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手頃な価格ながら質感に妥協がない「TI」が新登場
ジュリアが復活して日本に導入されてから間もなく5年を迎えるが、アルファらしい流麗なスタイリングのおかげで新鮮味は衰えていない。
エクステリア
インテリアもスパルタンな雰囲気が漂う「これぞスポーツセダン」と思えるデザインを採用して、走りに集中できる空間をつくり上げている。居住性に関しては、久々となるFRレイアウトを採用しているため、広いとは言えないが、大人4名が快適に移動できる空間は備えている。縦置きに搭載されるエンジンは、出力特性が異なる二種類の2.0lの直4ターボと、510psを発揮するパワフルな2.9lV6ツインターボを設定。
インテリア
一時期2.0lの直4エンジンを搭載するモデルの販売はなかったが、今年の4月に新グレードの「TI」として復活。上位モデルの「ヴェローチェ」が280ps/400Nmなのに対して、「TI」はかつての「スプリント」と同じ200ps/330Nmとなっている。新たなエントリーモデルとなった「TI」だが、タン色のレザーシートや18インチアルミが装備されるなど、装備が充実しているのが美点。
同時に「ヴェローチェ」にはブラックのフロントグリルやLSDなどが採用され、トップグレードの「クアドリフォリオ」にはブラックテールやスパルコ製カーボンバケットシートが装備されるなど商品力を強化した。ジュリアは思いのほか販売台数が伸びていないようだが、それゆえに今後は希少価値が高まる可能性もある。
クイックなステアリングがもたらす独自の運動性能
ジュリアをドライブして最初に驚かされるのはクイックなステリング特性。ロックトゥロックが二回転強しかなく、中立付近の反応も鋭いため、僅かな操舵に対しても素早く的確にクルマが向きを変えてくれる。正直なところ、もう少し穏やかな方が、リラックスして運転できると思うが、慣れてしまえばスムーズに走れるようになり、それがジュリアのもち味だと思えてくる。
コーナーの入り口でスパッと向きを変え、リヤのトラクションを感じながら徐々にアクセルを開けて立ち上がる、爽快なドライビングはジュリアでしか味わうことができない醍醐味だ。俊敏なハンドリングを受け止めるためにサスペンションもそれなりに硬く、乗り心地は良いとは言えないが、それでも嫌な感じがしないのがジュリアの不思議な魅力。
うれしい装備
エンジンも200psの直4の方はさほどパワフルではないがスムーズな吹け上がりや、心地良い排気音を堪能することができる。8速ATはトルコン式ではあるが切れ味が良く、パドルシフトを操れば小気味良い走りを楽しむことができる。ライバルである3シリーズやCクラスも、M3やAMGになれば軽快な走りを提供してくれるが、ベースモデルでこれだけスポーティな走りが楽しめるセダンはジュリアしかない。アルファもEV化を進める予定で、ジュリアのような軽快なスポーツセダンが新たに開発されることはないだろう。手に入るのは今のうちだ。
Country Italy Debut 2017年9月(一部変更:22年4月) 車両本体価格 573万円~1331万円
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.143「2022-2023 スポーツカーのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/143/