スクエアボディが男前な軽クロスオーバー! 「ダイハツ・タフト」【最新軽自動車 車種別解説 DAIHATSU TAFT】

ソフトで滑らかなフォルムやエクステリアが目立つ軽自動車の中で、長方体を削り取ったようなボクシーなスタイルが存在感を際立たせている「ダイハツ・タフト」。悪路走行にも向いたスペックはスタイリッシュなデザインと両立している。軽自動車としては最大径のタイヤで、街中はもちろん、高速道路の安定性は高く横風などにも強い。タイトなシートと標準装備のガラスルーフの開放感は、気持ちの良いドライブの時間を提供してくれるだろう。
REPORT:石井昌道(本文)/工藤貴宏(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:大須賀あみ

安定感あるタフな走りが好評 街乗りも長距離ドライブも◎

2014年に登場した初代スズキ・ハスラーは軽クロスオーバーという新たなジャンルを開拓して大ヒット作となった。それに対抗するべくダイハツは翌年にキャストアクティバを投入するが、あまりキャラが立っておらずいまいち不発。そこで満を持して開発されたのが20年に登場したタフトだ。

エクステリア

直線と角で構成しラギッドなスタイルが冒険心をくすぐる。キャラクターとしては「ハスラーよりもワイルドでジムニほど尖ってはいない」といったところ。「セラミックグリーンメタリック」は新色だ。

全高は1630㎜でハスラーよりも50㎜ほど低く、ブロックを積み重ねたようなボクシーなデザインは男前。サイドから見ると、ガラスエリアの天地が薄く、ボリューミーなボディとの対比がスタイリッシュだ。クロスオーバーでありながら、最低地上高190㎜、アプローチアングル27度、デパーチャーアングル58度と悪路走破にも向いた立派な数値をもっている。その本物志向な資質もスタイリッシュさに磨きを掛けている。ハイトワゴンほどには背が高くないので室内に入ると高さに余裕があるわけではないが、スカイフィールトップと呼ばれる大きなガラスルーフのおかげで開放感がある。

乗降性

エンジンは自然吸気とターボの二種類が用意されるが、CVTにも違いがある。ターボには効率のいいD-CVTが採用されているのだ。発進時や低速域ではベルト式CVTで駆動し、中速以上では伝達効率のいい遊星ギヤが介入する。変速比幅も広く高速走行時にも高効率なのが特徴で、ロングドライブでの満足度もかなり高い。実際に走らせてみると、スーパーハイトワゴンよりも車両重量が軽いので自然吸気でも十分ではあるものの、やはりターボの方が頼もしい。19年登場の現行型タントから採用されている新しいターボは最大トルクが100Nmあって重量級にも向いているが、タフトで乗れば余裕たっぷりである。

インストルメントパネル

外観同様に直線主体で無骨さを感じさせる。ハイトワゴン派生モデルとして異例なのは、センターコンソールによって運転席と助手席の足元ゾーンが明確に分けられていること。

ハイライトは軽自動車らしからキビキビとしたシャシー性能だ。軽自動車としては最大サイズのタイヤを履くタフトだが、乗り心地にいやな硬さはない。街なか重視で快適志向な軽自動車に比べるとほどよく引き締まっている印象だ。高速道路での安定感は高く、横風など外乱にも強い。ダイハツとしては初めて電子制御パーキングブレーキを採用し、全車速追従機能付きACCに停止保

持機能も付いたので、ロングドライブで渋滞に巻き込まれたときなどは便利だ。ACCと同時に使用するレーンキープコントロールも付くが、制御はややせわしなく、もうワンランク上のパワーステアリングが欲しいとも思わせた。

居住性

ワインディングロードでは望外に楽しいコーナリングを披露してくれる。サスペンションは突っ張るような硬さがないうえにロールは少なく、背の高さを感じさせない安定した姿勢を保ってくれる。ホットハッチのようなフィーリングで思わず本格的に攻めてしまいたくなるが、大きなギャップなどがあるとちょっと跳ね気味。軽自動車なりのサスペンション・ストロークなので、そこは致し方ないところ。

うれしい装備

現在新車で購入できる軽自動車としては唯一の採用となったガラスルーフを標準装備。前席に座る人も空を見上げられる位置にあるのがうれしい。

月間販売台    4690台(22年7月〜12月平均値)
現行型発表    20年6月(一部改良 22年9月)
WLTCモード燃費  21.4km/l ※自然吸気のFF車

ラゲッジルーム

とはいえ、クルマ好きの心をくすぐってくれる走りには大いに好感がもてる。車名の語源に含まれるタフさに合った乗り甲斐があるモデルだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。

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