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上級車に匹敵する内外装意匠 後席居住性と乗り味
日産のハイトワゴン系軽自動車のデイズは、先代から日産と三菱の合弁軽自動車企画会社「NMKV」によるもので、企画を日産、開発と生産を三菱が担当していたのだが、2代目となる現行デイズは開発を日産が担当(生産は三菱の水島工場)。つまり、日産として初めて一から開発した軽自動車というわけだ。
エクステリア
具体的には専用プラットフォーム、エンジン、ステップ変速付きCVTなどを新開発するとともに、リチウムイオンバッテリーを用いたマイルドハイブリッド機構、日産として軽自動車初搭載となるプロパイロット、SOSコールなどを新採用。まさに軽自動車界を震撼させる一台だった。
乗降性
エクステリアデザイン、特にハイウェイスターは軽自動車らしからぬミニセレナを思わせる上級感があり、車両全体の質感アップに貢献。インテリアにしても、贅沢にもインパネにラッピングによるソフトパッドを用いたほか、前席にはスカイラインなどに採用するゼログラビティシートが奢られているほどだ。
後席は一体スライド式となるものの、膝まわりスペースはクラス最大級の広さ、いや、先代セレナ並みを誇っている(身長172㎝の筆者のドラポジ基準で約340㎜!)。荷室の使い勝手は、開口部フロア地上高がこのクラスで最も低く(約640㎜)、床下に大容量の収納があるのがポイント。が、後席を倒したときに約75㎜の段差ができるのが残念な部分(ライバルは段差なし)。
インストルメントパネル
デイズは標準車とハイウェイスター、自然吸気とターボエンジン、FF/4WDを用意。WLTCモード燃費はFFが自然吸気23.2㎞/ℓ〜23.3㎞/ℓ。ターボは21.5㎞/ℓだ。
デイズは自然吸気、ターボエンジンを問わず、走り出しから軽自動車らしからぬ静かさとスムーズさを発揮。ターボともなれば、エンジントルクが2000rpm台からモリモリと盛り上がり、CVTにしてステップアップ感ある加速力は軽自動車トップレベルと言って良い。ただし、エンジンを高回転まで回したときのちょっとザワついたサウンド、アクセルをガバッと踏んだときに一瞬、レスポンスが失われる点は、気になる人は気になるかもしれない。
居住性
とはいえ、乗り心地は依然、クラス最上級だ。路面の段差や凹みを乗り越えてもフラット感を失わず、乗員に伝わるショック、音、振動は最小限。ボディのしっかり感がひしひしと伝わってくる。
それはちょっと前のコンパクトカーを凌ぐ乗り心地の良さと言っていい。そしてカーブやレーンチェンジでのマナーも文句なし。自然吸気、ターボを問わずステアリングフィールは落ち着き感あるもので、切ったぶんだけしっかりとリニアに、しかし軽快に向きを変え、ターボモデルの15インチタイヤ装着車なら車体のロール感もじんわりスムーズで、多くのシーンで不安を誘いにくい。
うれしい装備
月間販売台数 2714台(21年6月〜11月平均値) 現行型発表 19年3月(一部仕様向上 22年9月) WLTCモード燃費 23.3km/l ※「ハイウェイスターX」系のFF車
ラゲッジルーム
高速走行での安定感、直進性の良さもまた、ハイト系軽自動車最上級レベルにある。付け加えれば、速度を上げた領域でもロードノイズ、風切り音が抑えられ、運転にかかわるストレスは最小限にとどまる。走りの洗練度はなかなかのものなのである。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。