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2&3列目席の操作性が向上 先進装備や走行性も大幅進化
ヴォクシーはデザイン違いのノアと合わせれば、Mクラスミニバンで圧倒的な売り上げを誇る人気車だ。このクルマはもともとカローラ店扱いのノアに対するネッツ店用の双子車(先代に限ればエスクァイアも含めた三つ子車)の一台だった。しかし、トヨタの国内戦略が2020年5月から「全販売系列での全車種取り扱い」に移行したことで、今はどの販売店でもノアと併売される。
エクステリア
そんなヴォクシーも22年初頭、8年ぶりに通算四代目にフルモデルチェンジされた。これを機にノアと統合される可能性もあったが、「各車の販売台数を考えると、今でも2種類を用意する意味は十分あると判断。ノアとヴォクシーを自由に選べるようになったので、ヴォクシーはあえてより先鋭的なデザインとした」とは開発責任者の説明である。ただし、よりクルマ感度の高いユーザーを意識したヴォクシーは「S-G」と「S-Z」というエアロ系の上級グレードのみの設定となる。
乗降性
新しい四代目ヴォクシーでは三世代にわたって使い続けられてきたプラットフォームも、ついに完全刷新された。そのGA-Cプラットフォームは基本的に3ナンバー専用設計なので、ヴォクシーの全幅も全車1730㎜となり、5ナンバーモデルが姿を消した。2.0ℓガソリン車と1.8ℓハイブリッドというパワートレインの布陣もこれまで同様ではあるが、こちらも技術的にはまったく新しい。特にハイブリッドシステムはこのクルマが初出となる第五世代。その4WD版もリヤモーターが高出力化されて、高速安定性にも寄与するようになったという。
インストルメントパネル
全幅は3ナンバー専用となっても全長はこれまで同様に5ナンバー枠におさまる4695㎜。GA-Cはドラポジが大幅改善されたこともあって、2列目以降の空間は先代と同じか少し狭いくらい。一方で7人乗り、8人乗りともに2列目の超ロングスライド機構を実現。特にキャプテンシートは先代のような〝途中切り替え〞なしにスライドできるようになって、現実的な使い勝手や融通性は大きく進化している。左右跳ね上げ式を踏襲するサードシートは定評のアシストスプリングに加えて、収納時のベルト固定も省略。これにより、収納して固定するところまでワンタッチの片手操作でやり切れるようになった。これも現実的な効能が大きい進化だ。
居住性
リヤゲートは一見するとまったく普通だが、実際には任意の角度で自由に止められる「フリーストップ」式となった。しかも、電動式でなくても、ワンウェイカム機構=カラクリでそれを実現しているのが興味深い。そのほか収納式サイドステップまでも、同じく低コストのカラクリで用意しているのは目からウロコである。
うれしい装備
月間登録台数 2434台(22年5月~22年10月平均値) 現行型発表 22年1月 WLTCモード燃費 23.0 ㎞/ℓ ※「HYBRID」系のFF車
ラゲッジルーム
ただ、新型ヴォクシー最大のキモは、先進運転支援システムと走りの進化だろう。搭載されるトヨタセーフティセンスは、現時点で最も進んだものといって良い。さらに乗り心地はフラットで快適となり、ハンドリングは見違えるように正確で手応えのあるものとなった。ライバルのステップワゴンもセレナも同じくフルモデルチェンジで追走する態勢だが、ヴォクシーの王座はそう簡単には揺るぎそうにない。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.146「2023 ミニバンのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/146/