「MAZDA2」が大幅改良!マツダ魂動デザインのエントリーモデル、Z世代に向けてスタイリングの若返りを実施!フロントマスクを大幅刷新

OEMの軽自動車を除くと、マツダのエントリーモデルといえるのは「MAZDA2」、ガソリン&ディーゼルエンジンを用意するのもコンパクトクラスでは貴重な存在だ。現モデルが誕生したのは2019年だが、ご存知のように現行型はデミオという名前で2014年から販売されていた。様々な進化を遂げてきているが、コンパクトカーとしては長寿の部類。そして、2023年の進化は想像以上にドラスティックで劇的だった。
REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya) PHOTO:中野幸次(NAKANO Koji)


エントリーモデルとしてMAZDA2を再生

マツダはMAZDAブランドの再構築として、日本仕様においてモデル名をグローバル仕様に統一している。エントリーモデルである「デミオ」が現在の「MAZDA2」になったのは2019年のことだ。

モータージャーナリストやマツダファンといった外野の声としては「4世代にわたって親しまれてきたデミオの名前を捨ててしまうのはもったいない」というものが少なくなかったが、実際にはMAZDA2としての認知度をしっかり高めてきている。

とくにコンパクトカーとは思えないドライビングポジションを実現するキャビンや、エントリーモデルだからといって妥協のない先進安全装備といったマツダらしいこだわりがユーザーに高く評価されているという。

15BD
真っ白なスケートボードを意味する「Brank Deck(ブランクデッキ)」にインスピレーションを受けて「BD」という新グレードが誕生した。

そんなMAZDA2にも課題はある。デミオと名乗っていた時代に比べて、20代~30代の購入者が減っているというのだ。たしかにMAZDA2へ改名したと同時に高級感のあるコンパクトカーへと進化していた。それによって旧来のマツダファンや、マツダの大型モデルからダウンサイズするユーザーの心は掴んだが、新規ユーザーへリーチしきれていなかったというわけだ。

2023年3月下旬から発売が始まるという新生MAZDA2の狙いは、フロントマスクを中心にスタイリングイメージを大きく変えることにより、これまでMAZDA2として培ってきた価値を高めつつ、20代~30代の若年層ユーザーに振り向いてもらうことにある。

掲げられたコンセプトは『好きを探せる相棒』。上質やスポーティといった従来価値に加えて、選ぶ楽しさという新しいバリューを提案するのが新しくなったMAZDA2だ。

MAZDA2
メーカーオプションとしてホワイトとブラックのルーフフィルムを用意する。
15BD
エンジンやトランスミッションは基本的にキャリーオーバー。

Z世代を狙うBDグレードはスケボー感覚

今回の大幅改良ではグレード構成をシンプルにした。ベースとなる素グレードとしてガソリンの「15C」とディーゼルの「XD」を設定。

上質をアピールするのは商品改良前から好評だった「15 Sunlit Citrus」で、スポーティ路線の新グレードとして「15 SPORT(スポルト)」と「XD SPORT+(スポルトプラス)」を用意。

そして若年層向けに新設されたのが「15BD」、「XD BD」といったBD系グレードだ。

メーカーオプションや純正アクセサリーを組み合わせることで、最大198通りものカラーバリエーションが楽しめるというBD系グレードの特徴は、フロントマスクがこれまでのマツダ車と異なり、グリルレスのイメージに一新されている点にある。

マツダに共通するシグネチャーをグリルのアウトラインで表現しながら、新設したパネルにより親しみやすさを表現する。

さらにグリルパネルの向かって右上やリヤバンパーにイエローのカラーチップを差し色として入れることでカジュアルで元気な雰囲気を生み出しているのも見逃せない。ホイールキャップもデザインも新しくなりポップな感覚を表現しているのも若々しさのポイントだ。

ちなみに「BD」というグレードの語源は、スケートボード用語の「Brank Deck(ブランクデッキ)」にある。無塗装のスケートボードに自分で色を塗ったり、ステッカーを貼ったりして個性的に仕上げるというスタイルがスケーターには浸透している。若年層ユーザーの象徴ともいえるZ世代の自己主張を受け入れる商品企画になっているのがBD系グレードである。

15BD
表面はブラック、シート背面はメランジ調のシート生地はカジュアルで明るいムードを演出する。
15BD
撮影車のボディカラーはスノーフレイクホワイトパールマイカ(3万3000円の有料色)。
無塗装のスケートボード「ブランクデッキ」をステッカーでカスタムしたイメージ。画像:Unsplash

プレミアム&スポーティ路線も強化した

XD_SPORT+
スポーティイメージを直接的にアピールするのが新しい「SPORT」系グレード。
SPORT
撮影車は欧州仕様のため左ハンドルとなっている。そのためドアミラーやガラスなどが国内仕様とは異なっている。

MAZDA2は商品改良によって若者におもねろうとしているわけではない。マツダのコンパクトカーに期待されるスポーティ路線についてもしっかりブラッシュアップしている。

それが新設された「15 SPORT」と「XD SPORT+」というスポルト系グレードだ。

環境に配慮したというバイオエンジニアリングプラスチック(以下、バイオエンプラ)を活用して、素材自体をブラックに仕上げたという専用グリルに赤いカラーチップの差し色を入れたフロントマスクは、魂動デザインとホットハッチを見事に融合させている。

本来は無色透明のバイオエンプラを染めることで環境対応とバリエーション多様化を実現するという手段は、前述したBD系グレードでも活用されているソリューションだ。

スポルト系グレードにおいても若年層ユーザーへの意識は強い。グレード名をよく見ると、ガソリンエンジン車は「15 SPORT」で、ディーゼルエンジン車は「XD SPORT+」となっている。後者にプラスがついているのは、シートヒーターの標準装備化など上級志向であることを示している。

いずれもMTを設定しているが、ガソリンエンジン車は走りにこだわるヤングユーザー、ディーゼルエンジン車は大型車からダウンサイズするベテランユーザーを想定しているということだ。

なお、商品改良を受けたMAZDA2の価格帯は152万9000円~254万1000円。冒頭でも紹介したように素のグレードを残すことでエントリーモデルとして検討しやすい価格を守っているのもうれしいポイントだ。

XD_SPORT+
撮影車のボディカラーは商品改良により追加された新色「エアログレーメタリック」。赤いカラーチップが意外に目立っている。
ブラック基調のシートには、あえてオフセットさせた赤いアクセントが入っているのはデザイン上のこだわりだ。

車両スペック

フロントグリルのプレートが印象的な新グレード「BD」
MAZDA2 15BD
全長×全幅×全高:4080mm×1695mm×1525mm
ホイールベース:2570mm
車両重量:1090kg
排気量:1496cc
エンジン:直列4気筒DOHCガソリン直噴
最高出力:110PS(81kW)/6000rpm
最大トルク:142Nm/2000rpm
駆動方式:FWD
トランスミッション:6速AT
WLTCモード燃費:20.3km/L
最小回転半径:4.7m
タイヤサイズ:185/65R15
乗車定員:5名
メーカー希望小売価格:164万7800円
XD_SPORT+
マツダ伝統のホットハッチ「SPORT(スポルト)」グレードが帰って来た
MAZDA2 XD SPORT+
全長×全幅×全高:4080mm×1695mm×1525mm
ホイールベース:2570mm
車両重量:1110kg
排気量:1498cc
エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
最高出力:105PS(77kW)/4000rpm
最大トルク:220Nm/1400-3200rpm
駆動方式:FWD
トランスミッション:6速MT
WLTCモード燃費:25.2km/L
最小回転半径:4.9m
タイヤサイズ:185/60R16
乗車定員:5名
メーカー希望小売価格:232万1000円
※撮影車両は欧州仕様の左ハンドル車。スペックは国内仕様
mazda2_eyecatch

MAZDA2の新グレード「BD」は11色のボディカラーと純正アクセサリーで個性を主張。198通りのカラバリを楽しめる!

2023年3月上旬に発売予定のMAZDA2商品改良の注目ポイントは、新グレード「BD」の登場だ。ボディカラーは全11色、そのほかメーカーオプションや純正アクセサリーを組み合わせることで198通りのカラーバリエーションを楽しめるという。まさに所有する喜びを感じることのできるグレードとなっている。 REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya) PHOTO:中野幸次(NAKANO Koji)

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著者プロフィール

山本 晋也 近影

山本 晋也

1969年生まれ。編集者を経て、過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰することをモットーに自動車コ…