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初代は既存車種コンポーネンツ(トラック含む)の寄せ集めで急場しのぎ的に市場投入されたのが、ブルーバードヘの敗因といわれている。2代目は初代の失敗を受け、最新技術を惜しみなく投入した。しかしこれがかえって「耐久性能」への、さまざまな憶測や不安を消費者に与えてしまい、やはりプルーバードに勝つことはできなかった。「3度日の正直」ではないが、1964年にデビューした3代目は見事販売実韻でブルーバードを抜き去り、同クラスでの人気を不動のものにしていた。
当時のモーターファン誌では、「遮音性、加速性能、ハンドリング」などが従来モデルより明らかに向上しているとしつつ、「基本コンポーネンツは極めてオーソドックス」と評されている。つまり新機軸の投入というよりは、甚本コンポーネンツの煮詰めに終始するという、トヨタの真骨頂ともいえるクルマ開発を行なったようだ。そのなかで特箪されたのが、クラウンエイトで初採用された、フルオートのトヨグライド(オートマチック)が採用されたこと。当時このクラスでは確実にオーバークオリティな設定は、すでに悔外市場(おもに北米)でのビジネスも十分視野に入れられていた証拠だ。
主カパワーユニットは1.5ℓなのだが、1.2ℓエンジンの設定もあり、スタンダードグレード比で、ブルーバードと同価格という戦略的値付けを行なっていた。
「バリカンコロナ」という愛称で呼ばれる3代目は「アローライン」を採用した特徴的な顔つきが特徴的。「尻下がり」デザインが不評で販売苦戦していた2代目プルーバードとは逆に、バリカンフェイスは人気を博した。ブルーバードに対してけっして保守的な存在でもなかったコロナは、さまざまなチャレンジングをしている。1965年には日本車初となる、2ドアピラーレスハードトップモデルがデビュー。また同年には5ドアハッチバックも市場投入している。5ドアは「ファストバック」と呼ばれる、クーペのようなリヤを寝かした、セダン的スタイルでテールゲートを持たせたもの。登場が早すぎて、存在意義があまり理解されなかったようだが、ハードトップとともに、当時のアメリカでの最新トレンドを取り込んでいた。ブルーバードのSSやSSSの対抗として、ツインキャブエンジン搭載の「S」グレードの設定もあったが、ブルーバードとは一線を画す、アメリカ的なラグジュアリー路線で意識的に差別化させていたようだ。
コロナ・シングルピックにも大注目
SPECIFICATIONS:Toyopet CORONA Deluxe Sedan (1964)
〈寸法重量〉
全長×全幅×全高:4110×1550×1420mm
ホイールベース:2420mm
トレッド前/後:1270/1270mm
車両重量:945kg
乗車定員:5人
〈エンジン〉
直列4気筒OHV
ボア×ストローク:78.0×78.0mm
総排気量:1490
最高出力:70ps/5000rpm
最大トルク:11.5kgm/2600rpm
〈トランスミッション〉
3MT
〈駆動方式〉
RWD
〈サスペンション〉
前・ダブルウイッシュボーン式、後・半浮動式
〈ブレーキ〉
前・2リーディング式ドラム、後・リジッド半楕円リーフ
〈タイヤサイズ〉
5.60-13-4PR
〈最高速度〉
140km/h
〈価格・当時〉
64.4万円