軽カテゴリーの唯一の爽快オープンスポーツ!「ダイハツ・コペン」【最新軽自動車 車種別解説】

今現在、新車で販売されている唯一のフルオープン軽自動車が「ダイハツ・コペン」だ。トヨタとのコラボレーションモデル「GRスポーツ」は、GRシリーズらしくシャープかつワイルドなフロントマスクで、フットワークもその名にふさわしい。操作フィーリングの楽しさをより感じられるMT車がラインナップされているのも注目だ!
REPORT:河村康彦(本文)/工藤貴之(写真解説) PHOTO:中野幸次 MODEL:菅原樹里亜

優れたシフト操作や足まわり 高速走行で空力の良さを体感

ホンダS660の生産終了が惜しまれつつも、2022年3月と決定された今、軽自動車カテゴリーで唯一のフルオープンモデルということになったのが、ダイハツから現在もリリースされている「コペン」とい う存在である。

エクステリア

撮影車両はスポーツグレードの「GR SPORT」。スタイリングにおいては前後バンパーが専用デザインになっており、他のモデルとは明確に差別化されている。最小回転半径は4.6m

現行二代目の「ローブ」が登場したのは14年6月。その後、「エクスプレイ」が14年11月、「セロ」が 15年6月に追加され、第四のモデルとして親会社であるトヨタ自動車とのコラボレーションモデルである「GRスポーツ」が19年10月に追加。直近の21年4月の一部改良では、新たなレギュレーションへの対応策としてドアミラーの大型化やオートライト機能の標準化が図られるなどしながら現在へと至っている。

乗降性

一般的な軽自動車とは異なるスポーツカーらしい着座位置と天井の低さゆえに、乗降性は良好とは言い難い。ただ、ライバルのS660に比べれば着座位置が高いので乗降姿勢は楽だ。

そんな「GRスポーツ」は、「トヨタがモータースポーツ活動を通じて培った知見を共有し、ダイハツが開発を行なった」と紹介される共同開発バージョン。ダイハツの販売店はもとよりトヨタのディーラーでも販売されていることも話題のひとつで、もちろんGRブランドとしては初の軽自動車ということにもなる。

インストルメントパネル

軽自動車としては珍しく、センターコンソールを備えた“T字型” のインパネ。シフトレバーはフロア式でパー キングブレーキはサイドレバー式と操作系もコンベンショナルだ。

シンプルながらシャープな表情をもつ「GRスポーツ」のフロントマスクは、水平基調かつワイドさを強調したGRモデルの流儀に則った仕上がり。軽自動車ながら床下にスパッツを採用するなど、空力性能の向上にも入念に配慮したボディの仕上げも特徴点。ダイハツが〝D-フレーム〞と呼ぶオープンボディ向けの基的な骨格構造を踏襲しながら、床下のフロントやセンター部分に専用のブレースを追加設定して局部剛性を向上させる工夫もみられるものの、 コペンならではの見どころとも言えるリトラクタブル式の電動ルーフシステムは、「軽量化のために外すといった選択肢は存在しなかった」と開発陣は語っている。

居住性

普通の軽自動車とは一線を画する、着座位置の低い運転ポジションでスポーツカーらしさを演出。シートは普通車と同等にサイズが大きい上に立体的で、ドライバーの身体をしっかり支えてくれる。さらに、標準タイプのほか、オプション(「GR SPORT 」には表皮の異なる専用品を標準装備)として名門シートブランドである「レカロ」のシートを用意。 シートヒーターを全車に組み込んでいる。

軽自動車のオープンモデルが稀有な存在であるのに加え、今の時代になってもMT車がラインナップされていることも同様。欲を言えば5速タイプに留まっているのは惜しく、実際に高速クルージングのシーンでは存在していない〝6速目〞を求めて何度もシフトアップしたくなったが、操作フィーリングそのものはすこぶる良好。CVT車に対して価格は上回ってしまうが、それでも「積極的に選びたくなるトランスミッション」と言うことができる。

うれしい装備

月間登録台数   317台(21年8月〜22年1月平均値)
現行型発表    14年6月「ローブ」14年6月 「エクスプレイ」14年11月 「セロ」
                        15年6月「GR SPORT」19年10月一部改良 21年4月
WLTCモード燃費  19.2km/l ※CVT車一部改良 21年4月

ラゲッジルーム

秀逸だったのはフットワークの仕上がりで、舗装の継ぎ目が連続する荒れた路面でも跳ねることがなく、高い直進性やフラット感をキープし続けてくれる点には驚かされた。70km/h 付近から〝空力の良さ〞を実感できるというのも特筆したくなるポイント。前述した走りのフラット感の高さには、こうした印象も含まれているはずである。直接的なライバルであったS660が姿を消すことになってしまった今、コペンには何とか末永く生き続けてもらいたいものだ。日本固有の軽自動車として生まれたがゆえに、海外マーケットでの展開が期待できないのは残念だが、「こんなモデルは他にはない!」と胸を張れる日本が誇るべき一台であることは間違いナシだ。

※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.140「2022年軽自動車のすべて」の再録です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/140/

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