目次
車中泊できる広大な室内空間 ギア感満載の充実内装も必見
今、軽自動車の中で最も人気があり、売れている車種は背が高く、両側スライドドアを備えたスーパーハイト系と呼ばれるモデルたちだ。スズキで言えばスペーシアであり、2022年5月には全軽自動車の販売台数1位。それ以外の月でも2〜4位の常連となっている。そんなスペーシアには標準車、カスタムに加え、アウトドア、キャンプなどにうってつけのクロスオーバーモデルのスペーシアギアがある。
エクステリア
スペーシアとの違いは、エクステリアでは専用の丸形ヘッドライト、フロントグリル、前後バンパー、サイドドアガーニッシュ、ルーフレールなどの装備類が主。インテリアではメーターやシートステッチなどにオレンジのアクセントカラーを施し、ツールボックスをモチーフにしたメタリックなインパネアッパーボックスを採用するなど、アウトドアテイスト&遊び心あふれる世界感を演出している。
乗降性
子どもや高齢者にはBピラーのアシストグリップが役立つ。
室内空間は広大だ。身長172㎝の筆者のドラポジ背後に、150㎜のスライド量をもつ後席を最後端位置にセットして座れば、頭上に約28㎝、膝まわりに最大約34㎝ものスペースが残る。例えばハスラーが同約13㎝、最大27㎝だからその差は歴然。前席から荷室までをフラット化すれば、なんと全長約204㎝ものベッドスペースが出現。車中泊もOKだ。
インストルメントパネル
エンジンは全車ともにマイルドハイブリッドとなり、自然吸気、ターボが揃い、駆動方式はFFと4WDが用意される。ただし、最低地上高はスペーシアと同じ150㎜。タフギア的なエクステリア、4WDでも、例えばハスラーやジムニーのような悪路に特別に強いクルマではない。もっとも、前席の雰囲気はギア感たっぷりで、専用撥水ファブリックシートや防汚タイプのラゲッジフロア&シートバック背面を採用しているから、アウトドアに強いクルマであることは間違いないところ。2グレードのどちらにも前席シートヒーター、後席用スリムサーキュレーターなどが装備されるから、季節を問わず、遠出も快適そのものだろう。
居住性
走行性能はスペーシアと変わらない。乗り心地はしなやかで快適そのもの。荒れた路面、段差の乗り超えでも直接的なショックは少なく、フラットで上質な乗り味を披露。自然吸気エンジンでも2名乗車、平坦路中心なら動力性能に不満なし。特に出足のスムーズさはマイルドハイブリッドの面目躍如と言うべきだ。
一方、パドルシフトが付くターボモデルともなれば、微力ながらもモーターアシストが得られるとともに、CVTとのマッチングの良さもあり、パワーモードもあって高速走行、坂道走行も余裕のトルキーな走りを見せる。特に高速巡航中は自然吸気エンジンに対してエンジン回転を低く抑えられるため、より静かで快適なドライブが可能だ。しかも、カーブ、山道でのフットワーク、安定感、安心感もなかなかのレベル。パドルシフトを使えばスピードコントロールもしやすく、一段と走りやすさが際立つ印象だ。
ACCは全車に装備されるが、ライバルにある電子パーキングブレーキ&オートブレーキホールド機能がないのが残念ではある。
うれしい装備
月間販売台数 8755台(22年7月〜12月平均値) ※スペーシアカスタム/スペーシアを含む 現行型発表 18年12月(一部改良21年12月) WLTCモード燃費 21.2km/l ※「ハイブリッド XZ」のFF車
ラゲッジルーム
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。