「U」グレードは法人向けグレード「X」と同じく2ZR-FXE型1.8L直4エンジンを搭載する、個人向けの廉価グレードという位置付け。
中間グレードの「G」と上級グレードの「Z」がM20A-FXS型2.0L直4エンジンを搭載し195/50R19タイヤ&アルミホイールを標準装備するのに対し、195/60R17タイヤと専用の17インチアルミホイール&樹脂フルキャップを装着する。
内外装の加飾やシートの仕様も簡素化されるが、実用上は必要充分な装備が備わっており、車両参考価格はFF車で299万円、4WD車で321万円と、安価に抑えられている。
そんな新型プリウス「U」を皮切りにスタートした新たなサブスクリプションサービス「KINTO Unlimited」では、保険や税金などの諸経費を月額利用料に含める従来のサブスクリプションサービス「KINTO ONE」(キントワン)に加え、納車後の「進化=アップグレード(ソフトウェア、ハードウェア)」と、「見守り=コネクティッド(コネクティッドドライブトレーナー、コネクティッドカーケア)」が提供される。具体的には、
【進化=アップグレード】
●ソフトウェア
OTA(Over The Air)による「トヨタセーフティセンス」のアップデート
●ハードウェア
配線の調整やセンサーの取り付けなど、アップグレードに必要な施工作業の大部分をクルマにあらかじめ織り込んでおくことで、実際に行う作業を簡素化する「アップグレードレディ設計」による、ブラインドスポットモニターやパノラミックビューモニター、ステアリングヒーターなどの後付け対応(2023年年央開始)
【見守り=コネクティッド】
●コネクティッドドライブトレーナー
コネクティッドサービス「T-Connect」を通じた運転診断
●コネクティッドカーケア
エンジンオイル交換時期を、クルマごとの使用状況に合わせたタイミングで提案
の大きく分けて4種類だが、東京オートサロン2023の会場では、「コネクティッドドライブトレーナー」と「コネクティッドカーケア」のさらなる詳細が明らかにされた!
「コネクティッドドライブトレーナー」では、一般的なアクセル&ブレーキペダルの踏み方に加え、ウィンカー操作のタイミングとステアリング舵角からも、危険運転を診断。
ウィンカーを点灯してからステアリングを操作し、車線変更などを行うまでの間隔が約2秒以下だった場合は「短時間ウィンカー」と診断し、早めにウィンカーを出すようアドバイスする。
この「短時間ウィンカー」は、トヨタがビッグデータを分析した結果によれば、頻度が高いドライバーは頻度が低いドライバーに対し、事故率が約2倍へと上昇。急ブレーキ頻度と同等程度の相関関係があるのだという。
「コネクティッドカーケア」では、エンジン冷却水水温と燃料消費量から、不完全燃焼成分がどの程度発生し、エンジンオイルに蓄積されたかを推定し、エンジンオイルの劣化を予測。一定以上蓄積されると、エンジンオイルの交換を提案する。
KINTOの説明員によれば、「水温が低い短距離走行を繰り返すほど、また燃費が悪い走り方をするほど、不完全燃焼成分が発生しエンジンオイルに蓄積されやすい」とのこと。近所での買い物や送迎にしか使わない街乗りユーザーの大半は双方の条件に当てはまりやすいため、エンジンオイルの交換頻度は高くなりそうだ。
そして「KINTO Unlimited」では、これらのサービスによって「返却時の車両の残存価値が高く維持される」(KINTO公式発表)ため、新型プリウス「U」FF車の月額利用料が、3年契約・ボーナス月加算なしで4万9940円~に設定されている。
これは、車両本体価格がほぼ同額だった先代プリウス「S“ツーリングセレクション・ブラックエディション”」の5万6650円~に対し、6千円以上割安だ。この料金設定が可能になったのは、「コネクティッドカーケア」によってエンジンオイルの交換回数を大幅に抑えられることも、少なからず影響しているのではないだろうか。
「KINTO Unlimited」の他車種・他グレードへの展開拡大は「検討中」(同社説明員)とのことだが、事故軽減やエンジンオイル交換&入庫頻度低減に直結するだけに、KINTOのみならずディーラーなどで一般販売される車両にも、ぜひサービスを展開してほしいところだ。
また、短時間ウィンカーの頻度が低いドライバーは事故のリスクが低いためコネクティッドカー保険の保険料、エンジンオイルの交換頻度が低いドライバーは整備費用が少ないためメンテナンスパックの、それぞれ割引が考えられる。そうしたコスト面でのサービス拡充も、大いに期待したい。