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“普通に乗れる”から気がつけば41年
ホンダのサブロクはN360で大人気になったが、欠陥車騒動により数を減らす。だから空冷から水冷に切り替えた、次期モデルであるライフにかかる期待は大きかった。ライフは発売されるや大ヒットとなり、クーペのZやステップバン、ピックアップなど派生車まで生まれた。
古くなるにつれ、ライフも数を減らしていく。というのも、人気が続いたZやステップ系の部品取りにされてしまったからだ。ライフにはツインキャブや5速ミッション採用車があったため、こぞってキャブやミッションが剥ぎ取られていったのだ。
昭和も終わりになる頃にはライフの姿は激減したが、なんと昭和57年(1982年)から乗り続けている人もいる。それが今回紹介するオーナーだ。当時、“普通に乗れる自家用車”を探していて、近所にあった中古車ショップで見つけたのが今の愛車だ。
当初は乗り換える気もあったのだが、その後、実に41年も手放すことなく車検を受け続けてきた。一体何がオーナーをライフに釘付けとしてしまったのだろう…?
外観
ホンダN360の後継車で水冷エンジンに切り替わったライフは1971年発売。30psを発生するエンジンは9000回転以上までスムーズに回る。その秘訣はバランサーシャフトが組み込まれていたこと。72年6月にツインキャブレターを装備するツーリングシリーズが追加され、同GSには5速MTを採用。同年9月に4ドア版も新設定。73年のマイナーで車種整理され、ツーリング系はGFLになる。
SUSPENSION
リヤもフロントと同じSSRメッシュに145タイヤの組み合わせだ。
ホイールは定番のSSRメッシュ。タイヤは145サイズでこれまた定番。
ENGINE
何度かボアアップしたけれどノーマル排気量に戻った。乗りやすくてスムーズなのだ。
ツイン! キャブは定番のツーリング用CVツインにしている。
スバル! 点火コイルは定番技でスバル・レックスの純正品を流用している。
自作魂が満載された圧倒的インテリア
買った当初はこんなに長く乗るつもりはなかったオーナー。ところが乗れば乗るほどライフが好きになる。自宅の埼玉から九州を一周する旅行に何度も行ったり、北海道へも遠征している。それができるのは乗りやすいから。
過去に何度かボアアップエンジンを載せてみたものの、走りがピーキーになって疲れる。試行錯誤したのち、ノーマル排気量に戻してしまった。ところがこのノーマルエンジンが実に乗りやすい。聞けばデスビギャップに秘訣があるそうで、何度もミリ単位で調整した結果、静かでスムーズなエンジンになったという。
ボディや車高はノーマルだが、オーナーは自作するのが大好き。元は左官屋さんだったそうで、手先が器用なのだ。フロントリップやライトカバー、シャックルカバーなどをアルミ板から自作したり追加メーターを自分で埋め込むなど楽しみながらカスタムした。
こんなことを繰り返しているうち、アッという間に41年が過ぎていた。ボディは10年前に全塗装したが、サビがないのは雨降りの後はジャッキであげて拭き上げ、フェンダーは2年に一度外してサビ止めを塗っているからだ!
室内
外観はノーマルだが室内はDIY魂が炸裂してスゴいことに。社外ハンドルは実測φ290mmだ。
純正メーターの手前にオートゲージのタコと水温計を追加。
このライフ・スーパーデラックスの記事は4/21発売の令和に残るクルマ改造雑誌『G-ワークス』(毎月21日発売)2023年6月号に掲載されています。