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静電気はいろいろと邪魔らしい
トヨタがGRパーツとして発売し、話題になったのがアルミテープ(正式にはGRディスチャージテープ)。ボディに帯電する静電気を放出することで、ハンドリングを改善するという。
説明はこうだ。⼀般に空気は+(プラス)に帯電をしているものであり、車両のボディ各所も走行することで+(プラス)に帯電しやすい性質を持っている。それによって、+と+同士は走行時の帯電したボディでは空気を剥がす方向に作用してしまうので、空気の流れが乱れてしまう。要するに車体を流れる空気が乱れることで抵抗となり、ハンドリングにも影響するということだろう(言わずもがな空気抵抗は燃費にも作用する)。
そこでアルミテープの出番だ。ボディに帯電した+を取り除くことで、空気の流れがスムーズなるという。それがアルミテープ、GRディスチャージテープの理論であり、オカルト的なものではないのだと言う。ホント?
さて、前回バンパーを外したところまでお伝えしていたが、外れているバンパーを見ていたら、そのまま戻すのがなにやら惜しくなってきた。そこで、手元にあるアルミテープを貼ってみることにする。本来ならホンモノのGRディスチャージテープを貼ればいいのだが、少々コストが嵩むのと、パーツを見るとなにか手をかけたくなる「ボクの悪いクセ」(相棒の右京さん風)の突発的行動だったため、今回は普通のアルミテープで。
エッジができるだけ長いほうが良いらしい
さて、電気を放出するにはアルミテープの面積よりも、周囲が長いほうが良いらしい。ということで、アルミテープをシコシコとハサミでギザギザに切ってみた。地味な作業である。
じつはトヨタでは以前からバンパー内側に貼っている車種もあるとのことで、内側に貼った(外側だとちょっと恥ずかしい)。
アルミテープを貼りつける粘着剤に導電性がなければ効果がない、と言われているアルミテープだが、過去に企画でレーシングドライバーによるテストなどを行なった際にも市販のアルミテープでも充分効果があった。ということで、今回は普通のアルミテープで(言い訳ではない)。
どこが効くのかよくわからないが、とりあえずバンパーの内側に4箇所。それから車体側のフレームにも貼りつけてみよう。
フロントの手応えがよくなった……気がする?
早速試運転。街乗りの速度レンジから感じたのが、ステアリングの若干の重さと切ってから曲がり始めるまでのタイムラグの短さ。
いやいや、しかし、そんなわけはないだろうよ。シールを貼ったくらいで変わるわけがないジャマイカッ!
いや、でも、なんか心持ち、ちょっとだけ、変わったような……。
加茂のGR86にはエンドレスジールの車高調がついているが、いつもフロントサスはダルすぎるくらいダルめに減衰力をセッティングしている。具体的には減衰力をかなり緩めている(フロントが過度に反応するのが苦手なのだ)。
だが、施工してからフロントが妙に反応するようになった。そこで減衰力を数段緩めてみたが、もっと緩めてもいいくらいしっかりと反応するようになったのだ!
コーティング剤でも確かに体感できた
以前GRエアロスタビライジングコートをテストしたことがある。これはボディへ塗るコーティング剤で、こちらも帯電した電気を放出する仕組み。
こちらは塗った後、明らかに高速道路での風切り音が静かになった。ピーピーなる風切り音ではなく、窓を開けるとガバガバガバとなるような空気の流れの音が明らかに静かになる。
ちなみに先輩ライターのSさんは、一般のかたのクルマにこっそり塗ったところあとで電話がかかってきて、「僕のクルマになんかしました? 静かなんですけど」と言われたという。同じインプレッションなのだ。
サーキットではクルマの前半分だけに塗ってみたところ、アンダーステア/オーバーステアのバランスが変わるとレーシングドライバーが証言。残りの後ろ半分に塗ったらハンドリングのバランスは元に戻ったが、全体に落ち着きが出たとコメントをしていた。
リヤには未施工なのでどう変わるのか
今回はフロント周りにしかアルミテープを貼っていないが、一定の効果が出ているような気がする。気のせいかもしれないが、気のせいで済ませるにはちょっと大きな違いを感じるのだ。では、リヤに貼るとどうなるのかも気になるところ。
さらにカローラの特別仕様車に採用された除電スタイビラジングプラスシートは、ダイレクトにドライバーの帯電を抑えるという。
この仕組みを体感できるテストキットをお借りしてヤリスで比べてみたが、こちらもたしかに除電したほうがクルマが乗りやすく感じた。
それほどやはり除電には効果があるようなので、リヤに施工した場合の差を今後検証してみたい。
いや~、なんか体感するとやっぱり違うものなんだな。で、やっぱり空気抵抗(空力)って大切ね、と。気になるかたは試してみてもいいカモカモ。