極上の「ランクル40」が誰でも手に入る!? 製造メーカー「トヨタ車体」の“本気”とは? 【東京オートサロン2023】

華々しいカスタムカーが百花繚乱の「東京オートサロン2023」の展示ブースの一角に、ひときわ異彩を放つ1台のオフロード4WD。まさしく、あのトヨタ「ランドクルーザー40系」だ。このクルマの正体は一体?!
REPORT:山崎友貴(YAMAZAKI Tomotaka) PHOTO:山岡和正(YAMAOKA Kazumasa)

トヨタ車体が作る極上のレストア車

70系のシャシーは40系よりも若干長いため、フロントにシャシーの一部が露出している。今後、ボディー前部を延長し、補機類を入れ直す予定という。

丸グリルのヨンマルと言えば、ランクルファン憧れのモデル。FJクルーザーのモチーフにもなっており、ほんの一時期のみ販売されていた名車だ。現在、コンディションのいいヨンマルを手に入れることは困難だが、「東京オートサロン2023」の会場には、超極上の一台が…。

アッパーボディにはサビひとつなく、ウインカーやミラーもオリジナル。後部に回ると、当時の車名バッジや4WDバッジもピカピカの状態で貼られている。シャシーも非常にきれいで、まるで新車状態。

シャシーのアンダーを見ると、修復が必要のない部分はそのまま流用していることが分かる。

このクルマをレストアしたのは、ランドクルーザーの製造を担当している「トヨタ車体」。40系を当時製造していたのは荒川車体工業(のちのアラコ)だが、そのノウハウを現代に受け継いでいるメーカーである。現行型の300系や海外向けの70系などの製造を、現在行っている。

そんな“本家”が手がけるのだから、手の掛けようがハンパではない。巷がレストアラーが束になっても敵わない技術力と設備、ノウハウで完璧な1台に仕上がっているわけだ。だが、このヨンマル。前部を見ると、少し違和感がある。

シャシーは十分な洗浄を行い、ラダーフレームは念入りに再塗装が施されている。

実はこのクルマは、BJ40Vのアッパーボディと、HZJ71Vのシャシーを合体させた“ニコイチ”。現状ではヨンマルのボディにエンジン・補機類が納まらず走行できないが、ボディを少しエクステンドしてラジエターを搭載する予定になっているという。

現代でも通用する走行性能、そして長く乗ってもらいたいという願いで造られた中古リノベーションカーなのだという。ボディやシャシー探しに難航しそうだが、意外と見つかるものらしい。

オリジナルパーツを可能な限り使い、必要な部分は新造パーツを使っているようだ。

ちなみに、なぜトヨタ車体がこのような展示を行ったのかには、実は理由がある。トヨタ車体は2023年1月21日に、愛知県の東海特装車・富士松工場の一角に『トヨタBASE』というカスタマイズや用品販売を主としたショップをプレオープンするための“お披露目”なのだという。

販売品に関しては、現在は300系用カスタムパーツの他、アパレル、ステッカーなどが予定されているが、今後はそれも拡充していくという。また、ランクルBASEという店名ながら、ジムニーなどのカスタムも手がけるつもりらしい。

ところで、前述のヨンマルだが、こうした旧車のリノベーションも積極的に行っていく予定で、クルマのコンディションについてはオーナーとの話し合いで決めていくことになる。完全なオリジナルではないが、極めてオリジナルに近いヨンマルを手に入れることが可能になるわけだ。

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著者プロフィール

山崎友貴 近影

山崎友貴

SUV生活研究家、フリーエディター。スキー専門誌、四輪駆動車誌編集部を経て独立し、多ジャンルの雑誌・書…