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秀逸メイクで2フェイスを表現 低燃費かつ安全装備も高水準
スペーシアはスズキで最も売れているクルマ。軽自動車全体でも、ダイハツ・タントに僅差で続く第3位につけている(2022年)。
エクステリア
ワゴンRとタントに加え、ホンダ・N-BOXの3強が凌ぎを削るこのカテゴリーだが、それぞれ個性的なのが面白い。特に標準車は、無印高級品的N-BOXや、子育てママ狙い撃ち的タントに対し、ユーザーや用途を限定しないカジュアルさがスペーシア標準車の持ち味だ。「それってあなたの感想ですよね?」と聞かれれば、「ハイそうですが」と答えるしかないのだが、ボディ側面に刻まれたプレスラインは、スーツケースやツールボックスをイメージしたもの。〝道具感〞をキーワードにデザインされており、ユーザーの想像力次第で、いかようにも楽しめる雰囲気をつくっている。
乗降性
秀逸なのは、プレスラインを変えずに〝カスタム〞系を仕立てていること。押し出し感と上級感をもたせたいカスタム系と道具感では、相性が悪いように思えるけれど、意外なほど違和感なく融合している。室内が広いのは、このカテゴリー共通。もはやライバルとの優劣を考える意味がないほど広い。
後席の床から天井までは1410㎜あり、平均身長の10歳児なら真っ直ぐ立てる。後席を折り畳めば、平均的な大きさのシティサイクルが積載でき、積み降ろししやすいように開口部のガーニッシュが切り下げられている。
インストルメントパネル
キャビンが広いとエアコンの風が後席まで届きにくくなるが、それを解消する天井サーキュレーターも、上級グレードには装備されている。標準車もカスタムも、グレード名に「ハイブリッド」と付いており、発電機をアシストモーターとして使うマイルドハイブリッドシステムを搭載。
2.3kW/50Nmのモーターで、アイドルストップからの再発進時に最大約10秒のモーター走行ができる。システムの都合上、モーター走行中もエンジンが連れ回るし、ちょっとでもアクセルを踏むとすぐエンジンが掛かるので、モーター走行していることには気づかないかもしれないが、低燃費には確実に貢献している。
居住性
搭載エンジンはR06A型と、そのターボ仕様。燃費を重視したハスラーなどが採用するR06D型に対し、R06Aの自然吸気仕様はプラス2kW/2Nmと強力だ。ターボエンジンが搭載されるのはカスタムの最上級グレードのみとなる。60㎞/hぐらいまでなら自然吸気エンジンでも不満のない走りを見せるが、80㎞/h以上の伸びの点では、ターボに大きなアドバンテージがある。
操縦性能はマイルドな味付けで、よほどの急ハンドルを切らない限り、グラっとロールして驚くことはない。FF車は全グレードに前後スタビライザーが付いており、旋回中の安定性も高い。基本的に走りを楽しむタイプのクルマではないが、タイヤが55扁平になるカスタムの「ハイブリッドXS」系は、多少なりともスポーティなテイストが味わえる。
うれしい装備
月間販売台数 8755台(22年7月〜12月平均値) 現行型発表 17年12月(一部改良21年12月) WLTCモード燃費 22.2km/l ※ハイブリッド「G」のFF車
ラゲッジルーム
安全装備はステレオカメラ方式の〝デュアルカメラブレーキサポート〞を標準装備(非装着車も設定)。衝突軽減ブレーキのほか、前後両方向の誤発進抑止機能などが装備される。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。