道具感が際立つスズキのトップセラーモデル「スズキ・スペーシア カスタム/スペーシア」【最新軽自動車 車種別解説 SUZUKI SPACIA CUSTOM/SPACIA】

デビューから常に軽自動車販売台数トップ3を維持している「スズキ スペーシア カスタム /スペーシア」。ワイルドな雰囲気を醸し出す「スペーシア カスタム」と優しげな印象の「スペーシア」ともに20種のボディカラーが用意される。車両データの送受信やオペレータのサポート等スズキコネクトが新たに導入され、安心感と共に新しく柔軟な使い方が広がるクルマである。
REPORT:安藤 眞(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:日南まみ

秀逸メイクで2フェイスを表現 低燃費かつ安全装備も高水準

スペーシアはスズキで最も売れているクルマ。軽自動車全体でも、ダイハツ・タントに僅差で続く第3位につけている(2022年)。

エクステリア

ギラッとしたグリルとエアロバンパーが特徴の「スペーシアカスタム」と、ほっこり癒し系の「スペーシア」で、個性を区別。ボディカラーはツートーンを含む豊富なラインナップから選ぶことができる。最小回転半径はグレードにより4.4m〜4.6m。

ワゴンRとタントに加え、ホンダ・N-BOXの3強が凌ぎを削るこのカテゴリーだが、それぞれ個性的なのが面白い。特に標準車は、無印高級品的N-BOXや、子育てママ狙い撃ち的タントに対し、ユーザーや用途を限定しないカジュアルさがスペーシア標準車の持ち味だ。「それってあなたの感想ですよね?」と聞かれれば、「ハイそうですが」と答えるしかないのだが、ボディ側面に刻まれたプレスラインは、スーツケースやツールボックスをイメージしたもの。〝道具感〞をキーワードにデザインされており、ユーザーの想像力次第で、いかようにも楽しめる雰囲気をつくっている。

乗降性

秀逸なのは、プレスラインを変えずに〝カスタム〞系を仕立てていること。押し出し感と上級感をもたせたいカスタム系と道具感では、相性が悪いように思えるけれど、意外なほど違和感なく融合している。室内が広いのは、このカテゴリー共通。もはやライバルとの優劣を考える意味がないほど広い。

後席の床から天井までは1410㎜あり、平均身長の10歳児なら真っ直ぐ立てる。後席を折り畳めば、平均的な大きさのシティサイクルが積載でき、積み降ろししやすいように開口部のガーニッシュが切り下げられている。

インストルメントパネル

オプションのスズキコネクト対応9インチナビゲーションが目を惹くインパネ。スペーシアカスタムの内装はダークバイオレットパールで大人っぽさも演出されている。

キャビンが広いとエアコンの風が後席まで届きにくくなるが、それを解消する天井サーキュレーターも、上級グレードには装備されている。標準車もカスタムも、グレード名に「ハイブリッド」と付いており、発電機をアシストモーターとして使うマイルドハイブリッドシステムを搭載。

2.3kW/50Nmのモーターで、アイドルストップからの再発進時に最大約10秒のモーター走行ができる。システムの都合上、モーター走行中もエンジンが連れ回るし、ちょっとでもアクセルを踏むとすぐエンジンが掛かるので、モーター走行していることには気づかないかもしれないが、低燃費には確実に貢献している。

居住性

搭載エンジンはR06A型と、そのターボ仕様。燃費を重視したハスラーなどが採用するR06D型に対し、R06Aの自然吸気仕様はプラス2kW/2Nmと強力だ。ターボエンジンが搭載されるのはカスタムの最上級グレードのみとなる。60㎞/hぐらいまでなら自然吸気エンジンでも不満のない走りを見せるが、80㎞/h以上の伸びの点では、ターボに大きなアドバンテージがある。

操縦性能はマイルドな味付けで、よほどの急ハンドルを切らない限り、グラっとロールして驚くことはない。FF車は全グレードに前後スタビライザーが付いており、旋回中の安定性も高い。基本的に走りを楽しむタイプのクルマではないが、タイヤが55扁平になるカスタムの「ハイブリッドXS」系は、多少なりともスポーティなテイストが味わえる。

うれしい装備

前席の背もたれを後ろに倒すと、足を伸ばして座れるリラックスモードに変身。クッションで段差を埋めるなど工夫すれば車中泊にも使えそう。
月間販売台数     8755台(22年7月〜12月平均値)
現行型発表        17年12月(一部改良21年12月)
WLTCモード燃費      22.2km/l ※ハイブリッド「G」のFF車

ラゲッジルーム

安全装備はステレオカメラ方式の〝デュアルカメラブレーキサポート〞を標準装備(非装着車も設定)。衝突軽減ブレーキのほか、前後両方向の誤発進抑止機能などが装備される。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。

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