まるでイタリア車のような流麗なスタイリングだが、デザイン&コーチワークはイタリアの巨匠ミケロッティが手がけており、エンジニアリングはナルディという豪華競演が魅力。しかもベースとなったコンテッサのフロントグリルやテールランプはオリジナルを上手く流用しており、こうした点でもミケロッティの選択眼と市販への意欲を感じてしまう。
エンジンは893ccの直4ながら、マニホールドの変更やツインキャブの採用で45ps/5500rpmと強化され、前輪ディスクブレーキや4速MTなどがおごられていた。
車両重量はコンテッサ900(4ドアセダン)よりも約100kgも軽い650kgとなり、最高速度は145km/hをマークしたという。
最初に出展された63年トリノショーでは日本フームもあって絶賛され、その後の世界各国のモーターショーでも高い評価を得ていたが、後のコンテッサを見れば、明らかに次世代のスタディであることがわかる。
しかし、後のコンテッサ1300のスタイリングもミケロッティであり、スプリントの目的は、達成されたというべきなのかもしれない。
空力特性の良さそうなフロントセクション
リヤエンジンであることの特徴を活かし、ノーズをおもいきり低くしている。現代ならば樹脂で簡単に造れる先端の造形も、おそらくはスチール製の手作業のはず。フードとの合わせや、開閉機構なども考慮すれば、コストとの兼ね合いでこの造形を量産につなげることは難しいだろう。