吾輩はスズキ・ジムニーである。1986年の生まれで、型式はM-JA71C。金属のルーフも当然エアコンもない。「4WD→2WD→4WD」と手動で切り替えるパートタイムの四輪駆動車である。錆も進み、ボディもあちこちが凹んでいる。これからゆっくりと余生を送ろうとしていたが、週に1回、アウトドア・フィールドに出掛けることとなる。
夏が来た。最近は突然の雨はゲリラ豪雨と呼ばれている。規模はどうあれ、夕立ちは以前からもある。少し埃の匂いのような薫りの前ぶれはある。その時間はとても好きだ。さあ、雨が来る。
クルマと違い、自転車やバイク等はバッグをオープンに積載しているので、防水処理がされていないと浸水してしまうこともある。吾輩も夏は屋根を外すことが多いので、積載物の浸水対策は必要なのである。
登山用のザックには専用のレインコートが付属されているものも多いのだが、お安く浸水を防ぐ方法は、バッグをビニール袋を入れてしまう。小さければレジ袋、黒いゴミ袋もかなり良い。だが、これも使い捨て。長く使える防水のバッグは余裕があれば手に入れておく価値がある。
カヌー等で荷物を運ぶ場合、ドライバッグ(カバンと言うよりも防水袋)を利用する。ドライバッグは海遊び、スキューバダイビングでも濡らしてはいけない物、反対に濡れた物を運ぶ時に使用する。また、ドライバッグはライフジャケットに比べて持続時間は短いが「浮き袋」として抱えればライフジャケットの代わりにもなる。知識としてあるなしが、命を分ける時もある。
以前からあったのかもしれないが、自転車用のドライバッグが目に留まった。ハンドルバーに取り付けるタイプだ。出し入れは左右に2カ所あるものは珍しい。これなら、すぐに使いたいグッズを左右に分けて入れて収納できる。出し入れがひとつのタイプは、一番奥の物は出すのに苦労する。考えて収納しても、その状況は必ず訪れる。左右にあれば、こちら側はカメラ、反対側はライトと考えて収納すれば、濡らすことも少なく、手間も少ない。ただし、浸水の可能性は増える。
水の侵入を防ぐ方法は、くるくると巻いてロックする。以前のドライバッグと同じだ。これも慣れた方式なので、暗闇でも手探りでできそうだ。
このドライバッグの自転車への装着場所はハンドルバーだ。ここはブレーキワイヤーへの影響も出る可能性もある。ハンドルの操作感は変化して重心も変ってくる。これを前提として走行しなくてはならないだろう。装着したらブレーキのテスト、バランスのテストもしておく必要がある。
急な天候の変化、屋根を外して走行時に、この自転車用のドライバッグは役に立ちそうだ。ロールバーに装着すれば狭いラッゲージスペースをより有効に使える。しかし、この場所は後方視界を妨げる。スタイルは良いのだけれど。
次はカヌーだ。簡単に装着、固定ができるなら、クルマから自転車へ、そこからカヌーへと荷物の移動は楽になる。その上に水に落としても心配はいらない。キャンプグッズは数が多い。荷物をまとめ、収納することは、事故や間違いを防ぐにはかなり重要なアイテムである。
アウトドアで使う物は、できる限り一度試しに使ってみること。たとえ保証がついていても、それは後日、不具合のない新しい物にチェンジしてくれたり、修理してくれたりすることに過ぎない。楽しい思い出になるはずのキャンプが台無しになっては、取り返しはつかない。
アウトドアグッズはイメージ的にはヘビーデューティと思われがちだが、実際には軽量化のために、慎重な取り扱いが前提となる。
スマホと違い、ドライバッグはたとえ浸水しても乾かせば良い。限界をアバウトで良いから知っておくことが重要である。そこでテスト&チェックだ。
まずは降水時と同じ状況を作る。これはホースで水をかけてやれば良い。その時には、収納する物を入れて試してみる。「このくらいの浸水なら、なんとかなる」「これは限界を超えていて駄目だ!」と自分なりの基準を持っておこう。カメラ等は保冷バッグ等に入れて二重にして置けば安全性はより高くなる。
自転車用のドライバッグは容量が13ℓと明記してある。以前からアウトドアのバッグ類はこの「ℓ」で表す。では、隙間なく詰め込めば、13ℓはどのくらい入るのか?それも確かめておこう。
まずはサバイバル感もある、流行のハンモックとタープのセット。これにエアマットとフリースのシュラフ、OD缶仕様のシングルガスバーナー。余興のためのB5サイズの焚き火台。食材と飲料水は入らないが、これは各自、行く場所で違うので、外してある。
次は基本は同じだが、ワンウォールの2、3人用のゴアテックスのテント、そしてそのポール。こちらも問題なく収納できる。
さて、もうひとつのショルダータイプのドライバッグ。こちらの容量は40ℓだ。吾がチームはこのドライバッグに軽量のゴムボート「パックラフト」を入れている。収納しているパーツは、本体、エア式のシート、そしてポンプバッグ。2分割のパドルとエア拡張式のライフジャケットは入れられないが、きちっとひとつのバッグにまとめることができる。容量はまだ余裕があるので、多少の着替えとタオルなら、収納できるはずだ。
さて、入り口の留め方にもかなり左右されるのだが、ホースによる浸水はなし。数回パドルで押して水中に沈めたテストでは、両方とも若干の浸水が確認できた。雨は大丈夫。着水しても大丈夫。ただし、浮き袋として使う時は浸水する。この範囲の中で使えば良い。着水したら、入り口の水分を拭き取り中をチェック。濡れていたらすぐに乾かす。多少の浸水なら、それも時が経てば、きっと懐かしい思い出と変わっていくはずだ。
ージムニーはちょっとお休みになります。皆様、約1年、ありがとうございましたー