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マイナーチェンジで重厚なスタイルへ変身
小公子にちなんだネーミングであるセドリックは、実に1960年(昭和35年)に新発売された。それ以来、プリンス自動車を吸収してグロリアが兄弟車になるものの、長らく日産の高級車として作り続けられてきた。長い歴史の転機になったのが79年発売の5代目。430型になってボディラインを角張ったものとし、一気に近代化したのだ。
ところがエンジンなどは65年に発売した2代目から続くL型6気筒を継続。5代目はターボで延命させたが、さすがに旧態化は誰の目にも明らかだった。そこで83年に国産初となるV型6気筒エンジンを新開発。型式も三桁数字からY30と、アルファベットが使われるようになった。
Y30では2ドアがなくなり4ドアのセダンとハードトップ、バンとワゴンをラインナップ。新開発VG20と30のほか、4気筒のCAやディーゼルが用意された。
スタイルは430の流れを汲むもので新鮮さに欠けたが、85年のマイナーチェンジでヘッドライトを2段重ねのデザインに変更。高級感と威圧感を増した。このデザインに当時、圧倒された覚えのある人も多いことだろう。
外観
1983年にフルモデルチェンジして発売された6代目セドリックがY30型。長らく続いたL型6気筒に代わり、新開発された国産初のV型6気筒エンジンを採用した。バンとワゴンにはディーゼルの直6が残された。85年のマイナーチェンジでヘッドライトとテールランプが変更され顔つきが変わった。翌年にはお買い得グレードのエクセレンスが発売された。
フロントフェンダー先端のフェンダーマーカーにはヘッドライトの光が反射する。
Cピラーにオペラウィンドゥが装備される。豪華さの象徴だった。
エンジンルーム
日産初のV型エンジンであるVG型はNAとターボの2本建て。NAはグロス130ps、ターボはグロス180psを発生した。
中古車のプロが選んだ理想のファミリーカー
1985年のマイナーチェンジで重厚な顔つきになったY30を見て、憧れ続けた人が今回のオーナー。当時は小学生だったがY30のあまりに迫力ある顔つきに圧倒されたのだ。以来「いつかは乗ってみたい」と思い続けてきたそうだ。
念願叶ってY30のハードトップを手に入れる。これでさらにY30が好きになったところ、つい最近になって困ったことが…。というのもY30のセダン、しかも激レアなエクセレンスを見つけてしまったのだ。
エクセレンスはマイナー後にお買い得な特別仕様車として追加されたグレードだが、今となっては逆に残存数ごく僅かなはず。おそらく1オーナーで維持されてきたと思われる個体が売りに出たのだ。
オーナーは業者オークション会場にお勤め。まさに中古車のプロで見る目は確か。そのオーナーが気に入ったのだから文句のつけようがない状態。早速手に入れてハードトップと2台体制になるや、手直しを開始。マフラーの穴を埋めたり燃料漏れを直したり、ドア内張りを外して電気系を見直した。そして今では家族のお出かけグルマとして大活躍しているのだ。
室内
応接間のようなシートはゆったりした座り心地。走行距離が短いのでヘタリはほぼなし! リヤシートが主役の設定で大人が余裕で座れる。後ろには懐かしグッズの毛ばたきが!
このニッサン・セドリック4ドアセダンV20Eエクセレンスの記事は、4/21発売の令和に残るクルマ改造雑誌『G-ワークス』(毎月21日発売)2023年6月号に掲載されています。