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スタイルが違うだけのピックアップを増車
小さいうえに維持費が格安だから、ついつい台数が増えてしまうのもサブロク乗りに多いパターンだろう。置く場所も税金も最小限あれば足りるので、クルマ趣味として最も手軽といえる。
前回に続いて登場することになった今回のオーナーも、まさにそんな一人だ。当初はS13シルビアを改造しつつ、以前から気になっていたステップバンを増車。思いっきりハコなスタイルに惚れたステップバンだが、手元にきて楽しんでいるうちに気になる存在ができてしまう。フロントシートから後ろを荷台にしたピックアップだ。
スタイルが違うだけで基本的には同じクルマ。1台でも2台でも手間ひまは変わらないのだから、もう1台手に入れようと決めたのだ。そこからは話が早い。当時から加入しているクラブのメンバー経由で売り物の話はいくらでも転がってくる。
ステップバンを手に入れてから5年後、ピックアップまでやってきた。これでスタイルの違う同じクルマが2台揃ったのだ。
1972年にライフをベースとしたワンボックスタイプの商用車としてステップバンが新発売された。VA型ステップバンをベースに、ホンダはさらに新規車種を開発。それが1973年発売のPA型ライフ・ピックアップで安全基準が変更されることを受け事前に助手席にもシートベルトとヘッドレストを装備していた。ステップのリヤシート足元が凹むので板で塞ぎ荷台をフラットにしていた。
SUSPENSION
エンケイの8スポークホイールはサイズ表記が独特。145ならハミでない。
リヤもフロントと同じエンケイとSP10タイヤを組み合わせている。
ENGINE
エンジン本体は紆余曲折あってノーマル排気量に戻した。軽いピックにはちょうどいいのだ。
CV! キャブはお馴染みのライフ用CVツイン。弁当箱はブローバイ付き。
ミツバ! 燃料ポンプは過去にパンクしたのでミツバ製に変更している。
いろいろ試したけどノーマルに落ち着く
オーナーがピックアップを増車したのは20年前のこと。程度が良かったステップに対し、ピックはボディにサビや腐食が多かったので、どうするか考えた。そんな頃にステップを全塗装することとなり、どうせならと板金屋にピックも預けることにした。
なのでステップもピックも同じマーチ純正色で仕上がった。板金の必要がほぼなかったステップに対し、ピックはボディのあちこちを切った貼ったで大騒ぎ。なのでリヤフェンダー前にあるプレスが減ってしまったり、荷台のフロアは総FRP張りになってしまったのが心残り。
とはいえ最も大変な作業をプロにお願いできたので、ここからは早い。ピックアップボディなのでアメリカントラック並みにホットロッド風にした。フロントの車高だけ下げてリヤをそのままにすると見事な前下がりになるのだ。
お次はエンジン。ステップに載せたチューンド仕様や排気量アップ仕様を載せてみたが、元から軽量でリヤに何もないピックだとエンジンが勝ちすぎる。結果的に純正エンジンにライフ純正のCVツインキャブと5速ミッションの組み合わせ。これが一番乗りやすいのだとか。
マーチの純正色に全塗装してエアロパーツを装着したが、ボディは基本的にノーマル。ドアミラーが純正のままというのが逆に珍しいかも? フロントよりリヤが高めの車高でホットロッド風!
室内
このホンダステップバンの記事は2023年2/21発売の、令和に残るクルマ改造雑誌『G-ワークス』(毎月21日発売)2023年4月号に掲載されたものです。