軽量&ターボ化で国産随一のホットハッチへ!「スズキ スイフトスポーツ」【最新スポーツカー 車種別解説 SUZUKI SWIFT SPORT】

ワイド化しつつ、エンジンはターボの採用でダウンサイジング、かつ重量は1t以下をキープした「スズキ スイフトスポーツ」。コーナリングは安定しながらスピードは高まり、サーキットでも不足ないスポーティな走りは先代とは全く異なる領域に達している。衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱抑制機能など、先進安全機能の充実も抜かりない。
REPORT:橋本洋平(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:平野 陽 

3ナンバーのワイドボディを採用しながら1t切りを実現

初の3ナンバー化となった現行型ではあるが、その一方で70kgもの軽量化を実現。エンジンは排気量を200ccダウンし、ターボ化されたところが特徴だ。この1.4lブースタージェットエンジンは、旧型に対してパワーアップはわずか3psながらも、トルクは70Nmも高めている。ミッションについては6速MTが残された一方で、2ペダルモデルはCVTから6速ATに改められたところがポイントだ。

エクステリア

2.2l自然吸気並みの最大トルクを発揮する1.4l直4直噴ターボを搭載。ウェイストゲートバルブには低中回転域の加速を重視したノーマルクローズ制御を採用し、ハイレスポンスな走りを実現。クロスレシオ化した6速MTと、ギヤ比を最適化した6速ATを組み合わせる。
リムを圧延することで強度を高めるフローフォーミング製法を採用し、16インチ同等の軽さと強度を両立させた17インチアルミホイールを装備。ハブベアリングやトーションビームも強化された。
荷室は通常のスイフトと同じ。実測値で幅が約1000mm、奥行きが約620mmのスペースが確保されている。後席シートは6対4分割可倒式。背もたれを倒すと奥行きは最大で約1430mmまで拡大できる。

ボディパネルはフェンダー、ドアパネル、そしてリヤクォーターパネルに至るまでベースモデルから変更することで、安定感のあるスタイルを手にしたのが見どころ。全幅は1735mmにもなる。スイフトとは思えないサイズ感だ。ただし、超高張力鋼板を従来の3倍も使うことでウエイトダウンにつなげている。また、スポット打点をベースモデルに対して12点追加。さらにアンダーカバーをボディ下部に備えるなど、高速走行時の安定性や燃費に対する考え方も改まった。

インテリア

本革巻ステアリングには滑りにくいようディンプル加工が施され、スポーティなレッドステッチも採用。インパネには赤と黒の専用加飾も装備されている。撮影車は販売店オプションのナビゲーションを装備。
回転計の文字盤がレッドになっている専用メーターを装備。
シフトレバーにサテンメッキ加飾が備わるAT車は、ステアリングに変速用のパドルシフトも備わる。
ペダルには滑り止めが備わるステンレス製プレートを採用。

「1tを切る車体で200km/hオーバーの世界を達成するには、色々とやる必要があった」とは開発者の言葉。欧州でのハイスピードも受け止めるための開発が行なわれたのだ。かつてのNA時代とはまるで異なる領域に突入したのは間違いない。日本の公道ではそのすべてを発揮し切れないかもしれないが、サーキットではかなりのパフォーマンスを示してくれそうだ。

安定感が格段に向上しながら軽快感も失われてない

ダウンサイジングながらターボを採用したことによって、レブリミットは6000rpmとなり、高回転まで使い切るような走りはできなくなってしまったが、その一方で低回転からのピックアップが素早く、実のある速さを手にしたところが現行型のもち味だ。わずか2500rpmで230Nmを発生するこの1.4lターボエンジンは、6速MTでももちろん面白さがあるが、実はATモデルでも十分に速い。0-100km/h加速は6速MTモデルで約20%、ATモデルで25%も旧型からタイムを向上させている。

うれしい装備

高速道路で便利なアダプティブクルーズコントロールは、AT車のみ全車速追従機能を採用。 
メーター中央のカラーマルチディスプレイにはブースト計などの表示機能を搭載。 
衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱抑制機能などを備える、デュアルセンサーブレーキサポートを標準装備。
車両周辺の映像を表示する全方位モニターはオプション設定。

3ナンバー化されたことでコーナーリングのレベルは格段に引き上げられた感覚が強く、リヤが簡単には破綻しないつくりとなっている。それでいながら、1tを切る車重を武器に軽快さを忘れない仕上がりとなっているところは大きな魅力だ。大きくなろうとも軽量であることは外さずにつくられたことで、走りがスポイルされるようなことにはなっていない。

結果としてかなりレベルの高い本格的な走りが楽しめるようになった。コーナリングスピードが高まり、さらには低回転を得意とするエンジン特性ということもあって、かつてより1速高いギヤで走った方が結果的に速いという現象も見えてくる現行型は、これまでの世界とはまったく異なる領域に到達した。イジれば上のクラスも簡単に抜き去るパフォーマンスが最大の魅力と言っていい。

Country          Japan
Debut           2017年9月(商品改良:20年5月)
車両本体価格        201万7400円〜208万8900円

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.143「2022-2023 スポーツカーのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/143/

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