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MTや左ハンドルも選べる、マニア好みのラインナップ
現行フィアット500ベースのアバルトが日本で発売されたのは2009年。当初はアバルト500という車名だったが、その後ハイパフォーマンスな595、フェラーリやマセラティなどとのコラボで生まれた限定販売の695が加わった。
エクステリア
現在は22年に追加された新グレードF595、中核モデルの595ツーリズモ、唯一のオープンボディになる595Cツーリズモ、高性能版595コンペティツィオーネ、限定販売の695エッセエッセをラインナップする(ベーシックな595は販売終了となった)。エンジンはすべて1.4l直列4気筒ターボだが、最高出力と最大トルクは車種によって異なり、F595とツーリズモが最高出力165ps/210Nm、コンペティツィオーネと695が180ps/230Nm。いずれもスポーツモードを選ぶと最大トルクが20Nmアップする。
インテリア
5速のトランスミッションは、F595/695は3ペダルMT、ツーリズモがボタンとパドルで操作する2ペダルのシーケンシャルで、コンペティツィオーネはどちらも用意される。F595と695のMTは左右両ハンドルが選べるのが面白い。新たに加わったF595は、搭載される1.4lターボがフォーミュラ4に提供されていることにちなんだ車種で、車体色によって異なるカラーのバンパーアクセントやドアミラー、ハの字型に並んだ4本出しマフラーなどが特徴だ。
快活なターボエンジンを3ペダルMTで操る悦楽
愛らしさと精悍さを絶妙に融合したスタイリング、スポーティでありながらクオリティも高いインテリア、輸入車では希少な5ナンバーサイズなどから、東京都内ではプレミアムなシティラナバウトとして乗られることも多いアバルト595。しかし真の魅力はもちろんエキサイティングな走りにある。いまどきここまでターボの立ち上がりが明確なエンジンは珍しい。他車のターボがフラットトルクになったおかげで、らしさが際立っている。その性格はハイパワーなユニットほど明確で、コンペティツィオーネでは4本出しマフラーの脈動感あふれるサウンドもそそられる。
うれしい装備
これほど割り切ったチューニングなのだから、個人的には3ペダルのMTで、パフォーマンスをダイレクトに堪能したいものだ。ボタンにサソリが刻まれたスポーツモードの存在も魅力だ。ノーマルモードは他車のエコモードに近く、毒を抜かれたサソリといった感がある。
調律が取れているのは間違いなくスポーツモードで、こちらが基本だと誰もが思うだろう。足まわりはグレードによって印象が違い、乗り心地とハンドリングのバランスが光るツーリズモ、ペースを上げるほど輝くコンペティツィオーネという感触。基本設計を共有しながら、車種ごとのキャラクター分けが明確なことにも感心する。どんな走行ステージをメインと考えるかによって選びたい。
Country Italia Debut 2009年4月(価格改訂:22年8月) 車両本体価格 422万円~486万円
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.143「2022-2023 スポーツカーのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/143/