V8ツインターボエンジンと電気モーターの組み合わせにより、システム総合で843ps/1400Nmを発生。0-100km/h加速は2.9秒をマーク
メルセデス・ベンツ日本はこのほど、メルセデスAMG GT 4ドアクーペの高性能プラグインハイブリッドモデルに設定された特別仕様車「メルセデスAMG GT 63 S E パフォーマンスF1エディション」の導入を発表し、1月11日(水)〜1月25日(水)18:00まで、同社公式ウェブサイトにて仮予約の申込み受け付けを開始した。税込車両価格は3270万円で、ハンドル位置は左のみ。販売台数は35台限定で、その台数を超える申込みがあった場合は抽選となる。カスタマーへの納車は2月以降の予定だ。
AMG GT 4ドアクーペは、メルセデスAMG社の独自開発による新たなスポーツカー。メルセデスAMGのアイデンティティである究極のハイパフォーマンスを持ちながら、官能的なデザインと快適な室内空間、4ドアの利便性を兼ね備えており、パフォーマンスやデザイン性を追求しながらも、日常生活での使い勝手も妥協したくないユーザーの要望に応えるモデルである。
GT 63 S Eパフォーマンスの駆動システムは、4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン(639ps/900Nm)に交流同期モーターとAMG自社開発の高性能バッテリー、それにAMGのパフォーマンス志向連続トルク可変配分四輪駆動システムの4MATIC+を組み合わせたもの。V8ツインターボエンジンと電気モーターの組み合わせによりシステム総合で843ps/ 1400Nm以上を発生する。0-100km/h加速タイムはわずか2.9秒、200km/hまでは10秒未満、最高速度は315km/hに達する。
204psを発する交流同期モーターはリヤアクスルに搭載されており、電動シフト式2速トランスミッションおよび電子制御式リミテッド・スリップ・デフとともにコンパクトなエレクトリックドライブユニット(EDU)にまとめられている。専門的にはP3ハイブリッド(変速機内あるいは変速機よりも下流に電機モーターを置く)と呼ばれるレイアウトだ。
軽量の高性能バッテリーもリヤアクスル上方に搭載。このコンパクトな設計レイアウトには以下のメリットが挙げられる。
●電気モーターがリヤアクスルを直接駆動するため、動力をよりダイレクトにトラクションに変換でき、発進時や加速時、追い越し時などに追加的な加速力(ブースト)を得ることができる。
●電気モーターのパワーはその性質上、最大トルクが瞬時に立ち上がるため、きわめて俊敏な発進/加速が可能となる。
●電子制御式リミテッド・スリップ・デフが一体化されているので、後輪左右へも駆動力が適正配分されることから、例えばコーナー出口での再加速時の アジリティがさらに向上したほか、トラクションが確実に確保されるので高い走行安全性も実現。
●リヤアクスルのスリップ量が増えると、4輪のトラクションバランスを高めるため、電気モーターの駆動力が必要に応じてフロントホイールにも伝達される。この作動は、トルク連続可変配分式四輪駆システムがプロペラシャフトとフロントホイールのドライブシャフトを介して機械的に行われる。
●EDUをリヤアクスルに直接取り付けることで、車両の前後重量配分とアクスル荷重配分が改善され、ハンドリング性能の向上に寄与。
●回生ブレーキによる熱エネルギーの回収は、エンジンおよびトランスミッションによる機械損失、油圧損失をシステムとして最小限に抑えるAMGのコンセプトにより、きわめて高い効率を実現する。
●リヤアクスルの自動変速式2速トランスミッションは、俊敏な発進から高速走行時の安定的な連続出力に至るまで、広い範囲をカバーできる。2速への切り替えは、電気モーターの最高回転数である1万3500rpmに相当する車速約140km/hに達するまでの間に、電動アクチュエーターによって行われる。
搭載されるバッテリーはAMGハイパフォーマンスバッテリーと呼ばれ、その開発はメルセデスAMGペトロナスF1チームが使用しているF1ハイブリッドレーシングマシンの、きわめて苛酷な条件下で実証済みの先進テクノロジーを元に進められた。この高性能バッテリーは、高出力を頻繁に繰り返し発生できる能力と軽量構造とを兼ね備えることで、クルマの総合的なパフォーマンスを高めている。充電速度が速いことと出力密度が高いことも特長で、これによりアップダウンのあるワインディングを高速走行する場面などでは、上りでただちに100%のパワーを引き出すことができる一方、下りでは強力な回生ブレーキが実現できる。
容量は6.1kWhで、連続出力70kW、最高出力150kW(10秒間)を発揮。わずか89kgと軽量であることから、出力密度は1.7kW/kgと高い値となっている。このバッテリーは、航続距離を最大化することより、速やかな放電と充電を行えることを重点に設計されたものだが、EV走行可能距離も12km(WLTCモード充電走行距離)と実用的なレベルを確保。例えば、深夜や早朝の住宅地などでは静かに、排出ガスを出さずに走行することができる。
AMGダイナミックセレクトには、「Electric(電動)」「Comfort」「Sport」、「Sport+」「RACE」「Slippery(滑りやすい)」「Individual」の7つのモードを設定する。
●Electric
EVの走りに焦点を合わせたモード。発進から車速130km/hまで電気モーターのみでの走行が可能で、エンジンはその間は常にOFFとなる。
●Comfort
発進は、ほとんどの場合電気モーターで行なわれ、その後はエンジンと電気モーターを状況に応じて使用。例えば、住宅地や都市中心部などを低速で走る場合にはEV走行、郊外道路や高速道路では両方を使用するハイブリッド走行となる。これにより全体としてバランスの取れた、燃費節約型の走りとなる。AMGスピードシフトMCT 9速トランスミッションが早めにシフトアップを行うセッティングになることも、これにひと役買っている。サスペンションとステアリングの設定は快適性を重視した設定だ。
●Sport
エンジンと電気モーターを使って発進し、その後は状況に応じて両者を組み合わせて使用。電気モーターはより大きなブースト効果として働く。アクセルのレスポンスがより俊敏となるほか、シフト時間が短縮され、シフトダウンのタイミングも早まるため、スポーティな乗り味が強調される。サスペンションとステアリングもダイナミックな設定になる。
●Sport+
エンジンと電気モーターで発進し、その後は状況に応じて両者を組み合わせて使用。電気モーターのブースト性能はいっそう高められる。スロットルレスポンスがさらに鋭くなるほか、シフトアップ時には瞬間的にシリンダーを停止する制御によってシフト時間が最適化されるため、きわめてスポーティな特性へと変化する。また、アイドリングの回転数を高め、より素早い発進を可能にする。サスペンション、ステアリング、パワートレインはいっそうダイナミックな設定となる。
●RACE
サーキットトラックできわめてダイナミックな走行を楽しむためのモード。すべての項目がパフォーマンスを最大限に高めるセッティングとなる。発進はエンジンと電気モーターで行なわれ、その後は状況に応じて両者を組み合わせて使用する。強力な加速を行う場合は、電気モーターが最大のブーストパワーを発揮してエンジンを補助。パワーがあまり必要とされない状況では、バッテリーを積極的に充電し、利用できる電力量を最大限に保つ。
●Slippery
滑りやすい路面を安全に走れるよう、パワーを落とし、トルクカーブをフラットに保つ。電気モーターのみでの走行と回生ブレーキ調整はできなくなる。
●Individual
ドライブトレイン、トランスミッション、AMGダイナミクス、サスペンション、ステアリング、エグゾーストシステムの設定を個別に選択して組み合わせることができる。
このたび発表された「GT 63 S EパフォーマンスF1エディション」は、ソリッドのアルペングレーのボディに、レッドステッチを施したブラックのインテリアが組み合わされた。エクステリアで目を引くのはアジャスタブルリヤウイングスポイラーと、レッドリムフリンジ付きのマットブラックペイント21インチAMG5ツインスポークアルミホイールだ。また、車両の両サイドにはF1 Editionのデカールが施されている。
インテリアには、F1エディション専用となるAMGカーボンファイバーインテリアトリムや、F1ロゴが入ったフロアマット、レッドシートベルト、イルミネーテッドステップカバー(レッドアクセント)などを採用し、F1の世界観が感じられる仕様となっている。
このほか、手のジェスチャーで様々な操作が可能な「MBUXインテリア・アシスタント」や、ドライビングに集中しながら各種メニュー操作が可能なAMGドライブコントロールスイッチを備えた「AMGパフォーマンスステアリング」が標準装備されている。