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エントリーモデルとしてMAZDA2を再生
マツダはMAZDAブランドの再構築として、日本仕様においてモデル名をグローバル仕様に統一している。エントリーモデルである「デミオ」が現在の「MAZDA2」になったのは2019年のことだ。
モータージャーナリストやマツダファンといった外野の声としては「4世代にわたって親しまれてきたデミオの名前を捨ててしまうのはもったいない」というものが少なくなかったが、実際にはMAZDA2としての認知度をしっかり高めてきている。
とくにコンパクトカーとは思えないドライビングポジションを実現するキャビンや、エントリーモデルだからといって妥協のない先進安全装備といったマツダらしいこだわりがユーザーに高く評価されているという。
そんなMAZDA2にも課題はある。デミオと名乗っていた時代に比べて、20代~30代の購入者が減っているというのだ。たしかにMAZDA2へ改名したと同時に高級感のあるコンパクトカーへと進化していた。それによって旧来のマツダファンや、マツダの大型モデルからダウンサイズするユーザーの心は掴んだが、新規ユーザーへリーチしきれていなかったというわけだ。
2023年3月下旬から発売が始まるという新生MAZDA2の狙いは、フロントマスクを中心にスタイリングイメージを大きく変えることにより、これまでMAZDA2として培ってきた価値を高めつつ、20代~30代の若年層ユーザーに振り向いてもらうことにある。
掲げられたコンセプトは『好きを探せる相棒』。上質やスポーティといった従来価値に加えて、選ぶ楽しさという新しいバリューを提案するのが新しくなったMAZDA2だ。
Z世代を狙うBDグレードはスケボー感覚
今回の大幅改良ではグレード構成をシンプルにした。ベースとなる素グレードとしてガソリンの「15C」とディーゼルの「XD」を設定。
上質をアピールするのは商品改良前から好評だった「15 Sunlit Citrus」で、スポーティ路線の新グレードとして「15 SPORT(スポルト)」と「XD SPORT+(スポルトプラス)」を用意。
そして若年層向けに新設されたのが「15BD」、「XD BD」といったBD系グレードだ。
メーカーオプションや純正アクセサリーを組み合わせることで、最大198通りものカラーバリエーションが楽しめるというBD系グレードの特徴は、フロントマスクがこれまでのマツダ車と異なり、グリルレスのイメージに一新されている点にある。
さらにグリルパネルの向かって右上やリヤバンパーにイエローのカラーチップを差し色として入れることでカジュアルで元気な雰囲気を生み出しているのも見逃せない。ホイールキャップもデザインも新しくなりポップな感覚を表現しているのも若々しさのポイントだ。
ちなみに「BD」というグレードの語源は、スケートボード用語の「Brank Deck(ブランクデッキ)」にある。無塗装のスケートボードに自分で色を塗ったり、ステッカーを貼ったりして個性的に仕上げるというスタイルがスケーターには浸透している。若年層ユーザーの象徴ともいえるZ世代の自己主張を受け入れる商品企画になっているのがBD系グレードである。
プレミアム&スポーティ路線も強化した
MAZDA2は商品改良によって若者におもねろうとしているわけではない。マツダのコンパクトカーに期待されるスポーティ路線についてもしっかりブラッシュアップしている。
それが新設された「15 SPORT」と「XD SPORT+」というスポルト系グレードだ。
環境に配慮したというバイオエンジニアリングプラスチック(以下、バイオエンプラ)を活用して、素材自体をブラックに仕上げたという専用グリルに赤いカラーチップの差し色を入れたフロントマスクは、魂動デザインとホットハッチを見事に融合させている。
本来は無色透明のバイオエンプラを染めることで環境対応とバリエーション多様化を実現するという手段は、前述したBD系グレードでも活用されているソリューションだ。
スポルト系グレードにおいても若年層ユーザーへの意識は強い。グレード名をよく見ると、ガソリンエンジン車は「15 SPORT」で、ディーゼルエンジン車は「XD SPORT+」となっている。後者にプラスがついているのは、シートヒーターの標準装備化など上級志向であることを示している。
いずれもMTを設定しているが、ガソリンエンジン車は走りにこだわるヤングユーザー、ディーゼルエンジン車は大型車からダウンサイズするベテランユーザーを想定しているということだ。
なお、商品改良を受けたMAZDA2の価格帯は152万9000円~254万1000円。冒頭でも紹介したように素のグレードを残すことでエントリーモデルとして検討しやすい価格を守っているのもうれしいポイントだ。
車両スペック
MAZDA2 15BD 全長×全幅×全高:4080mm×1695mm×1525mm ホイールベース:2570mm 車両重量:1090kg 排気量:1496cc エンジン:直列4気筒DOHCガソリン直噴 最高出力:110PS(81kW)/6000rpm 最大トルク:142Nm/2000rpm 駆動方式:FWD トランスミッション:6速AT WLTCモード燃費:20.3km/L 最小回転半径:4.7m タイヤサイズ:185/65R15 乗車定員:5名 メーカー希望小売価格:164万7800円
MAZDA2 XD SPORT+ 全長×全幅×全高:4080mm×1695mm×1525mm ホイールベース:2570mm 車両重量:1110kg 排気量:1498cc エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ 最高出力:105PS(77kW)/4000rpm 最大トルク:220Nm/1400-3200rpm 駆動方式:FWD トランスミッション:6速MT WLTCモード燃費:25.2km/L 最小回転半径:4.9m タイヤサイズ:185/60R16 乗車定員:5名 メーカー希望小売価格:232万1000円 ※撮影車両は欧州仕様の左ハンドル車。スペックは国内仕様