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街なかで扱いやすい小型ボディ アレンジ性に優れた車内も◎
ミニバンの中でも最小サイズだからこそ実現できた取り回しの良さやアレンジ性に優れ自在に使える車内の利便性などがウケて、中断をはさむ過去二世代も人気を博してきた。ユーザーからもこのサイズが良いという人は少なくなく、その声に応えて新型も全長と全幅に変更はなく、全高だけ20㎜高くなった。
エクステリア
スタイリングは丸目の初代にトレッキングシューズを模した二代目と、方向性こそまったく異なるがどちらも非常にユニークだったところ、三代目は四角くて丸い、比較的オーソドックスなデザインとなった。各部の黒い部分は見た目のアクセントとなっているだけでなく、ぶつけやすい部分をこうすることで傷を目立たなくするとともに、何かあっても交換しやすいようにするためのアイデアでもあるそうだ。
乗降性
インテリアの質感もこのクラスとしては申し分なく、収納スペースがくまなく配されている。ソファのような生地のシートも雰囲気が良い。初代はセンターに、二代目はハンドルの上にあったメーターは、三代目では一般的なレイアウトになった。
ダッシュが低くなりフード先端が持ち上げられて見切りが良くなり、車両感覚もつかみやすくなっている。全高が高くなって室内高も増すとともに、車体形状がスクエアになったことでヘッドクリアランスや頭の横方向の余裕が増していることを、特に2列目に乗り込むと実感する。
インストルメントパネル
前半はTNGA化し、後半は従来のものを改良したプラットフォームにより、もともとシートアレンジ性に優れ、非常に合理的に設計された2〜3列目のフロアは継承している。3列目シートは薄く簡素に見えるが実際に座ってみると想像よりもずっと座り心地が良く、着座姿勢やクリアランスにも無理がない。いざとなれば7人も乗れながら、3列目が不要時には2列目の床下に潜り込ませて、かなり大きな荷物も問題なく積める広い荷室空間をつくり出すことのできるフレキシブルさと巧みなパッケージングにあらためて感心する思いである。
居住性
走りに重心の高そうな感覚があまりなく、操舵フィールもスッキリとしていて挙動を乱しにくいおかげで、同乗者も不快に感じにくい。車内の雰囲気もそうであるように、コンパクトなミニバンというよりもコンパクトカーの延長上の感覚で乗れる。
ハイブリッドはバッテリーがアクアで採用されたバイポーラ型ではないが、近年登場した一連の車種と同じく瞬発力がある。エンジンが3気筒でもおおむね静かなのは、各部の遮音やルーフまわりに減衰特性を備えた構造用接着剤を配して効果的に雑音を吸収させるなど力を入れて対策した賜物。走行中も前後席間でストレスなく明瞭に会話できる。
うれしい装備
月間登録台数 2661台(22年5月~22年10月平均値) 現行型発表 22年8月 WLTCモード燃費 28.8 ㎞/ℓ※「HYBRID X」の5人乗り/FF車
ラゲッジルーム
一方のガソリン車は、ハイブリッドがエンジンの存在を意識させないようにされているのとは反対に、むしろそれを味わえるようにしたかのような印象を受ける。走り味も軽快で、車両重量差以上の違いを感じる。インフォテイメント系や先進運転支援系などの装備も、トヨタの最新モデルらしく、このクラスでこれ以上はないほど充実している。限られたサイズにいろいろな要素を詰め込んだ、小さな万能選手だ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.146「2023 ミニバンのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/143/