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2023年5月の第3土曜日に、それまでの『トミカ』の『No.64 日産 アリア』に代わって登場したのが『No.64 トヨタ ヴォクシー』です。ヴォクシーはトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)が生産・販売しているミニバンで、初代モデルは2001年にデビューしました。同じクラスのミニバンであるノアとは姉妹車になります。
ヴォクシーもノアも、それまで販売されていた後輪駆動方式のタウンエースノア/ライトエースノア(あるいはダイハツ・デルタワゴン)に代わり、新たな前輪駆動方式のプラットフォームを使用して小型車ながら広い室内と平らで低いフロアを実現、車体左右にスライドドアを備えた現代的な3列シート・ミニバンとして登場しました。ちなみにヴォクシーはライトエースノアの、ノアはタウンエースノアのそれぞれ後継車ということになります。もともと基本的に同じつくりで開発された車両ですが、ヴォクシーはネッツトヨタ店から、ノアはトヨタカローラ店からと、それぞれ異なる販売店系列で発売される車両だったため、細かな差別化がはかられていました。
ヴォクシーもノアも使い勝手がよいミニバンとして、発売するやいなや人気となり、2007年6月までの販売台数は約80万台に上り、ミニバンを代表する車として知られるようになります。以後、好評のうちに代を重ね、2022年にデビューした現行最新モデルのR90W型では4代目を数えます。
ヴォクシーとノアの大きな違いはデザイン、特に顔つき、フロントまわりのデザインです。歴代ごとにデザインテーマは変わっていますが、基本的にはファミリーをはじめ誰にも親しみやすいデザインを持つのがノア、特に若い人にアピールするクールでスタイリッシュな雰囲気を重視したデザインを持つのがヴォクシーとなっています。ちなみに2007年に登場した2代目モデルでは「親しみやすいノア、クールなヴォクシー」を、2014年に登場した3代目モデルでは「ノアはミニバンの王道をいく“堂々感”、ヴォクシーは“毒気”のあるカッコよさ」をそれぞれデザインのテーマとしていました。また、3代目モデルでは高級路線を志向したデザインのエスクァイアという兄弟車も登場しました。
さて、『トミカ』の『No.64 トヨタ ヴォクシー』は、2022年に登場した最新の4代目モデルを再現しています。この4代目モデルはヴォクシーもノアも、みんなでやりたいことを詰め込んで出かけたくなる「より快適に」「より便利に」「より安心な」ミニバンとして誕生しました。また、クルマの骨格となるプラットフォームに、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー=新プラットフォームを基幹とし商品力の飛躍的向上と原価低減を同時に達成するための車両作りのシステム)に基づくGA-Cプラットフォームを採用。初代モデルから受け継がれる優れたパッケージングと使い勝手の良さといったうれしさを一層深化させるとともに、最新の先進装備を採用することでミニバンとしての魅力をさらに追求しています。さらに、全グレードがゆとりのある、いわゆる3ナンバーサイズに拡大されたことも従来車との違いになります。
中でもヴォクシーは「先鋭・独創」をキーワードとして、特長をより際立たせた個性的な世界観でデザインされています。先鋭かつ独創的なスタイルを追求し、フロントは、ラウンディッシュな薄型アッパー部と分厚くスクエアなロア部の組み合わせによってコントラストの強い立体構成と個性的なグラフィックを実現。さらに、怪しく光る特徴的なフロント/リヤランプによって夜でもその存在感を強調しています。ヴォクシーもノアもリヤのシルエットはほぼ同じですが、大きく異なるのはこのリヤ・コンビネーションランプのデザインになります。ヴォクシーは、2本の長く直線的なランプがシャープな印象をもたらすデザインですが、ノアはサイド脇からガーニッシュへと曲線を描いて回り込む形のデザインになっています。
インテリアはブラックアウトしたスリムなフロントピラーや水平基調で低くワイドに構えたインストルメントパネル、ドアトリムに加え、アシストグリップやエアコン吹き出し口など機能的に配列したルーフ周りが、スッキリとした見晴らしの良い開放的空間を実現しています。また、インストルメントパネルは機能美と1クラス上の上質感が追求され、金属調フレームにソフト素材を巻き付けた姿をイメージした独創的なスタイルとされており、ブラックを基調とした内装色は開放的で広い室内空間を演出しています。ヴォクシーもノアも内装は、エアロモデルかつ同一グレード同士であれば基本的な仕様は同じです。ただし、エアロモデル最上グレードの“S-Z”については、シート表皮のパターンに違いがあります。“S-Z”同士を比べると、ヴォクシーは格子状のファブリックパターンですが、ノアのファブリックはグレーと白の縞模様に黒の斑点が重なったパターンとなっています。なお、ヴォクシーもノアも7人乗り仕様車のセカンドシートにはキャプテンシートが採用されており、745mmの超ロングスライドが可能です。また、8人乗り仕様車のセカンドシートは、3人掛けベンチシートタイプの6:4分割チップアップシートで、こちらも705mmの超ロングスライドを実現しています。
プラットフォームには先述のように新たなGA-Cプラットフォームを採用。軽量でありながらバランスの取れた高剛性ボディが、車高の高さを感じさせない上質な乗り心地と優れた操縦安定性を実現しています。この、造りこまれた高剛性ボディに対して前後のサスペンションジオメトリーが最適化され、フロントにマクファーソンストラット式を、リヤにはトーションビーム式を採用し、サスペンションのしなやかな動きと接地感あるフラットな走りを追求、走行性能を徹底的に磨き抜いています。
パワーユニットにはガソリンエンジンとシリーズパラレル方式のハイブリッドが用意されており、ガソリンエンジンは2.0ℓダイナミックフォースエンジン(M20A-FKS型)に、マニュアル感覚のシフトチェンジが楽しめる10速シーケンシャルシフトマチックが設定されたDirect Shift(ダイレクトシフト)CVTを組み合わせることで、力強くダイレクトな走りと優れた燃費性能を両立しています。また、1.8ℓ直列4気筒DOHCエンジン(2ZR-FXE型)を採用した新世代ハイブリッドシステムは、全ての電動モジュールを刷新。モーター・バッテリーの高出力化とシステムの高効率化により、ミニバンにおいても心地よい加速と優れた燃費性能を高次元で両立しています。さらに、最新のハイブリッド技術を継承した新型E-Fourを採用。モーター出力向上により4WD作動領域や後輪へのトルク配分を拡大。コーナリング中の前後輪トルク配分を最適に制御し、操縦安定性を高めたほか、後輪のトルクを上げたことで、降雪時や雨天時における登坂発進時の安心感も向上しています。
もちろん最新の予防安全パッケージ『Toyota Safety Sense(トヨタ・セーフティ・センス)』や自動二輪車に拡大されたプリクラッシュセーフティの検知範囲(昼間)、トヨタ車初の交差点で交差する車両や自動二輪車の検知、『プロアクティブドライビングアシスト』など、安全装備の充実も抜かりはありません。
『トミカ』の『No.64 トヨタ ヴォクシー』は、フロントのトヨタのエンブレムに青いフチドリがあるため、ハイブリッド車の方をモデル化しているようです。おそらく8人乗りのHYBRID S-Gではないかと思われますが、あまり細かな差異にこだわるのも野暮というものでしょう。『トミカ』の『No.64 トヨタ ヴォクシー』は、実車でも人気の高いヴォクシーの特徴をよく捉え、うまく再現されています。日本の代表的なミニバンの一台を、あなたのコレクションに加えてみてはいかがでしょうか? それから、「ヴォクシーだけ?」と悲しまれている(?)ファンやオーナーのみなさん、もう少しお待ちくださいね。
■トヨタ ヴォクシー ハイブリッド S-G 2WD 8人乗り主要諸元 (『トミカ』モデル車種と同一規格ではありません)
全長×全幅×全高(mm):4695×1730×1895
ホイールベース(mm):2850
トレッド(前/後・mm) :1500/1515
車両重量(kg):1640
エンジン形式:2ZR-FXE型 直列4気筒DOHC
排気量(cc):1797
エンジン最高出力:72kW(98ps)/5200rpm
エンジン最大トルク:142Nm(14.5kgm)/3600rpm
モーター型式:1VM型交流同期式
モーター最高出力:70kW(95ps)
モーター最大トルク:185Nm(18.9kgm)/0-2000
トランスミッション:電気式CVT
サスペンション(前/後):ストラット/トーションビーム
ブレーキ(前後) :ベンチレーテッドディスク
タイヤ(前後):205/60R16
■毎月第3土曜日はトミカの日!
毎月第3土曜日は新しいトミカの発売日です。2023年5月の第3土曜日には、上でお伝えしているように、それまでの『No.64 日産 アリア』に代わって『No.64 トヨタ ヴォクシー』が登場します。また、それまでの『No.115 スバル WRX S4 STI Sport #』に代わって『No.115 ホンダ FU655 ラッキー』が登場します。なお、『No.64 トヨタ ヴォクシー』には、初回出荷のみの特別仕様(特別色)もあります。