「雨や雪の日は“ネズミ捕り“をやらない」というのは本当か? 単なる“都市伝説”なのか?

年末年始だからこそ気を付けたい交通違反! 警察は「雨や雪の日には“ネズミ捕り“をやらない」って本当? ウソ? 【交通取締情報局】

年末年始の帰省シーズン、渋滞と並んで注意したいのが交通取り締まり。時期が時期だけに飲酒運転検問が盛んだが、もちろんスピード違反取り締まり、通称“ネスミ捕り”も待ち構えている。巷ではよく、雨や雪の日には特に“ネズミ捕り”への遭遇率が極端に下がると言われているが、その理由を解説しよう。

年末年始は交通取り締まりも強化される時期だ。巷ではよく、「雨や雪の日は“ネズミ捕り“をやらない」と言われているが、果たして本当だろうか? 結論から言ってしまえば、「やらない」というのはウソだが、遭遇する可能性が下がるのは本当のようだ。

まず、雨や雪の日に“ネズミ捕り(スピード違反取り締まり)”の頻度が極端に少なくなるのは、「速度計測が正確に行なえないから」という説がある。“ネズミ捕り”に使用される機材は、電波で計測するレーダー式、光で計測する光電管式、レーザー光で計測するレーザー式の3種類がある。

確かにレーダーが使用する電波や光電管が使用する光、そして移動オービスでおなじみのレーザー(光)などは、それぞれ雪や雨の影響で拡散したり反射したりする可能性がありそうだが、実は“ネズミ捕り”で使用されているレーダーが使用しているマイクロ波という電波に限っては、雨や雪、そして霧などには吸収されにくいという性質があり、それほどの計測誤差は生まれないらしい。つまり「雨や雪の日には“ネズミ捕り“をやらない」という決定的な理由にはならないのだ。

では、光電管やレーザーはどうかと言えば、光は空気中の雨滴や雪の密度が濃くなるにつれ、到達距離が短くなっていくという性質を持っている。光電管式計測器は光電管そのもので速度を測っているわけではないので、それはあてはまらないが、少なくともレーザーに関しては、雨や雪、そして霧の中では正確な測定は行ないにくいことに間違いは無い。

また、光電管式も2組の送光器と反射板により道路の任意の2点(3m間)を光で遮蔽し、そこを通過するクルマの通過時間を測って速度を割り出しているため、例えば雨滴や降雪によって光が屈折してしまい、3mという距離が保てないことで誤測定が発生することも考えられる。要は、どちらも環境によって影響を受ける可能性があるのだ。そう考えると少なくとも光電管やレーザーについては、「速度計測が正確に行なえないから」という理由は、確かにあてはまりそうだ。

さらに、元々、これら光電管等の機器類が、水分(湿度)に弱いというのもひとつの要因になっているとも言われている。速度測定機器は精密機械なので、これもまた「速度計測が正確に行なえないから」という理由の根拠かもしれない。冗談のように言われる「警察官が雨や雪に濡れて仕事をしたくないから」ではなく、「精密機械を雨や雪で濡らしたくない(壊したくない)」というのはあるだろう。

しかし実は、一番大きな要因は「事故リスクの回避」なのだ。確かに“ネズミ捕り”につきものの、「それなりのスピードで走ってくるクルマを停止させる」という行為は、路面の濡れた荒天時では、慌てたドライバーによる急ブレーキやハンドルの誤操作などが事故を誘発しかねない。交通安全を目指すための交通取り締まりで事故続発なんてことになったら本末転倒だ。以前、荒天ではないものの、高速道路でのスピード取締中に、路肩に駐めた違反車に後続車が追突して死者が出るという悲惨な事故が起こって世間の非難を浴びるという事件が起こった。その後しばらくの間、警察は高速道路での“ネズミ捕り”を自粛したという。

ただし、荒天だからといって決して“ネズミ捕り”をやらないわけではない。機器が濡れないような場所、例えば高架下やトンネルの出入り口などで、取り締まりを行なっている光景を見かけることがある。警察の本音はどうあれ、ただでさえ事故率が上がる荒天時こそ、普段より注意力をアップさせれば、自ずと“ネズミ捕り”にひっかかる可能性も下がるというものだ。

もちろん“ネズミ捕り”にあうような運転をしないことが第一。この年末年始も(そして年末年始ではなくても)安全運転第一でお願いします!!

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