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2019年にアシ代わりに激安で買った中古のジャガーSタイプ
筆者が愛用しているジャガーSタイプは2004年式の3.0V6(シリーズ3)だ。購入したのは2019年9月のこと。走行距離4万7000kmで、販売店によると「記録簿がないため確かなことは言えないが、おそらくはワンオーナー車」という個体を購入した。プライスボードに掲げられた車両価格は35万円、車検2年付で乗り出し45万円だった。
丸みを帯びたスタイリングは、皮とウッドを使ったインテリアとともに筆者が最も気に入っている点だ。
故ジェフ・ローソンの手掛けたエクステリアはクラシカルで優美。とくにルーフからCピラーを通ってトランクへと流れるシームレスなラインはなんともセクシーだ。
イギリス人に言わせると「カビの生えた古臭いスタイリング」ということになるらしいが、シャープでカッコイイがどこか無国籍な感じがするイアン・カラムがスタイリングを担当した次世代のジャガーよりも、よほど“らしい”と思う。
ジャガーSタイプとはどんなクルマ?
ジャガーSタイプはフォードが資本参加していた時代に企画され、リンカーンLSや11代目サンダーバードとプラットフォームを共用するEセグメントセダンとして1999年に誕生した。だが、初期モデルはスタイリングこそ初代ジャガーSタイプを彷彿とさせる流麗なものであったが、メカニズムはフォードと共有化された上、ジャガーらしからぬフォード流の安っぽい内装が世界中のエンスージアストから批判の的となった。
そこで2002年のマイナーチェンジで足廻りを中心にジャガー流にリファインし、トランスミッションをZF製6HP26型6速ATへと換装。インストゥルメントパネルのデザインを一新するとともに内装のクオリティを大幅に向上させた。
筆者が愛用するシリーズ3は、2004年に2度目のマイナーチェンジで登場したモデルで、シリーズ2をベースにフロント&リアエンドの意匠をわずかに変更し、軽量化を狙ってボンネットのアルミ化や電動パーキングブレーキの採用などの改良を施したモデルだ。
■Specifications 全長×全幅×全高(mm):4905×1820×1445 ホイールベース(mm):2910 車両重量:1720kg エンジン:2967ccV型6気筒DOHC24バルブ 最後出力:243ps/6800rpm 最大トルク:30.6kgm/4100rpm 燃料供給装置:電子制御燃料噴射 トランスミッション:6速AT 駆動方式:FR ステアリング形式:パワーアシスト付ラック&ピニオン サスペンション形式(前後):ダブルウィッシュボーン ブレーキ形式(前後):ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ(前・後):235/50R17・235/50R17 新車価格(税抜):690万円
年式なりにヤレはあるが、トラブル少なくアシとしては概ね満足
激安中古輸入車ということで心配になるのが信頼性だが、ジャガーSタイプは新車時から故障が少ない車種だったことに加え、筆者が購入した個体は当たりだったようで、購入以来、大きなトラブルは発生していない。
細かな故障としては、電動パーキングブレーキの故障や輸入車でお約束の天井の内張り落ちがあるが、パーキングブレーキの故障はヤフオクで中古パーツを購入して安価に修理できたし、天井の内張り落ちは致命的なトラブルではないのでそのまま放置している(次の車検を通すなら直そうかと検討中)。
19年落ちの中古車ということで、おそらくは工場出荷時から無交換のダンパーはやや抜け気味だが、それでも猫足は辛うじて残っているようで、路面からの突き上げを柔らかくいなしつつ、しなやかに走る独特の感覚がある。大柄のセダンながら運転して楽しく、乗り心地が良いのでロングドライブでもまったく疲れない。
フォード製のV6をひと言で表せばスムーズかつパワフル。突出した性能はないのだが、必要にして十分な排気量なりの性能で、運転していて不満を感じることは全くない。
燃費は街乗りでは6~8km/L(高速走行では10~12km/L)と最近のエコカーに比べればまるで振るわないが、3.0Lという排気量を考えれば妥当な燃費と言えるだろう。ハイブリッドカーと違って人間の感覚から離れた制御が入ることが一切なく、ストレスなく運転できるのも現在では美点のひとつとして数えられる。また、昨今流行の直噴エンジンと違ってスラッジの問題に悩まされることもなく、タイミングチェーンを採用しているのでベルト交換時期に煩わされないで済むのもメリットだ。
部品の入手性・整備性ともに優れており、意外と維持費はかかっていない
世間では「ジャガーは信頼性が低い」ということになっているが、X300型のXJ以降のジャガーは下手なドイツ車よりもよほど故障が少なく、安心して乗れるクルマだと考えている。
とくに電子制御てんこ盛りな最近のドイツ車は新車保証期間の内はまだしも、保証が切れてしまえば故障修理は自腹となるわけで、高額な修理費が予想される上に専用のテスターを持つディーラー以外は修理不可になることを考えると、恐ろしくてとても所有する気になれない。
その点、枯れた技術で製造されたSタイプのようなクルマは、年間5万1000円+15%割増(5万8650円※)の自動車税に目を瞑ればなんとか維持できる。
※編集部計算
不人気車とは言え、そこそこの台数が国内販売されたので、ヤフオクなどをチェックすれば中古パーツや安価な社外パーツをみつけることができるし、海外サイトをチェックすれば部品の入手に困ることはない。
また、フォードの息がかかったモデルということで意外にも整備性は良く、日常点検レベルの作業や簡単な修理ならサンデーメカニックでもDIY作業がやりやすい。もちろん、素人では手に負えない部分はプロにお願いすることになるのだが、街の修理工場を頼ることで大幅に維持費を節約できている。