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受け継いだのは1オーナー実働車
サブロク軽自動車は550 cc規格になって以降、どんどん数を減らしてきた。より大きく・より豪華になるのだから仕方ないこと。けれど長らく1オーナーで乗り続けられてきた例もある。歴史的な軽自動車であるスバル360だと、意外にも少なくないことなのだ。
今回紹介する黄色い個体がまさにそれで、新車登録から40年ほど一人のオーナーが乗り続けてきた。当時新車で買えるのは限られた人だったろうが、その方は医師だそうで納得。とはいえ年とともに乗るのが厳しくなるもの。そこでスバルは甥っ子である現オーナーが引き継いだ。
今から5年前に岐阜から神奈川へとやってきたスバルは、オーナーの手で少しずつ姿を変えていくことになる。というのもオーナーは自動車バッテリーメーカーにお勤めで、バイクも好きなことから自分で大抵のことはやる。もちろん、バッテリーメーカーに勤めるくらいだから電気に強い。そこで自ら現代流にアレンジすることとしたのだ。
外観
1958年に増加試作型として限定的に発売され、1959年から量産を開始したのがスバル360。年々景気が上昇して販売台数が増えると量産効果で新車価格が下がる現象まで起きる。デラックス発売の1年後にスタンダードも顔が変わり、’64年にエンジンが分離給油式へ。’65年からオーバートップ付きが設定され、’68年に最終型へなるのと同時にツインキャブのヤングSSを追加した。
SUSPENSION
ミニバイク用のアルミ合わせホイールを表に履く。ドラムは自家塗装だ。
リヤもフロントと同じ表だけミニバイク用アルミホイールを履く。
ENGINE
初代オーナーから好調のまま引き継いだのでイジる必要ナシ。補機類を中心に見直してある。
アルミ! オイルタンクはアルマイト処理されたアルミでD-Spl製だ。
セミトラ! 点火トランジスタは使わず見えないよう裏にセミトラを追加。
電気系メインに独創的なカスタム
車検整備も自分で行なうオーナー。灯火類の見直しはぜひともやりたい。そこでヘッドライトをLEDに変更すると同時に、前後のウインカーやブレーキランプも総LED化した。これで消費電力を大幅に引き下げられる。けれど純正のダイナモでは、やはり不安。そこで他車から流用したオルタネーターを付けるためステーを自作して、プーリーも変更。
発電量をアップさせたから安心だが、純正トランジスタは信用ならない。そこで純正のように見せるため、裏側にセミトラを忍ばせている。あまり「らしく」したくないのは、スバルのキャラクターゆえだろう。
前後ともトーションバースプリングなので、ローダウンは超カンタン。でも下げ過ぎは好みじゃないので、ヤングSSと同じ車高にしてある。純正の状態だとフワフワな乗り心地だが、今のがシャッキリするということだ。
足元はモンキーなどのミニバイク用として売られているアルミホイール。合わせホイールのため、2個だけ買って裏側は純正を使えば4本できあがるため経済的。145タイヤがピッタリになる。
室内
MOMOレースや大型液晶、フロアのドリンクホルダーなど今風だが意外に似合っている。
大型液晶はiPadで下のステレオに接続して音楽やラジオが楽しめる!
このスバル360の記事は3/21発売の令和に残るクルマ改造雑誌『G-ワークス』(毎月21日発売)2023年5月号に掲載されています。