX-60(320~450万円の範囲では)
25S Sパッケージ(FR):299万2000円
25S Sパッケージ(4WD):321万7500円
25S Lパッケージ(FR):341万5500円
25S Lパッケージ(4WD):364万1000円
XD(FR):323万9500円
XD(4WD):346万5000円
XD Lパッケージ(FR):400万4000円
XD Lパッケージ(4WD):422万9500円
である。
今回、ライバル比較するのはCX-60 XD(4WD)である。新開発3.3ℓ直列6気筒ディーゼルターボ搭載の4WDモデルだ。直6ディーゼルにモーターを組み合わせた48Vマイルドハイブリッド(e-SKYACTIV D)搭載グレードは500万円オーバーとなる。
CX-60は2022年9月にe-SKYACTIV D搭載モデルから販売が開始される。直6ディーゼルモデルの販売開始は12月を予定している。
CX-60 XD (4WD):346万5000円
エクストレイル S(e-4ORCE):347万9300円
サイズ比較
新型エクストレイル S e-4ORCE
全長×全幅×全高:4660mm×1840mm×1720mm
ホイールベース:2705mm
最小回転半径:5.4m
最低地上高:185mm
CX-60 XD(4WD)
全長×全幅×全高:4740mm×1890mm×1685mm
ホイールベース:2870mm
最小回転半径:5.4m
最低地上高:175mm
全高以外は、CX-60がひと回り大きい。エクストレイルがミッドサイズなのに対してCX-60はラージサイズだから当然だ。全長で80mm、全幅で50mm、CX-60が大きい。
とはいえ、最小回転半径はどちらも5.4mで小回り性は両モデルとも高い。
また、エンジンをフロントに縦置きするCX-60は、フロントアクスルセンターからフロントドアのオープニングラインまでの距離、いわゆる「プレミアムレングス」が長い、後輪駆動ベース車らしい伸びやかなスタイルが魅力だ。
パワートレーン& 燃費比較
CX-60 XD(4WD)エンジン
形式:3.3ℓ直列6気筒ディーゼルターボ
型式:SKYACTIV-D3.3
ボア×ストローク:86.0mm×94.2mm
排気量:3283cc
圧縮比:15.2
最高出力:231ps(170kW)/4000-4200rpm
最大トルク:500Nm/1500-3000rpm
使用燃料:軽油
タンク容量:58ℓ
トランスミッション:8AT
日産エクストレイル発電用エンジン
形式:1.5ℓ直列3気筒VCRターボ
型式:KR15DDT
ボア×ストローク:84.0mm×90.1mm
排気量:1497cc
圧縮比:8.0-14.0
最高出力:106kW/4400-5000rpm
最大トルク:250Nm/2400-4000rpm
使用燃料:レギュラー
タンク容量:55ℓ
モーター(フロント)
BM46型交流同期モーター
最高出力:150kW(204ps)/4739-5623rpm
最大トルク:330Nm/0-3505rpm
リヤモーター
MM48型交流同期モーター
最高出力:100kW/4897-9504rpm
最大トルク:195Nm/0-4897rpm
CX-60のパワートレーンの魅力は、まず「直列6気筒」であること。振動特性に優れた「完全バランス」を持つ直列6気筒をフロントに縦置きする。トランスミッションも新開発の8速ATを使う。500Nmの最大トルクは大排気量ディーゼルならでは。それでも、3.3ℓで500Nmは「無理せず生み出した」程度のレベル。余裕分はフィーリングや燃費の向上に使っているはずだ。
対するエクストレイルは、発電用に新開発の1.5ℓ直列3気筒可変圧縮比(VCR)ターボとモーターを組み合わせたe-POWERだ。フロントモーターも新開発であるBM46型を使う。最大トルクは330Nmだ。e-4ORCEのリヤはMM48型交流同期モーターを使う。MM48型は、軽自動車のBEV、サクラのフロント駆動モーターにも使われている。
4WDの方式は、CX-60(主駆動輪は後輪)の前輪は8ATからトランスファーを介してトルク配分されるコンベンショナルな4WDシステムを採る。エクストレイルのe-4ORCEは、いわゆる電動4WD。前後モーターを緻密に協調制御し、前後トルク配分を自在に変えられるアドバンテージを持つ。
では燃費はどうだろう?
マツダCX-60 XD(4WD)
WLTC燃費:4WD 18.5km/ℓ
市街地モード15.4km/ℓ
郊外モード18.2km/ℓ
高速道路モード20.5km/ℓ
日産エクストレイル e-4ORCE
WLTC燃費:4WD 18.4km/ℓ
市街地モード16.1km/ℓ
郊外モード20.5km/ℓ
高速道路モード18.3km/ℓ
ボディサイズはCX-60の方が大きいのに、WLTCモード燃費は互角。これは新開発SKYACTIV-D3.3のDCPCIの威力だろう。DCPCIとは、Distribution Controlled-PartiallyPremixed Compression Ignitionの略語で、「空間制御予混合燃焼」という意味だ。
また、使用燃料もSKYACTIV-D3.3は軽油、エクストレイルの直3VCRターボ+e-POWERはレギュラーガソリンだから、燃料代という観点からはCX-60に軍配が上がる。
現在の燃料価格(レギュラーガソリン平均価格=166円/ℓ 軽油=145円/ℓ)で計算すると1km走るのに必要なコストは
CX-60:7.8円/km
エクストレイル:9.0円/km
となる。
インテリア&ラゲッジルーム比較
インテリアは、プレミアムSUVを目指すCX-60とミディアムクラスでアウトドアテイストも強いエクストレイルでは雰囲気がだいぶ違う。室内のカタログサイズは
室内長×幅×高
CX-60:1910mm×1550mm×1230mm
エクストレイル:1980mm×1540mm×1255mm
となっている。ボディサイズとは異なり、室内寸法はエクストレイルの方がルーミーだ。
CX-60の前後シート
ラゲッジルームは?
CX-60の荷室は、荷室開口幅は1082mm(CX-5より35mm拡大)、開口高さは744mmで開口段差もないため荷物が載せやすい。ただし、ボディサイズは大きいが荷室容量はCX-5と同等だ。対するエクストレイルの荷室はMクラスSUVでクラストップの575ℓの容量を確保している。