週刊モーターファン・アーカイブ プリンス・スカイライン / 1963

プリンス・スカイライン 2nd(1963年)美しさを追求したスポーツセダン【週刊モーターファン ・アーカイブ】

日本のグランドツーリングセダンの先駆けともいえるスカイライン。
2度目はプリンス自動車として最後の作品であり、日産自動車の最初のクルマでもある。
時代の転換期に育った名車は今もなお人々の心に印象を残す。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

解説●高山 正寛(60年代国産車のすべて より 2012年刊)

初代の成功を受け、2代目にそのバトンを渡す際に当時のプリンス自動車が考えたのは市場に合わせたきめ細かい車種展開であった。直列4気筒1.5ℓOEVからスタートした初代スカイラインも、モデル末期には直列4気筒1.9ℓOEVなどもラインナップ。しかしここで上級車市場は先行して、1962年にフルモデルチェンジを行なった。

2代目としてのポイントは初代の反省を含め、高速安定性や加速性能の向上、車両の軽量化、燃費性能、メンテナンスフリーをテーマに開発。中型車としてのポジションを担うスカイラインではあるが、そこはプリンス自動車の伝統ともいえるアメリカンスタイルを継承、見た目や装備面でも高級感は失わず、ホールド性に優れるセパレートシート(乗車定員は5名)や、当時としては珍しい運転席ドア内側にあるアームレストの採用などグロリアほどではないにせよ、このクラスを代表する細かな気配りと仕上げが人気を呼んだ。

このクルマの撮影は、プリンス自動車の村山工場で行われた。撮影日は1963年11月2日と記されている。発表されたのは9月2日で11月の発売タイミングにあわせての撮影だ。

またボディをデザインするにあたり、フロントウインドウの傾斜角、全高やバンパー下の形状などを考慮し、空気抵抗係数は初代に比べ約20%改善した。この時代ですでに空力について積極的に開発していたのはスカイラインが走る楽しみを常に意識していたクルマだからだろう。実際の加速も0→100km/h加速では当時の2ℓ車に匹敵する性能で、ハイウェイ時代に合わせた高速走行にも重きを置いていた結果である。

この2代目は同社の長い歴史の中で非常にドラマティックな一生を送ったモデルである。

シンプルなつくりながら、しゃれた装備が魅力的
メーターパネルのデザインにも注目

1.5ℓでスタートしながら日本グランプリ出場のためのホモロゲーション用として直列6気筒2ℓエンジンを搭載したGTモデルを限定販売したり、その後はウェーバーの三連装キャブレターを搭載するGT-Bやシングルキャブレター仕様のGT-Aなど一気にスポーツ路線を強化していった。

そして何よりも一番大きかったのが1966年にプリンス自動車が日産と合併したこと。これにより車名はニッサン・プリンス・スカイラインに変更された。なお、モデル末期には主力の1.5ℓエンジンがOHC化されG15型に変更。動力性能や耐久性などもさらに向上し、3代目にそのままキャリーオーバーされた。

安定感あるフロントビュー。入念に作り込まれたグリルなど、1.5ℓとなってもプリンスらしい造りのよさをアピールした点が人気の一因

SPECIFICATIONS:Skyline 1500 Deluxe(1963)

〈寸法重量〉
全長×全幅×全高:4100×1495×1435mm
ホイールベース:2390mm
トレッド前/後:1255/1235mm 
車両重量:960kg 
乗車定員:5人
〈エンジン〉
G1型 直列4気筒OHV
ボア×ストローク:75.0×84.0mm
総排気量:1484cc
最高出力:70ps/4800rpm 
最大トルク:11.5kgm/3600rpm
〈トランスミッション〉
3MT 
〈駆動方式〉
RWD
〈ステアリング型式〉
ボールナット式
〈サスペンション〉
前・ウィッシュボーン式、後・リジット式
〈ブレーキ〉
前・デュオサーボ式ドラム、後・デュオサーボ式ドラム
〈タイヤサイズ〉
5.60-13-4P
〈タイヤサイズ〉
140km/h
〈価格・当時〉
73.0万円

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部