クラウンクロスオーバー 選ぶべきは2.4LのRSか2.5Lモデルか? 雪上テストコースで試してみた

クラウンクロスオーバー2.5LターボハイブリッドのRS
新型クラウンは、4つの車型が予告され、トップバッターとしてクロスオーバーが登場している。そのデザイン、エンジンをフロントに横置きするパワートレーンレイアウトなど見所満載のクラウン。肝心の走りはどうか? トヨタ士別試験場で雪上ドライブの機会を得た。クラウンクロスオーバー、選ぶべきは2.4LのRSか2.5Lモデルか?
TEXT:鈴木慎一(Motor-Fan.jp)PHOTO:Toyota

まずは士別試験場にたまげる

トヨタの士別試験場。こんな素晴らしいコースで思い切り走れる幸運に感謝。

こんな機会はそうあるものではない。そう、自動車メーカーのテストコース、しかも冬期・雪上で思い切りドライブできるのは、そう滅多にはないチャンスなのだ。しかも、ドライブするクルマが新型クラウンクロスオーバーなのだから、ちょっと興奮するのも仕方がない(本当はちょっとじゃないけれど)。

北海道士別にあるトヨタのテストコース、士別試験場を訪れたのは初めてである。冬期のテストプログラムは膨大な量が綿密にスケジューリングされているはず。だから、我々に入場が許されるのは週末だけ。というわけで、2月下旬のとある週末に士別試験場で「士別雪上試乗会」と相成った。試験場に着く。ゲート脇の管理棟でカメラはもちろん、パソコン、スマートフォンもボイスレコーダーも預けてからでないと入場できない。

もちろん、寒いのである。

今回の試乗車は、クラウンクロスオーバー。2.4LターボハイブリッドのRSと2.5LハイブリッドのGである。2.5Lには、19インチ(225/55R19)を履いたモデルも用意されていた。他のモデルは225/45R21で、全車スタッドレス(ブリヂストン・ブリザック)を装着していた。

当たり前だが、一面銀世界である。気温はもちろんマイナス。時折横なぐりの雪が降るコンディションだ。広大なテストコースゆえ、場所と時間によってコンディションは変わる。テストドライブを行なうのは、名うてのモータージャーナリストばかり(当然腕自慢である)。そこに混ざって、クラウンクロスオーバーの雪上ドライブしてみた。当方、もちろん腕自慢ではない。ごくごく一般的なドライビングスキルしか持ち合わせていないことを最初に告白しておく。

サイドの雪壁にうっすらとみえるブルーのラインは、「ここは調子に乗って走ると危ない箇所ですよ」と知らせてるためにトヨタ側が付けてくれたしるしである。

RSのE-Four Advancedの楽しさにたまげる

ときに前が見えなくなるほどの雪にも見舞われた。

クラウンクロスオーバーは、2.4L直4ターボのデュアルブーストハイブリッドと2.5L直4+シリーズパラレルハイブリッドの2種類のパワートレーンを擁する。駆動方式は、どちらも電気式4WD。つまり後輪はモーターで駆動されるわけだ。

当然、ターボのデュアルブーストハイブリッドのRSの方がパワフルでスポーティな味付けになっている。なにせ、システム最高出力は349psである。リヤモーターの出力も80.2ps/169Nmと強力だ。

技術の詳細は世良耕太さんの記事でご確認をいただきたい。

まずは、こちらから。

おそるおそる乗り出してみる。拍子抜けするほど、何事もなく走り出す。アクセルを踏む。何も起こらない。まるでドライ路を走るようにクルマは進んでいく。全長4930mm、ホイールベース2850mmという大柄なボディとは思えないほど、身のこなしは軽やかだ。DRS(後輪操舵)の効き目は絶大である。

1周目は押さえて(どきどきしながら)走った。2周目はもう少しアクセルを踏んでみる。まるで自分のスキルが上がったかと錯覚するほど、クルマは自在に向きを変えてくれる。

ポイントは、アクセルペダルに足を乗せ続けることだ。

コーナー手前できちんと減速して、そこから先はアクセルペダルに足を乗せる。駆動力を意識的にかけてさえいれば、クルマは思った方向に走っていく。ここで、アクセルペダルから足を離してしまうと、せっかくのリヤモーターも活躍のしようがない。そこだけ注意すれば、RSの走りは、本当に自由自在感たっぷりだ(腕の範囲内ですが)。

同じコンディションで、前型(FR)のクラウンにも乗ってみたかった。

3周目は、調子に乗ってさらにアクセルを深く踏んでみる(といっても、クルマの限界性能のはるか手前だと思うが)。少し長い直線路の終わりでは110km/hくらいまでスピードが上がる。トヨタのエンジニアによれば、「10年かそこら前だったら、素人がこのコンディションで走るのはやめとけって言われたもんです」というが、2023年のクラウンクロスオーバーはこうしてド素人が110km/hでストレートエンドにさしかかってもまったく問題ない。

ブレーキを踏んで(アドヴィックスが開発した新しいブレーキシステムを採用している)減速。少しだけ高めのスピードでコーナーに飛び込む。するとリヤが少し流れる。すかさずアクセルを踏む。ステアリングはカウンターステア。思ったとおりにコーナリングできたときの爽快感は格別だ。これは楽しい! 

調子に乗って次のコーナーはさらに高いスピードに挑戦する。と、当然報いがきて、テールの流れにカウンターステアが追いつかない。「お釣りがくる」という現象に直面する。クラウンクロスオーバーのすごいところは、お尻を振ることになってお釣りがきても、ある範囲(クルマが計算してくれている範囲)にクルマの位置は必ず収まり、お釣りもたいてい1回で終わる。そして、怖くないのだ。

これは、スゴイ。並みのドライバーがドライブしても、これだけ自在に動かせるのは、本当にスゴイ。気に入った!

2.5LのE-Fourの安心感にたまげる

とにかく、雪上でも自由自在に走れるのは快感だ。

次に乗ったのは、2.5LのGだ。こちらの4WDシステムは、馴染みのあるE-Fourである。リヤのモーター出力は54.4ps/121NmとRSと比べれば控え目だが、充分以上にパワフルだ。RSのE-Four Advancedと違うところは、リヤモーターの活躍の場が、少し少ないことだ。基本はFF、コーナーで必要なときにリヤモーターが後ろから押してくれるシステムだ。

コーナー出口ではアクセルコントロールで姿勢を制御できるのが楽しい。

だから、後輪が押し出してくれる感覚はRSと比べると薄い。コーナーでアクセルを踏んで後輪を滑らせて少しカウンターを当てて……というような走り方は難しい(並みのドライバーだから)。だが、ハタと考えた。ここはテストコースで、絶対に対向車は来ない。コース幅いっぱいに使って走れる。が、一般道ではどうだろう? 自分がクラウンクロスオーバーのオーナーになったことを想像すると、思いがけなく大雪に見舞われて、なんとか安全に走って目的地に着きたいと思っているときに、リヤを滑らせてドライブを楽しむ余裕はあるだろうか?(いや、ない)

その意味で、2.5LのE-Fourが与えてくれる安心感はこの上なくありがたいものだ。きちんと速度コントロールをして、曲がりたい方向にステアリングを切れば、楽しい会話や音楽を楽しみながら(雪道を走っていても、室内の静粛性はとても高かった)鼻歌混じりでドライブできる。これって、スゴイことなのではないだろうか?(ちなみに、2.5Lの19インチ/21インチの走りの差は、体感できませんでした)

一般道でクラウンクロスオーバーを試乗した際に、2.4Lの鮮烈な走りはもちろん魅力的だった。が、2.5Lの走りも悪くない(というか、良い)のだ。そして、燃費は、2.5Lの方が圧倒的にいいのだ(WLTCモード燃費で2.4LのRSは15.7km/L、2.5LのGは22.4km/L。しかもRSはハイオクで、2.5Lはレギュラー)。

とういうわけで、一般的なドライビングスキルの人にとっては、新型クラウンクロスオーバーの電気式4WDは、2.4LのE-Four Advancedも2.5LのE-Fourも素晴らしかった。が、自分の生活シーン、ドライビングシーン、経済性を考えたら、2.5Lのコストパフォーマンスに軍配を上げる。

もっと高いドライビングスキルを持っていたら(そして経済的に余裕があれば)RSを選ぶかもしれないけれど。

トヨタ クラウン クロスオーバー G
トヨタ クラウン クロスオーバー G Advanced・Leather Package
全長×全幅×全高:4930mm×1840mm×1540mm
ホイールベース:2690mm
車重:1790kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rダブルウィッシュボーン式
エンジン形式:直列4気筒DOHC
エンジン型式:A25A-FXS
排気量:2487cc
ボア×ストローク:87.5mm×103.4mm
圧縮比:-
最高出力:186ps(137kW)/6000rpm
最大トルク:221Nm/3600-5200rpm
過給機:×
燃料供給:DI+PFI(D-4S)
使用燃料:レギュラー
燃料タンク容量:55ℓ
モーター:
フロント 3NM型交流同期モーター
 最高出力119.6ps(88kW)
 最大トルク202Nm
リヤモーター 4NM型交流同期モーター
 最高出力54.4ps(40kW)
 最大トルク121Nm


駆動方式:4WD(E-FOUR)
WLTCモード燃費:22.4km/ℓ
 市街地モード21.3km/ℓ
 郊外モード23.8km/ℓ
 高速道路モード22.1km/ℓ

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著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…