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「シカクマル」をキーワードにデザインされた内外装
トヨタ・シエンタがフルモデルチェンジを果たした。パワートレインは1.5Lのガソリンエンジンと、1.5Lハイブリッドの2種類。前輪駆動が基本で、ハイブリッドのみ4WD(リヤ電動タイプのE-Four)を用意する。ボディサイズは、全長4260mm・全幅1695mm・全高1695mm。全長と全幅は従来モデルと同サイズ、全高のみ従来比+20mmとなっているが、基本的にはボディサイズは同等といえ、取り回し性で気になる部分はないといえる。
むしろ「シカクマル」をモチーフとした内外装は、非常に視界が広く、さらに車両感覚も掴みやすいものとなっている。最小回転半径が5.0m(従来モデルは5.2m)と小さくなっていることもあり、街乗りに最適化したコンパクトミニバンという、シエンタのキャラクターを強化したといえるだろう。
フレンチミニバンに通じるテイストを強調するホイールカバー
それにしても、シエンタのエクステリアは、ある意味でトヨタらしいと感じるものだ。従来モデルでは、スポーツシューズをモチーフにオリジナリティあふれるルックスとしていたシエンタだが、癖の強いエクステリアの影響もあってか、思うように売れていなかったというのが現実だ。実際、各カテゴリーにおいて販売トップとなっているトヨタにおいて、唯一土をつけられていたのがコンパクトミニバンクラスであるのは、よく知られている。ちなみに、同クラスにおけるライバルは、言わずもがなのホンダ・フリード。フリードといえば、初代モデルで「▲と■」を組み合わせたシルエットを強調したコマーシャルの印象も強いが、新型シエンタの「シカクマル」というモチーフは、フリードへのライバル心を感じさせるものだ。
とはいえ、新型シエンタのエクステリアを見て、多くのユーザーが既視感を覚えるとすれば、その対象はルノー・カングーやシトロエン・ベルランゴといったフレンチミニバンだろう。厳密にいえば、カングーやベルランゴは2列シート仕様しかないのでミニバンと分類するのに異論もあるかもしれないが、フリードやシエンタといった国産スモールミニバンのアンチテーゼとしてフレンチミニバンが人気を博している面があるのも事実だ。
ライバルであるフリードをガチガチに意識したであろう「シカクマル」というコンセプトワード、前後バンパーやドアモールにブラック素材を配することでそこはかとなく感じさせる欧州テイストは、まさに同じカテゴリーのライバルを研究しつくしてて商品企画を煮詰めていくトヨタらしさをビンビンに感じることができる。
トヨタは、本気でスモールミニバンでのトップを奪いに来ていると感じる。
「Z」グレードはハンズフリースライドドアも標準装備する
中間グレードの22万円高の設定だが、装備を考えるともっともリーズナブル
さて、新型シエンタのグレード構成は、上からZ・G・Xとなっている。エントリーグレードのXについては2023年4月以降の生産予定となっているため、現時点で選ぶとすれば中間グレード「G」と最上級グレード「Z」のいずれかということになる。
新型シエンタには、各グレードに5人乗り2列シート、7人乗り3列シートというバリエーションが用意されているが、ハイブリッドの7人乗り仕様でGグレードとZグレードの価格を比べると次のようになっている。
ハイブリッドFF G:269万円
ハイブリッドFF Z:291万円
このクラスで22万円の価格差というのはけっして小さいものではなく、パワートレインが同じなのであれば中間グレードを選ぶほうが賢いことが多いが、新型シエンタについては最上級グレードを選ぶべきというのが筆者の主張だ。
なにしろ、装備差が大きいのだ。
外観でいえば、フロントのグリルモールが金属調塗装となるのはZグレードだけであるし、ホイールキャップについてもZグレードのみダークグレーとシルバーの2トーン仕様となる。
ヘッドランプがLEDなのは全車共通だが、Zグレードはバイビームタイプとなっていて、シカクマルなコンセプトにマッチした顔つきとなっている。テールレンズについてもZグレードのみ専用意匠となるなど差別化されている。
さらに機能面でも、Zグレードには足の動きで開閉できるハンズフリースライドドアが標準装備される。インテリアでもメーターが7インチのフル液晶タイプとなるのはZグレードだけであるし、シフトレバーがジョイスティックタイプのエレクトロシフトマチックになるのはZグレード(ハイブリッド)のみだ。また、ステアリングもZグレードだけは本革巻きタイプとなり、インパネにファブリックが巻かれたゴージャスな仕様となるのだ。運転席アームレストやスライドドアのサンシェードが備わるのもZグレードのみとなっている。
これだけの違いを考えると22万円の価格差というは、むしろバーゲン価格であり、新型シエンタでは最上級グレード「Z」を選ぶことが満足度アップにつながるのは確実といえるのではないだろうか。