東京オートサロン2023の会場には数多くの自動車学校がブースを出展していた。いずれも学生たちの熱意がこもったカスタマイズドマシンが並んでいたのが印象的だった。そのうち埼玉自動車大学校のブースは、トヨタ・スポーツ800のチューニングカーが展示され目を引いた。どのようなマシンなのか質問すると「本校の特別講師である谷口さんのマシンなのです」とのこと。谷口さんとは言わずと知れたレーシングドライバー、谷口信輝さんのこと。埼玉自動車大学校でドライビングテクニックを教えるなどの活動をされているのだ。
展示されていたヨタハチことトヨタ・スポーツ800は、谷口さんが足掛け9年近い歳月をかけてチューニングされたもの。ご自身の名前をかけて「ノブハチ」と命名されたマシンは、日常的に気兼ねなく乗ることができつつ、ドリフトまで楽しめるように大改造されている。ボディこそヨタハチだが、足回りにはNBロードスターのものが移植され前後フェンダーが大きく拡幅されている。サスペンションはメンバーを加工して組み込まれており、当然のようにワイドトレッド化。さらに前後ともディスクブレーキとなり、ヨタハチ純正とは比較にならないほど乗りやすくなっているようだ。
当初はエンジンもNBロードスター用を使う予定だったそうだが、やはりトヨタ車にはトヨタのエンジンということで4A-GEU型を使うことに。AE111用の5バルブ仕様を用意して、ハイコンプピストンやハイカムシャフトなどを組み込みチューニング。吸気にはインジェクションよりレスポンスに優れるFCRキャブレターを気筒ごとに4連装。排気はワンオフによるエキゾーストパイプとマフラーが装着されている。パワーアップに対応させるため、ミッションはアルテッツァ用6速ミッションとされている。
エンジン・ミッションスワップのため、元々サビ穴が空いていたボディのフロアは大改造することになる。センタートンネルを拡幅したり剛性確保のため補強を加えるなど、レーシングカーを製作するノウハウにより復活させている。このようなクルマだから純正にこだわることなく、インテリアはダッシュボード形状こそヨタハチらしさが残るがほぼ別物の仕上がりになっている。ドリフト時の操作性を考慮してだろう、ステアリング・シフトノブ・サイドブレーキレバーの位置関係も変更されているのが印象的だ。
埼玉自動車大学校のブースには谷口さんのノブハチだけでなく、学生たちが製作したタフトのワイド&ローダウン仕様も展示されていた。樹脂で製作されたオリジナルフェンダーによりボディをワイド化。エアサスペンションにより大胆なローダウンが可能になったタフトは「TAFLow」と名付けられ、全塗装や16インチホイールを履きこなして完成させた。